SSS


腿をしっかりと掴まれる感覚が良い。
腿を掴んで担ぎ上げた感触が良い。
鍛えられた靭やかな筋肉と、むちむちとした肌の弾力が心地良い。
背を丸めてディオンの半身に顔を近付けたテランスの唇が、大きく開かれたディオンの足の付け根に届く前、テランスの鼻先が肌に触れて熱い息がかかり、ゾクゾクと身体が震えてしまった。柔らかな皮膚に吸い付いた唇がぬるりと舌を這わせて、濡らした内腿に歯を立てた。


           ***


歯を立てられた内腿から全身に痺れるような感覚が巡る。脳が快楽と認識するそれは緩く鎌首を擡げさせて、ビクンと腰が跳ねた反動で股座に顔を埋めたままのテランスの顔を腿で挟んでしまう。兆した茎の根元に触れた熱が吐息で揺れて、そこでテランスがくつくつと笑いを噛み殺している事に気付いてしまった。


           ***


腿を掴んでいたテランスの分厚い手のひらが肌の上を滑るように降り、臀部の形を確かめるように撫でて陰嚢に軽く触れ、会陰部を指の腹で押す。はふ、と息を漏らしたディオンの紅潮した顔に満足したテランスは、ディオンが愛してやまない、自分に対してだけ見せる獣の部分を覗かせて「どうしてほしい?」と身体に響く低い声で問いかけた。


           ***


舐めてほしいのか触れてほしいのか自分でもわからない。その両方であり、全部欲しいと思う。テランスの全てを受け入れたい。腹の内側を擦られる快楽を肉体は覚えている。結腸を穿ち、弾けた熱を壁に塗りつけるようにじっくりと動く肉欲を憶えている。肌を紅く染め、汗を零すテランスが見たい、とディオンは微笑んだ。


           ***


じわりと滲んだ汗が額から滑り落ちてこめかみを伝う。ぼた、と零れて濡らしたのは紅く色付いたディオンの胸で、散々舌で舐った桃色の突起が水滴を弾いて、転がした先の谷間に小さな水溜りを作った。「滲みる…」ディオンが唸る。胸を転がり歯型の上を通過した汗は、見事に傷口に浸透したようだった。


           ***


お互いの頑丈さは知っている。それは最早模擬試合のような加減の無さで、我に返れば何ともまあ年甲斐も無く暴れたものだと苦言を呈す事になるんだろう。先に噛みついたのはどちらか。
喉仏に1つ。首元に1つ。項に1つ。肩に1つ。左右の胸と、二の腕と、脇腹と。
強く掴まれたディオンの腰にはテランスの手形。テランスの背中には立てられた爪の引っ掻き傷。酷い有り様なのは、お互い様だった。


           ***


体格の差はそれ程無い。と言いたいところだったが、少し高い身長に始まり太い首と広い肩幅、ごつごつとした無骨な手と堅くどっしりとした足腰、柔和で甘い顔をしているのにその分厚い唇は大きく開いて、私を頭から丸呑みにしてしまいそうな程だ。
しかしそれも悪くない、そなたの全てが好きなのだから

3/3ページ
スキ