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「神威、ちょっと」
こっちに来て、という意味を込めて手招きをすると、神威は素直に私の元へ来る。
まさか今から私に怒られるなんて微塵も思っていないだろう能天気な顔にさらに怒りが増す。
勢いもそのままに近くに来た神威の腕を引っぱり、近場の部屋に連れ込む。
「わお、なまえダイタン」
そんなふざけた反応をする神威を一瞥すると、大きく息を吸い込む。
「神威のばか!机に置いてあった阿伏兎のクッキー食べたでしょ!!!」
そう、私が普段お世話になってる阿伏兎のために作ったクッキーを、食べるなと何度も言ったのに食べたのだ。
なんなら、彼氏の神威がとっっってもお世話になっているから、そのお礼も兼ねている。
なのに、食べてしまうなんて信じられない。
1度目ならまだしも一体これで何度目か。10回目からは数えるのも止めてしまった。
食い意地が張ってるにも程がある。
「うん、食べたネ」
しかも当の本人はケロッとして、当たり前のように肯定する。
「ちょっとは反省したらどうなの?あんなにお願いしたのに!」
「俺、食べないなんて約束してないけど」
「なに言って…」
「なまえこそ何言ってんの?」
にっこりと戦闘のときのような笑みを浮かべる神威に、ゾクリとする。
やばい、キレてる。
「阿伏兎、甘いのそんなに好きじゃないだろ。だから、代わりに食べてやったんだヨ」
1歩、また1歩と少しずつ距離を詰められるのに比例して後ずさる。
「あり、どうして逃げるのかな?」
「ははは、逃げてなんかないよ…?」
ごくりと喉が鳴って、乾いた笑いが洩れる。
おかしい。私が怒ってたはずなんですけど。
こうなった神威に捕まったら何されるか分からない。
「あー、私、クッキー作り直さないと」
自分でもわざとらしいと思うくらいの棒読みでそう言って、一目散に扉へ走り出す。
「大体さァ、」
もちろんとも言うべきか、神威からは逃げられるはずもなく、足下ギリギリのところに神威愛用の傘が投げられ、否応なく足も止まる。
「なんで俺のかわいい彼女の作ったクッキーを他の男に食べさせてやんないといけないわけ?」
いや、そのかわいい彼女を殺す気か。
固まる私は易々と後ろから神威に確保され、抱きしめられる形で腕の中に収まってしまう。
「えへ、神威さん…?」
「上目遣いなんてしてかわいいネ、なまえ。でも、俺の気は治まらないヨ」
それどころか完全にスイッチ入っちゃった、って耳元で言われたのが先か押し倒されたのが先か。
きっとこのまま明日の朝には声を枯らされて、文句のひとつも言えないだろう。
おかしいな、私が、怒ってたんですけど。
(そういえば。だれの、クッキーを作り直すって?)(はい!もちろん神威のクッキーを!!!)(そっかそっか。嬉しいナー)