逆転サンドリヨン
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男装夢主なので、特にこだわりのない方は中性的なお名前にするとしっくりくるかもしれません。
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昔むかしあるところに、とある松野家がありました。
お父さんとお母さんがいて、子供たちがいて。それはどこにでもありふれた、ごく普通の家庭。
ただ一つ違っていたのは、子供たちが世にも珍しい六つ子ということなのでした。あとついでに、いい年こいてるくせに兄弟全員ニートで童貞なのでした。
そんな松野家のニート達が、お父さんの稼ぎを食い潰しつつ平和に暮らしていたある日のこと。
「ニート達。手紙が届いてるわ」
郵便受けに届いていた手紙を、お母さんの松代さんがニート達へ手渡しました。なんだなんだ、と群がる同じ顔六人。
それはたいそう立派な封書でした。上品な封筒にはオシャレな封蝋が施されています。六男のトッティが「映えだね~」などと言いつつスマホでパシャパシャ。
「映えとかいいから開けようぜ」
「もうっ、おそ松兄さんはこういうの楽しむ風情がないよね」
「えーとなになに? 舞踏会のお知らせ?」
封筒の中から出てきた羊皮紙の手紙。それは、お城の舞踏会への招待状でした。
「なに!? 武闘会!?」
「踊る方の舞踏会だよ、十四松兄さん」
「クリリソのことかーーーー!!」
「それ武闘会編じゃなくてナメック星編でしょ十四松兄さん」
お約束のボケを挟んだところで、三男のチョロ松が丁寧に招待状の文面を音読します。
「アカツカ国にお住まいの皆様へのお願いです。特に十代後半から二十代にかけての妙齢の女性の皆様、是非今晩開かれますお城の舞踏会へお越しくださいませ。特に特に、見目の麗しい方は大歓迎です。アカツカ国王子のパートナーとなる御方を選考致します。お車でお越しの方は城内駐車場を是非ご利用ください云々……」
「すげえな王家」
「国税で若い女を集めてダンパ……うーんロイヤル!」
「セレブリティ!」
「セクシャル!」
ひとまず六つ子たちは、王家の珍妙な催しへ言いたい放題です。
「……って、まあ俺らにゃ全然関係ねえ話だけど」
「ソウダネー、どうしてうちのポストに届いちゃったんだろうねー」
「国内一斉発送だったんじゃない? これだからお役所仕事は……」
「ていうか今晩って急すぎんだろアホか」
「いいよねぇ、王子さまは……国の金で婚活パーティできてさ。はーあ、アホらし」
長男、興味を失いごろ寝して鼻ほじ。
これでこの話はおしまい……と思いきや。
「でもいいねえ一松兄さん。参加者には豪華ビュッフェありだって」
「ほんとだ。女だったらこれ食いに行けんだ。しかも参加費無料」
「なんだって!?」
豪華ビュッフェに食いつく六つ子達。そして誰かが思いつきました。
「……ねえ、これ女装して行ったらタダメシ食えるんじゃね?」
「それだ!!」
こうしちゃいられない! とばかりに、六つ子達はバタバタ慌ただしく準備を始めます。普段は働きもせずのんべんだらりと過ごしてばかりの彼らですが、いざ悪巧みとなると悪い意味でとってもアクティブ。
おそ松が世にもお粗末なお化粧をしたり、チョロ松が何故か猫耳を装備し始めたり一松がロングのカツラで貞子みたいになったり、十四松が完全に十四子だったり、トッティの仕上がりが妙にクオリティ高かったり。各々気持ち悪く変貌していく中で、次男のカラ松だけは何の準備もせず、余裕の表情で佇んでいました。もちろん室内でもサングラス。
「フフーン……ダンスパーティーか。国中から魅力的なGirlsが集い、歌い、踊る……そう、オレのために!」
彼のためではなく王子のためなのですが。
「おっといけない、本来は王子主催の婚活ダンパだったな……フッ」
一応舞踏会の趣旨はちゃんと思い出したようです。しかしあふれる謎の自信。
「だが……このオレ、カラ松の登場により色めき立つ空気! 黄色い歓声!」
次男はよくない方向に妄想を膨らませているようです。しまいには彼の耳に幻聴が聴こえ始めます。
『キャー! カラ松ー!』
『王子よりかっこいいー!』
『ねえねえ、アイダ声かけてきなよぉ~』
『無理だよサッチン~! カッコよすぎて死んじゃう~!』
フッ……フフ! なんて罪作りな…………オレ!
絶対にあり得ない展開ですが、カラ松の期待値はマックスでした。
「さて、そうとなれば全国のカラ松Girlsを待たせるわけにはいかないな! さあブラザー達! このカラ松のモテっぷりをとくとその目に焼き付け…………」
「あ、カラ松兄さん留守番するなら洗い物お願いねー」
「あと八時からの番組録っといて」
「猫の餌やりも」
「八回裏からぼくの代打オナシャス!」
「俺の代わりに借金返しといて! な!」
「えっ……」
いつの間にか彼のブラザー達はドギツい女装姿で玄関を出るところでした。それぞれ小脇に抱えているのはタッパー。食い物持って帰る気満々です。
「ま、待ってくれブラザー! オレも一緒に!」
「じゃあいってきまーす」
「あらニート達、舞踏会に行くのね。お土産よろしく」
「ウィー!」
次男を置いて、普通に出ていく兄弟たち。そして普通に送り出すお母さん。
あとに残されたカラ松は、滂沱の涙を流して悔しがるのでした。オレも行きたかった……!