tennis【short】
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「別れよーぜぃ」
なまえを俺のファンのイジメから守るためにずいぶん前から考えて考えて考え抜いた結果、俺のバカな頭ではこれしか思いつかなくて。
「ブン太?そんな冗談笑えな…」
「嘘じゃねーよ、マジだから。飽きたんだよ、おまえに」
なまえ…なまえ、まだ好きだ…。
こんなこと本当は言いたくない。だけど、俺の所為で傷つくおまえをもう見たくないから。
まるでこの世の終わりのような絶望的な顔をしてまばたきもせずにこちらを見つめる彼女に心の中でそっと思う。
「じゃーな。もう必要以上に話しかけたりすんなよぃ」
そう言うとなまえの頬を一筋の涙が伝った。
それは俺のファンに何されても泣かなかったなまえが初めて見せる涙だった。
おい…ウソだろぃ?
やめてくれよ。
泣かないでくれ。
そんな顔が見たかったんじゃない。
俺はおまえの涙じゃなくて笑顔が見たかったんだ。
それなのに…!
「、なまえっ…!」
気づいたらなまえを強く抱きしめていた。
「ごめんっ…ごめんな!別れるなんて嘘だから!わざと言ったんだ!」
そしたらもう俺はなまえへの罪悪感や自分が情けないとかのいろんな感情が入り混じって涙腺が壊れたように涙が止まらなくなった。
「もう俺の所為で傷つくおまえを見たくなかったから!おまえに、前みたいな笑顔を取り戻させてやりたかったから…!」
「…っ、ブン太なんて大嫌い!!!そんなの頼んでない!!バカじゃないの!?」
なまえの言葉が胸に重くのしかかった。
でも、言われても仕方ないってわかってる。なまえを酷く傷つけた自覚はあったから。
「だよな、わりぃ…」
静かに抱きしめる手を緩める。
「謝れなんて言ってないっ!だからブン太はバカだって言ったの!!」
「なまえ…?」
「あたしがずっと泣かないでいれたのはブン太が傍に居たからでしょ!?ブン太が居るだけで十分なの!なんでそんな簡単なことも分からないのよ、バカ!!」
なまえの言葉にハッとした。
そうだ。なまえの顔が曇ったときはいつだって俺が晴らしてきたじゃねぇか。
なんで忘れてたんだ。
いつからか笑顔を見たい、見たいと思うばかりで自分で晴らすことなんか頭になかった。
挙げ句の果てには、なまえの所為にして傷つけて。
本当はおまえを愛してるって気持ちだけで良かったはずなんだ。
抱きしめて好きだって言えば、そこには俺の大好きななまえの笑顔があったんだから。