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ごちそうさま、そう聞こえて声の主のほうへ目を向けると、テーブルにはまだ多くの食事が残っている。
「あれ?なまえちゃん、もういいの?」
いつもはキレイに食べ切った上におかわりまでしてくれるのに珍しい。
「うん。サンジくんごめんね、残しちゃって…」
「それは全然いいんだけど…」
心なしか元気もないし、心配だ。
もし具合悪いなら特別メニューでも、と提案しようとして、それは目の端で遠くから何か伸びてきたことで中断された。
「なまえ!食わねェならもらうぞ!」
「あ!ルフィ、てめェ!自分のあるだろーが!」
案の定それはうちの大食い船長の手で、言い合いをしていたら気づいたときにはなまえちゃんは居なくなっていた。
その後も心配で部屋まで訪ねてみたものの"大丈夫"の一点張りで、取り付く島もなく、心配は増すばかり。
たまたま本当に食欲がなかったのか、それとも苦手なものでもあったか?そうも思ったが、それからそんなことが数日も続いた。
なんなら、最近まともに話もしてない。
やっぱり具合悪ぃんじゃねェのか…?
どうにかちゃんと話を、と思案してるところになまえちゃんが歩いてるのが見えた。
ちょうどいいと話しかけようとしたとき、なまえちゃんは突然体勢を崩し、倒れそうなところを間一髪受け止めることに成功した。
特に外傷はなく、ほっとひと息つく。
「あっぶねー!なまえちゃん大丈夫か!?」
しばらくぼーっとして焦点が合わなかった目がやっとおれを捉える。
「いやーーーー!!!離してサンジくん!!」
瞬間、悲鳴と共におれは緩く胸を押され、抵抗される。
いやって嫌ってことか?
え、おれ何かしたのか…?
好きな女の子に嫌と言われたのを理解して、半ば放心状態で素直に離してしまう。
「助けてくれてありがとう!でも、まだ会えないの!ごめんなさい!!」
"まだ会えない"?
よく分からないが、この機会を逃すとまたまともに話せないような気がして今にも走り出しそうなきみの手を引いて止めた。
「なまえちゃん!おれが嫌いならそれでもいいんだ。だけど、メシはちゃんと食ってほしい。今も顔色悪いし、心配でたまらないよ」
「サンジくんを嫌いなんて絶対ない。大好き。でも、だから…っ」
「良かった。おれもなまえちゃんが大好きだよ。だから、もし話せるなら理由を教えてくれるかい?」
「わたし…実は……」
「うん」
「ダイエットしてるの!」
「へ?」
たぶん、彼女にとっては意を決しての告白に間の抜けた声が漏れる。
おれはレディに甘いと自負してるし、その上、なまえちゃんは特別で天使みたいにかわいいと思ってるし、愛してる。
それでも贔屓目なしに痩せてると思う。むしろ、出るところは出ていい身体してる、なんてまさか言えないけど。
「太ったなんて知られたくないし…。それに」
「それに?」
「好きな人に言えないよ…」
その言葉に胸が締めつけられる。
いじらしくてかわいい。
「なまえちゃんはそのままでも充分魅力的でかわいいよ」
涙目で見つめるきみがかわいくてかわいくて、そのまま堪えきれず自分の腕の中に収めてしまう。
さっきとはうって変わって大人しく収まるから余計に愛おしい。
「でも、ダイエットしたいなら、それこそおれの出番だろ?美味くて痩せるメシ毎日作るよ」
「ふふっ、なんかそれってプロポーズみたい」
「おれはそれでも構わねェけど」
むしろ大歓迎、そう笑ってウィンクすればなまえちゃんは顔を真っ赤に染めてくれるから。
クソかわいいなって、おれは今日もきみへの好きがひとつ増えて幸せだと思う。