tennis【short】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なまえはいつも笑う。
アイツにどんなひどいことされても大丈夫、と。
なんでアイツなのかって何度も訊いた。
アイツじゃなきゃ駄目なのか、と。
そうするといつも困ったように笑って、わかんないって言う。
俺がガキだから言わなかったのか、それとも本当にわからなかったのか…。
まぁ、今となってはもうそれはどうでもいいことだ。
だって、元凶は絶った。
もうこれでなまえは苦しめられないし、あんな無理やり作ったような笑い方しなくて済む。
これでなまえも幸せになれる。
赤く染まった手のひらを見てそう思う。
顔や服にも飛び散ったこの赤黒い液体は汚れた、忌々しいアイツのものだ。
もうソイツはただの肉の塊に成り果てている。
動かなくなったあとも刺し続けたそれは原型を留めていない。
特になまえが好きだと言っていた目は潰し過ぎて液体と同化していた。
それをぼんやり眺め、なまえのそんな話をしっかり覚えてる自分に少し苦笑した。
皮肉なことに好きな人から話されることならどんな嫌いなやつの話でも覚えてるもんらしい。
それだけ好きなんだと…いや、愛してるんだと思った。
でも、わかってる。これが正気の沙汰じゃないことくらい。
俺は異常者だ。
こんな俺がおまえを幸せにできるなんて思っちゃいない。
だから、俺はここで最後の仕上げをする。
さようなら愛しい人
この世に未練はない。
もしあるとすれば、おまえが幸せに笑って生きる未来を見れないことだ。