ED後、隠れ家で生活シリーズ
黒茶色の熊は愛らしく柔和で人好きのする、その見た目通りの性格ではあるが、存外芯が強く、融通が利かず頑固な一面もある。熊は子供の頃から変わらないおぼこい顔立ちで、まるで欲を知らないように見えた。ところが熊が無欲恬淡だというのは表面的なもので、こと私がよそ見をしたと思えばその心中で拗ね、腹の裏に膨大な肉欲を秘めていて、それでいて内面に燻らせている一切の独占欲をおくびにも出さず、何事もない涼しい顔をしているのだ。
いたいけな少年のようであるが、愛しい熊はむっつりである。褥を共にするようになってわかったのだが、熊は私の知らない
そして熊は私を強く抱き締める。貴方を支えたいと言う口で、私の腰を砕いてくる。少しむっちりとした分厚い唇が私に触れ、熱っぽく名前を囁かれた時、確かにそうだな、と思った。
正面からも良いが、後ろからも良い。覆い被さられるのも良いが、立ったまま致すのも捨てがたい。その精悍な顔が愛欲に濡れるのを見たいと思うし、私を映してほしいと願う。逆に背中から抱き竦められて顔も見えないのも強く求められているようで堪らない。丁寧に私に触れる熊の指先はまるで貴重品を取り扱うように着衣を脱がし、幼子をあやすように抱きかかえるくせに、その実まっすぐに私を見つめる青灰色にはギラギラと渦巻く欲情を宿して、丹念に後孔を解されてぐずぐずに蕩かされた私の中に砲身を埋めていく。熊の立派な、私のものより太く硬い、極限まで昂った逸物を、香油だけのせいではなく鈴口からだらだらと溢れ落ち続けるカウパー腺液で散々濡れそぼった穴を拡げてぐぷりと突き入れられる。皺が伸びて口がひくひくと痙攣する度に脳へ快感を送り込んで、あられもない声をあげてしまう私につられた熊も、その剛直を更に膨張させ、ふぅ、く、と息を飲んで深くゆっくりと息を吐くのだ。
繋がったまま身体を抱き起こし、ずぷずぷと重力で根元まで飲み込んだところでずん、とそのまま下から突き上げられるのもイイ。上下に浮いて落ちる感覚と、深く突かれ絶頂に引き上げられる感覚。激しく揺さぶられて腹の奥深くまで肉壁いっぱいに満ちる怒張を穿たれ、ぐらぐらと快楽に溺れそうになりながら必死に背に縋りつく私の耳には熊の声がよく届く。「ディオン、かわいい」なんて、熊と同じく切磋琢磨して鍛えた肉体とバハムートとしての能力を宿した私に、そうやってとろりと甘い蜂蜜のような声で。
熱烈な視線をぶつけられて舌に吸い付かれながら寝具に降ろされ、ごろりと転がりそうになるほど高く持ち上げられた下半身に叩きつけられる肉欲のなんと重いことか。大きく開かされた足は太腿を掴んだ手に押されて腰が浮き、熊に尻穴を見せつけるような格好になる。熊は興奮しきって生唾を飲み、天を衝くほどに屹立した陰茎を穴の縁にあてがい、一気に腰を落とした。重い一撃はばちん、ばちんと尻肉を揺らして内臓を潰すような勢いで肉壁を圧迫する。腹を抉られて脳が痺れるような快感を覚えた私は、あ、あっ、と、また酷く大きな声をあげてしまった。
後ろからはまるで獣の交尾のようで、全身を押し潰して身動きを封じられてガツガツと胎内を掻き混ぜられるのが、酷くマゾヒズムを呼び起こす心地だ。
床で胸が圧し潰されて、背には熊が体重をかけて伸し掛かり、ばちゅばちゅと激しく腰を打ちつける。苦しさと気持ち良さが同時に私を襲い、耳にかかる熊の荒い息と私の名前を呼ぶテノールボイスがぞくぞくと性感を高めていくのだ。奥を突かれる度に私の性器は玩具のようにびゅ、びゅと精液を吐き出し、熊もまた私の中を精で満たす。幾度となく射精したにも関わらず元気な熊は私を撫で、身体を抱き直して唇を重ね、全身余すことなく味わっていった。
「っあ、あっ、あっ、ん、ぁあっ、テランス……っ!」
熊の名前を呼ぶことしかできない私はみっともなく涎を垂らしているのだが、それでも愛おしいと言わんばかりの顔をして、熊は私を抱き締める。私はそんな熊が愛おしい。
昔から変わらない、愛しい私の熊。
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そんな惚気を聞かされて、ジョシュアはソーダネ、と無の境地で言葉を返し、ジルはあらぁ、となんともいえない微笑みを浮かべて蜂蜜酒の入ったグラスに口付けた。
テランスってどうなの?
と聞いたのがそもそもの間違いであった。恋人とは、という話から流れでディオンに質問が飛ぶのは間違いなく正しいのだが、まさかここまで繊密に──そんな閨の話まで事細かに口が滑るとは思わなかった。いや、口を滑らせている自覚はなさそうだ。まだ続くディオンの惚気、いや猥談に「へー」と相槌を打つ。よし、あとでかの恋人くんをからかってやろう。何も知らないところで彼のあれやこれやを暴露されているのに彼はとっても面白い反応を返してくれることだろう。その時はこう言ってやる。たしかに君は可愛い熊さんだねって。
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