SSS

SAVE ONE'S LIFE
AFTER THE ENDING

皆で描こう/書こう
テラディオ、オペラ企画──

あらすじ

クリスタルは消滅し、アルテマは討たれた。
魔法を失った世界で残された人々は
暮らしを豊かにする為に様々な発明をし、
人が人らしく生活していく上で、
必要な知恵を出し合うのだった。
「娯楽が必要だ」
発明の最先端にいるミドアドルはそう言った。
「働く者には休息が大事である」
ヴィヴィアンもこれには頷いた。


よろしい、ならば姫だ。


一命を取り留め、懸命なリハビリのおかげで
自由に歩き回れるようになった聖竜騎士団団長は、
若干一名の過保護な側近兼恋人による
盛大な反対のおかげで外に出してもらえず、
隠れ家内で暇を持て余していた。
白羽の矢が立つのは必然であり、道理であった。
昔流行ったらしい歌劇のひとつ
オペラ、マリア姫役にディオンを
戦士ドラクゥ役にテランスを
聖竜騎士団団員達の声援が上がり、
隠れ家として使われている遺跡に舞台装置が増設される。
そんな感じで皆の士気向上、癒しの為に
今、舞台の幕が上がる──!!!!




           ─────


ディオン様に歌って踊って頂けるだけで助かる命もあるんです!!

そう言ったのはどこの誰なのか、お願いしますと口々に懇願する声に掻き消されて特定することはできない。サロンに集まった騎士団員達とここで暮らしている者達に囲まれて、ディオンは両手を上げて待ったをかけた。
事の発端はミドアドル嬢の発明だ。
それを使って日々頑張っている皆へ束の間の息抜きを、娯楽を提供してはどうだという提案をディオンにしたのが全ての始まりである。
隠れ家と外を行き来して、物資を補充し、資材を搬入、備品の製造等を行い生活の補助をしつつ、より良い暮らしと発展をと、新たな基盤の構築に貢献している我が聖竜騎士団員達に、少しでも感謝の気持ちを伝えたいと思った事も背中を押した。
自分より先に目覚めて傷も癒えたロズフィールド兄弟が率先して外に出られているのも、ディオンが余興の話を受けた理由の一つだ。自分だけが何もできていない、そんな訳はないのだが、少しばかり焦燥感に駆られてしまうところもある。
頭の固い奴め、外に出るからといって、この場からいなくなるわけでもあるまいに。
小さな愚痴を言い始めるとキリがないので割愛するが、なんせ手持ち無沙汰だ。暇だ。隠れ家内の手伝いにしても限度がある。やり過ぎると他の者の仕事まで奪ってしまうし、程よい加減で働き、休みを取ることを覚えなければなるまい。
そうして空いた時間の中、この場でできる事といえば。


──歌い、踊ろうか。



さてさて此方にありますは、声を響かせる道具と様々な衣装、演劇の台本に照明演出舞台装置。まあ何でもいいのです、我が君が歌って踊ってくださるのならば!皆で演出しましょう思い描きましょう。さあ、我が君の美しく気高い晴れ姿を──って何です兵長帰ってきたと思えば突然此方にア゛ッ、待っ待ってくださいそれは我が君に着て頂くつもりの肩出し臍出し腿出しドレs……ア゛ア゛ア゛!!!!(断末魔)

あとは……頼みました……ガクッ
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