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一目惚れだったと思う。
屈託のない太陽みたいな笑顔を見たときから総長のことが好きになった。
もちろん、革命軍No.2と下っ端の下っ端である私とでは釣り合わないのはわかってる。
そもそも私は総長に認識すらされてない。
夜間警備の仕事に就きながら、今日はあいさつも出来なかったな、なんて1人で残念会するのも何度目か。
「今日は、満月なんだ」
思わずそんな独り言が漏れるほど、今日はきれいな満月が夜空に輝いてる。
もし、私が月なら、あんなにきいれいに輝けるなら、もっと総長に話しかけることが出来るかな、なんて。
「よ、お疲れ」
突然聞こえた声にびっくりして声が聞こえたほうを振り返る。
そこにいたのは私が今、思いを馳せていたその人で。
なんとか絞り出したお疲れ様です、という言葉は彼には届かなかったかもしれない。
歯を見せて無邪気に笑う総長の金髪が月に照らされてきらきらと光る。それだけでも心臓がドキドキとうるさい。
「なんだ、焦って。もしかしてサボってたのか?」
「サ、サボってません!休憩中です!」
「ははっ、そーか。そりゃ悪かった」
そうしてまた無邪気に笑って見せるから。
心臓は最早ドキドキして痛いし、呼吸も上手くできてない気がするし、頭も全然回らない。
だけど、私は月じゃないけど、月みたいにきれいじゃないけど、なにか、話さなきゃ。なにか話したい。だって、こんなチャンスもう二度とないかもしれない。
機能してない頭でぐるぐる必死に考える。
「月が、きれいですね!」
あれ、わたし、いま、よりにもよってそんな告白みたいな、
一気に顔が熱くなる。
いや、たぶんきっと恐らく普通の会話だと思ったはず。
そう思って勇気を振り絞り、総長の顔を確認する。
かちり、と目が合った。まっすぐに見つめられて、瞬きの仕方も忘れてしまったみたいに総長の瞳から目を逸らせなくなる。
総長は笑っていたけど、それが何を意図しているかは分からない。ただなぜか"すき"と勝手に口からこぼれ落ちそうになる。
でも、それは総長を呼びに来たコアラさんの声によって音になることはなかった。
2人は冗談を言って笑い合っていて、すごく仲が良さそうでお似合いに見える。
いいな、羨ましい。
やっぱり月は手が届かないからきれいなの?
「そうだ。なまえ、」
私の名前なんて知らないと、ましてや認識すらされていないと思っていた。なのに、今、間違いなく私の名前を呼んだのは目の前の総長だった。
そして、優しく腕を引かれて、耳元で囁かれた続きは私の思考回路をショートさせるには充分だった。
「月はずっときれいだ」