眠りの海
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「こんにちは。いや、……こんばんは?」
身知らぬ少女が呟いた。
「……?」
思わずジョルノは瞬きを繰り返した。
見ればここは見知らぬ場所で、見渡すと散乱とした街がそこにあった。
看板にはイタリア語と日本語が混ざっていたし、カフェのテーブルには何故か古ぼけたブラウン管テレビが置いてあった。
どこだろう、ここは。
確かに自分の部屋にいたはずだった。
見たこともない奇妙な街。
一見すると夢だが、テーブルの感触やスタンドを出せたことからして、自分の肉体がここにあるのだ、ということが分かる。
もしかして、これも誰かのスタンドの一種なのだろうか。
スタンド使いは惹かれ合う
なんて、どこかで聞いた言葉を思い出さずにはいられなかった。
ジョルノは自然と目の前の少女に向かい合った。
見るからに平和そうな、正常な家庭で育っただろう普通の少女だった。死と争いという言葉なんて似合わない、平凡なこども。
あまりにも無害すぎて、危害が加えられるとは、とても思えなかった。
どうやらここにいるのは、自分とこの少女だけらしい。
散乱とした街は何故か静かで、聴いたこともない歌がラジオから聞こえた。
「ここはどこですか」
どこかのドラマで聞いたセリフだった。記憶喪失の女を思い出す。あの女は最後どうなったのか、巡らすが観た記憶がない。
「分からない。でも、多分大丈夫だよ」
視線を少女に戻す。根拠のない、でも確信があるような口ぶりだった。
知らない男と知らない場所に、二人きりだというのに、臆する様子もなく少女は答えた。
少し、それが以外だった。
「すぐに帰れるよ」
先程よりもはっきりと少女が答える。
「何故分かるんですか?」
少し間が空いた。変な空気が、ジョルノを身構えさせる。
しばらくして、少女がごめん、と呟いた。
「多分、わたしがあなたを連れ込んだ」
まるで叱られた犬のような顔で言うものだから、ジョルノは思わず笑ってしまった。
急に目の前の男が噴き出したものだから、少女は困り顔をやめて、ぽかんと見つめていた。
いい子、いい子すぎて損をしそうなこどもだ。
だからか分からないけれど、なんとなく、少女を助けてあげたくなった。
「スタンド?……私がそれを持ってる?」
「ええ、多分そうだと思います」
話してみると曜子は思った通り、ただの普通の女の子だった。
意外なことに、幼く見えた顔だったが、ジョルノよりもいくつか上だった。
スタンドの説明をするために、近くのラジオを蝶に変えたら、まるで子供のように喜んだというのに。人は見かけによらないものだ。
癖なのか知らないが、時折眉を下げてこちらを見る様子は、やはり叱られた犬のようで、面白かった。
「……でもどうやったら帰れるのかは私にはよくわからないよ」
「いつもはどんな感じなんですか」
「う〜ん……。夢だと思って話に付き合ってくれる人もいるし、一人でフラフラどこかへ行く人もいるけど、どっちにしても気付いたら元の場所に戻ってるかな」
「人を自分の精神世界に連れ込む……そういう感じですかね」
「そういうものなのかあ」
ふんふん、と本当に理解してるのか曜子が頷く。
よく知らない男の話をこうも信じれるものだ。
「よく信じれますね」
「ずっと夢かと思ってたから、ちょっとすっきりした。それが嘘でもね」
一人じゃないのかーって思ったから。
ぼーっとしているのかそうじゃないのか。空を見つめて呟く曜子が少し大人びた様子になった。
くるりと、こちらを射止めた。もうあの瞳は消えてはしゃいだように笑った。
「じゃあ、わたしが醒めるまで話でもしようか」
さて、どの話から始めようか。どんな話をしても曜子なら面白そうだ、と思いながら口を開く。
身知らぬ少女が呟いた。
「……?」
思わずジョルノは瞬きを繰り返した。
見ればここは見知らぬ場所で、見渡すと散乱とした街がそこにあった。
看板にはイタリア語と日本語が混ざっていたし、カフェのテーブルには何故か古ぼけたブラウン管テレビが置いてあった。
どこだろう、ここは。
確かに自分の部屋にいたはずだった。
見たこともない奇妙な街。
一見すると夢だが、テーブルの感触やスタンドを出せたことからして、自分の肉体がここにあるのだ、ということが分かる。
もしかして、これも誰かのスタンドの一種なのだろうか。
スタンド使いは惹かれ合う
なんて、どこかで聞いた言葉を思い出さずにはいられなかった。
ジョルノは自然と目の前の少女に向かい合った。
見るからに平和そうな、正常な家庭で育っただろう普通の少女だった。死と争いという言葉なんて似合わない、平凡なこども。
あまりにも無害すぎて、危害が加えられるとは、とても思えなかった。
どうやらここにいるのは、自分とこの少女だけらしい。
散乱とした街は何故か静かで、聴いたこともない歌がラジオから聞こえた。
「ここはどこですか」
どこかのドラマで聞いたセリフだった。記憶喪失の女を思い出す。あの女は最後どうなったのか、巡らすが観た記憶がない。
「分からない。でも、多分大丈夫だよ」
視線を少女に戻す。根拠のない、でも確信があるような口ぶりだった。
知らない男と知らない場所に、二人きりだというのに、臆する様子もなく少女は答えた。
少し、それが以外だった。
「すぐに帰れるよ」
先程よりもはっきりと少女が答える。
「何故分かるんですか?」
少し間が空いた。変な空気が、ジョルノを身構えさせる。
しばらくして、少女がごめん、と呟いた。
「多分、わたしがあなたを連れ込んだ」
まるで叱られた犬のような顔で言うものだから、ジョルノは思わず笑ってしまった。
急に目の前の男が噴き出したものだから、少女は困り顔をやめて、ぽかんと見つめていた。
いい子、いい子すぎて損をしそうなこどもだ。
だからか分からないけれど、なんとなく、少女を助けてあげたくなった。
「スタンド?……私がそれを持ってる?」
「ええ、多分そうだと思います」
話してみると曜子は思った通り、ただの普通の女の子だった。
意外なことに、幼く見えた顔だったが、ジョルノよりもいくつか上だった。
スタンドの説明をするために、近くのラジオを蝶に変えたら、まるで子供のように喜んだというのに。人は見かけによらないものだ。
癖なのか知らないが、時折眉を下げてこちらを見る様子は、やはり叱られた犬のようで、面白かった。
「……でもどうやったら帰れるのかは私にはよくわからないよ」
「いつもはどんな感じなんですか」
「う〜ん……。夢だと思って話に付き合ってくれる人もいるし、一人でフラフラどこかへ行く人もいるけど、どっちにしても気付いたら元の場所に戻ってるかな」
「人を自分の精神世界に連れ込む……そういう感じですかね」
「そういうものなのかあ」
ふんふん、と本当に理解してるのか曜子が頷く。
よく知らない男の話をこうも信じれるものだ。
「よく信じれますね」
「ずっと夢かと思ってたから、ちょっとすっきりした。それが嘘でもね」
一人じゃないのかーって思ったから。
ぼーっとしているのかそうじゃないのか。空を見つめて呟く曜子が少し大人びた様子になった。
くるりと、こちらを射止めた。もうあの瞳は消えてはしゃいだように笑った。
「じゃあ、わたしが醒めるまで話でもしようか」
さて、どの話から始めようか。どんな話をしても曜子なら面白そうだ、と思いながら口を開く。
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