tennis【short】
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「俺さぁ、今日誕生日なんだよな」
その言葉は、ふと思い出したかのように唐突だった。
私と同じで日直のブン太は前の席に座って日誌が書き終わるのを待っていた。
「……知ってるけど…。どうしたの急に?」
ていうか、朝からあんだけ女子に誕生日プレゼントもらってれば、もし知らなくてもそうなんだろうなって思う。
それぐらい彼は人気だということだけど、それに反比例して私の気持ちは下がっていくばかりだった。
「や…それが俺、今日一番ほしいプレゼントはもらえてねーの」
少し距離が縮まったのかブン太がよく噛んでるガムの匂いがふわりとした。
「だから、さ」
きっとブン太はそれにさえ思考回路も狂わされるくらい私がドキドキしてるなんて知らない。
「なまえがくれねぇ?」
こんなんじゃ、顔も恥ずかしくてあげられない…!
「っ、わ、たしが、あげられるものなら…」
「マジで?」
「何が、ほしいの?」
そう言った瞬間、ブン太の口許が弛んだ気がした。
「なまえがほしい」
「え…?」
耳が、おかしくなったかと思った。
思わず顔をあげれば、ブン太の顔がすごく近くにあって。
近い、そう思ったときには唇に柔らかい感触がした。
「いま、くちに…!」
ほぼ言葉が出てこない私にブン太はイタズラが成功した子供のように満足気にニヤリと笑う。
「誕プレ、だろぃ」
…ああ、やられた。
どうやら私はまんまと彼の甘い匂い(ワナ)にかかってしまったらしい。