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「きゃーーーーーっ!!!!」
突然、船に響き渡る悲鳴にクルーがバタバタと集まる。
おれも聞こえたのがなまえの声だったこともあり、問題のキッチンに来た。
周りを見渡しても敵らしきやつは見当たらない。
どうやら敵が襲ってきたわけではなさそうだ。
状況だけでは何もわからず、冷蔵庫の前で立ち尽くすなまえに声をかける。
「おい、なにがあった?」
「わたしの、」
ガタガタと震えるなまえにただ事ではないと固唾をのむ。
「楽しみにしてたプリンがない!」
「はあ?」
何人かの声が意図せずシンクロした。
いや、声に出さずとも、ここに集まったやつ全員が同じ気持ちだったと思う。
とんでもなくどうでもいい話に解散、解散とクルーたちは次々とその場を去っていく。
「あ、ちょっと!みんなどこ行く気!?さてはこの中に犯人がいるのね!?この盗っ人!海賊〜!」
「やめろ。おまえも海賊だろ」
手当り次第に殴りかかりそうななまえに呆れて頭を抱えつつ、首根っこを掴んで止める。
プリンごときで恥ずかしい。
「なまえ、プリンなんてまた買え」
そして、もう二度と下らねェことで騒ぐな、と念押しする。
さて、部屋に戻って医学書の続きでも読むか。
「ローのばか!」
一件落着、と思いきや浴びせられたのはそんな言葉。
振り返れば、目に涙を溜めたなまえがいた。
「あれは私が元気なかったときにローが買ってくれたプリンでしょ!」
ああ、そんなこともあったな。
あれは、………なんでだったか。まぁ、シャチとケンカしたとか、そんなんだろ。…たぶん。
「だから、なんだ」
「くーっ!この冷酷人間!人の心がわかんないんだから!でも、好き!」
おれは一体どういう感情向けられてんだ?
貶されてんのか、好意を向けられてんのか。
「わかった、わかった。じゃあ、次の島でまた買ってやる。それでいいだろ」
「島で1番大きくて美味しいやつ?」
「あァ、好きなの買え」
「うん!!ロー大好き!!」
大した提案もしてないが、途端に満面の笑み。
単純なやつ。
こいつは海賊ってより、カモだな。
すぐ騙されて連れて行かれるだろう。
実際にはおれがそんなことさせるはずもないが。
「なに笑ってるの?楽しいことでもあった?」
「なんでもねェよ。もうすぐ島に着く。準備しとけ」
ヒヨコみたいについて来るなまえの頭をくしゃっと撫でてやれば、また満面の笑み。
ああ、平和だな。
海賊には似つかわしくないが、まぁ、こんな日があってもいいだろ。