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「神楽ちゃんのこと好きなの?」
男女が放課後に教室で2人っきり。しかも想い人と、なんて良いシチュエーション。それがこんな会話でなければ。
好きなやつから言われた言葉があまりに驚きですぐ反応することはできなかった。それがいけなかった。やっぱり、とでも言いたげな目には徐々に涙が溜まっていき、溢れ落ちる前になまえは走り出した。
「ごめ、かえる」
か細い声に我に返り、伸ばした手はかろうじてなまえの手首を掴む。嫌な汗が出て動悸がして、どうしてこうなったのか分からなかった。
「はなして」
「離したらどっか行っちまうだろ」
「……帰るだけだよ」
「いやだ」
「ッ、…わたし、このままだと総悟にひどいこと言うよ」
いいの?と涙に濡れた瞳で見上げられる。
今、泣くほど傷ついてるのは自分のくせに、こうやって人のことを考えてる。その時点で俺がひどいと思うようなことを言えるわけがない。たとえ言えたとしても当然手を離すつもりはないけど。
掴んでいる手を軽く引くと、そうされると思ってなかったであろうなまえは簡単にバランスを崩して俺のほうへ倒れこみ、すっぽりと腕の中に収まる。
小せぇな。場違いにそう思った。
思わず腕の力をきつくすると、今まで呆けていたなまえがハッとしてもがき始める。
「どこのどいつでィ、そんなふざけたことなまえに吹きこんだのは」
あってないような抵抗を無視し、冒頭の話へと戻す。
基本的に他人はどうでもいい。そんな俺のなまえへの態度は好きだと丸わかりだったはずだ。
「吹きこまれてなんて、」
吹きこまれてない、とたぶん否定するつもりだっただろうなまえは俺と目が合って押し黙る。
あまりに俺が情けない顔をしていたからかもしれない。
「……ずるいよ」
何かつぶやいてなまえは抵抗を止める。
そして、昨日見たんだと話す。俺がチャイナに迫っているのを。
昨日の記憶を辿ると、確かに思い当たる節がある。いや、迫ってないが、見る角度によればそう見えるかもしれない。
チャイナとヒートアップしたケンカで窓ガラスを割り、罰として掃除をする羽目になった。当然真面目に掃除をするわけもなく、続きとばかりに始まったケンカ。そして、割れたガラスの上で足をすべらせたチャイナを助けてやった結果だ。
右手を掴んで、壁に足をつけて身体を支えた。それは壁に追いつめ手を拘束して足で逃げ道をふさいでいる、と見えなくもない。
「こんなところ神楽ちゃんに見られたら良くないよ」
そっと胸を押されて、距離ができる。心理的にも距離を取られた気がして堪らず、なまえを引き寄せる。
「俺が好きなのはなまえでィ」
たぶん、そうじゃなくて順序的には昨日の誤解を解くべきだったのだと思う。
でも、もう勘違いなんてものでなまえが俺の手から離れていくのが我慢ならなかった。
「チャイナが人生で一度だって恋愛対象になったことなんざねーよ」
戸惑うなまえにさらに言葉を重ねる。
「信じらんねぇってんなら何度でも言ってやらァ。俺はなまえが好きだ。だから、頼むからここに居てくれ」
そして、強く抱きしめると、少し間があった後、なまえも俺の背中に手を回して静かに頷くのを見て、やっと安堵の息をこぼしたのだった。
バカだなって
(総悟がこんなに必死なの初めて見た)(うるせー。そんだけ想われてるって自覚しやがれ、鈍感)
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