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「なぁー、なまえちゃーん」
そう言いながら肩に乗っけようとした手をパシンッと小気味良い音を立てて弾かれる。
「触らないで」
俺に背中を向けられたまま冷たく言い放たれる。
なぜかはわからないが、さっきからなまえはこんな調子だった。
「ちょ、そんなこと言ったら銀さんのガラスのハートが粉々だから!泣いちゃうぞコノヤロー!!」
必死に言えばチラリとこちらを見るが、すぐにそっぽを向く。
「……あたしのほうが泣きたいんだから」
小さい声だったけど、はっきりとなまえは呟いた。
その言葉の意味することの心当たりがなく、手持ち無沙汰で頭をガシガシと掻く。
「なまえ、俺なんかした?言ってくんなきゃ銀さんも分かんないだろ?」
優しく諭すように言えば、ずっと引き結んでいた口を開く。
「………じゃあ、銀ちゃん、昨日何してた?」
「昨日…?朝から依頼があったから仕事行ったけど」
昨日のことを思い出しながら素直に言えば、なまえにキッと睨み付けられ、思わずビクッとなる。
「女の人と仲良さげに歩いてたよね」
「は!?いやいやそんなわけ……や、あるわ」
否定したあと、はたと思い出した。心当たりが一つだけある。
「やっぱりそうなんだ…」
ひどく悲しそうに呟く彼女の瞳からは今にも涙が零れそうで、焦って否定する。
「なまえちょっと待って!違うから!その女に見えたのはヅラだから!!」
「…桂さん?そんなわけないじゃん。いくら髪がサラサラでキレイだからって桂さんを女の人と間違えたりしないよ!いくら髪がサラサラだからって!」
「え、なんか何気にヅラが髪サラサラなの気にしてる?、じゃなくて!だから、誤解なの!ヅラが女物の着物着て化粧して働いてんだよ!」
「っ、銀ちゃんがそんなウソつく人とは思わなかった!はっきり言ってくれたほうがよかったよ!もう銀ちゃんなんてキライっ!!」
なまえの瞳からはついに涙がこぼれ落ちる。
「落ち着けって!」
「やめてよ!放してってば!」
どうしても俺から離れようとするなまえを無理矢理自分の胸へと引き寄せ、抱きしめる。
「ウソじゃねーよ。俺が今までおまえにウソついたことあるか?」
「……ついこの間あたしのプリン食べてないってウソついたじゃん」
「あ。…いや!でも今回のはほんっとーにちげーんだって!!」
あのときの自分を殴り飛ばしたい衝動に駆られていると、新八がタイミング良く買い物から帰ってきた。
「ちょっと銀さん、なまえさんどうしたんですか」
「新八くんっ!聞いてよ!銀ちゃんが…」
不思議そうに訊いてくる新八になまえは泣きながら訳を話す。
当然ながら新八はヅラが女装していることを肯定し、オカマバーで働いてることまで丁寧に説明してくれていた。
頼むぜぱっつぁん、と新八頼みをしてみる。
けど、すぐに荷が重いかと思い直し、ひっそりとため息がこぼす。
「なんだ、ごめんね銀ちゃん」
「え?」
一瞬、俺はあんまりにもあっさり謝られすぎて何に謝られてるのかわからなくなった。
「だから、ごめんね?」
いやいやいやおかしくね?さっきまであんな修羅場だったのに!?
つーか…
「新八の言うことはすんなり信じたってことか?」
「うん、新八くんが言うなら間違いないかなって」
「………あーそう」
俺、ちゃんと愛されてるか不安になってきた…。
(あー、銀ちゃんかわいいなぁ!)(なまえさん、銀さんをイジメるのもほどほどにしてあげてくださいね)(ふふっ…でもね、ヤキモチ妬いてたのはホントだよ)(それ素直に言ってあげたほうが喜ぶのに)(だーめ、銀ちゃんが焦って必死になってるとこがかわいいんだから)((…銀さんも大変だな))