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L’amour dorée

太陽が沈み夜が訪れると、この街は昼のときとは全く違った表情を見せる。
私は泡風呂につかりながら街の夜景を星空のように輝く眺めていた。
「開けていいかい」
控えめな声と共にこつんとバスルームのドアを叩かれる。私は「どうぞー」と素っ気ない声で返事した。
「どうしたの?」
後ろを振り返らずに尋ねる。彼は別件があったはずなのにもう終わったのだろうか。
「シャンパンを開けようと思って。君も飲むだろう?」
「ええ」
その声に私は振り返る。キャンドルの灯りでルークの金髪は優しい色を帯びている。
「ヴィルさんに会ったの。本当に綺麗でオーラがあって…ちょっと悔しかった」
「彼はいつも冷静に立ち回り、何をすべきかどうすれば次へ進めるかを分かっているからね」
彼はそういいながらシャンパンをグラスに注ぐ。金色がきらきらと輝くさまはこの街の夜景にそっくりだ。
「私はその点半人前ってこと?」
「そうだ。君はまだまだ手のかかる子猫さ。だからこそその未完成さを傍で見ていたくなるんだろうけど」
けなされたのか褒められたのか分からずもやもやとする。私は手を組み水を飛ばした。彼が着ているシャツに染みができる。
「おや、悪い子だね」
「ごめんなさい。私、手のかかる子猫らしくてよく分からない」
そう返した私を彼はぽかんと見つめる。そして、口を手に当てて先程よりも大きく笑った。おかしくてたまらないといった風に。
「君も随分と愛らしいところがある。僕が悪かったよ、機嫌を直してくれないか」
ルークはシャンパンが入ったグラスを端に置くとおいで、と手招きした。近づくと彼は私の頭に手を差し込んでキスをした。ついばむように軽く唇を重ね、彼は舌を私の唇に当てて口を開けるように促す。彼の舌がするりと入り込み上手に私のを絡めとる。
唇を離すとルークはにっこりと笑った。そしてシャンパングラスを差し出す。
「どうぞ、マドモアゼル。この街の夜と君に」
「ありがとう」
私はシャンパングラスを受け取り、カチンとグラスを軽く当てた。
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