此処四番隊の虎徹副隊長は新入隊員の
さくらに三名のカルテをまずは手渡した。
「最初はこの三人を覚えて」
渡されたのは三番隊・十番隊・十三番隊の隊長格ばかりだった。
「あ、説明するから順番を変えないで」
一番上のカルテを移動させようとした
さくらを遮った。
まずは十三番隊から。
隊長のお名前は浮竹十四郎。
入隊式で右端にいた、白髪の人なつっこい感じの隊長ですね。
カルテにも笑顔で載っます。可愛いぃ///
ところが
「えっ?」
さくらは思わず声が出てしまいました。
だって
来所事由:薬草調合
症状:咳 発熱
喀血
喀血ぅぅ!?
喀血って、呼吸気管からの出血ですよ。
因みに吐血は文字通り消化器官からの出血です。
隊長ともなれば重圧で胃から血の出ることもあるでしょうが、喀血は………。
「気付いたようね」
虎徹副隊長、そりゃ気付きますって。
「はぁ…ι」
間の抜けた返事をしてしまいました。
「浮竹隊長は、いつ寝込むかわからない方だから体調管理を怠らないようにね。私の妹が見張ってはいるんだけど、ホントにしょっちゅう寝込むし隊首会の出席率も悪いし―――」
と、まだまだ愚痴…もとい説明は続きましたが、割愛します。
続いて十番隊隊長・日番谷冬獅郎。
「む?」
私の一言に
「目ざといわね」
と虎徹副隊長。
「お二人はお誕生日が一日違いですか」
そりゃあ護廷十三隊ともなれば、正隊員だけでも数千名。単純計算でも誕生日が同じ方は十人ぐらいいてもおかしくありません。
カルテを更に読み進むと
来所事由:薬草調合
及び医薬品調合
症状:頭痛/肩こり/めまい/ストレス/極秘―低身長
「…………」
コメントのしようがありません。
虎徹副隊長は私の心情を悟ったらしく
「ま、そういうわけで日番谷隊長はカルシウムとマグネシウムの栄養補助食品と軟膏は欠かせないから」
とあっさり説明を終えられました。
軟膏はイライラした時にリラックスしてもらうようアロマ入りで、胸に塗布する■ックス▲ポラップのようなものだそうです。
こんな小学三年生が護廷十三隊隊長?
とはいうものの、子供で良かった。
あの身長あの容姿で成人男性だったら、それはそれで問題でしょう。
最後に三番隊………。
「虎徹副隊長、これって皆さん白「髪の色で選んでないから」」
私の発言はギリギリセーフでしょうか?
この後白髪と銀髪と灰髪の説明を受けました。
更に「三番隊は隊長じゃないから」と言われ
カルテの名前を確認したところ
三番隊副隊長吉良イヅルとありました。
本人確認はまだですが、カルテで見る限り金髪です。
来所事由:薬草調合
症状:胃痛=ストレス
=って、ストレスから来る胃痛ってことですよねぇ?
じゃあ浮竹隊長が喀血隊長で、この方が吐血副隊長ですか。
「正解」
はっ、虎徹副隊長。私は声に出していないのに。
「顔を見ればわかるわ。それと吉良副隊長はもう一つ症状があるから」
と言って虎徹副隊長はカルテの一部分を指先で温めました。すると
恋患い・万年片思い
どうしてこんなあぶり出し的な仕掛けがあるのかわかりませんが?
「お相手は五番隊副隊長だから」
あぁ、真剣に恋焦がれている方のお相手を、そんなにあっさりバラしていいものなのでしょうか――――?
「これで、主要な三人は把握できた?」
そう問われれば、はいと返事をするしかありません。
「で、
さくらにやってもらいたいのは……」
「はい。お薬の調合で
「浮竹隊長の専属ナースと日番谷隊長のお母さん役と恋の相談役。同じく吉良副隊長の恋愛相談役と愚痴の聞き相手ね」」
「―――はい?」
「だから、浮竹隊長はよっぽど悪くならないと薬を渡しても飲まないから、口移しだろうと何だろうと何が何でも服薬させてね」
「え?」
「えじゃないの。何のために四番隊が袴も履かずに短衣でいると思ってるの。それも桃色の!」
それって、そんな理由だったのですか!
驚く
さくらに虎徹副隊長は続けた。
「もう。中年ぐらい、若い
さくらがお願いって迫ればワケないから。十三番隊の業務はまだしも隊首会は欠席させないよう上手くやるのよ。多数決も取れないって卯ノ花隊長が嘆かれるのは見てられないから」
「ιιι」
「その様子じゃ、後の二人のあしらい方もわからないわね?いい?日番谷隊長は年上だけど可愛いくて頼りない女の子が好みなの。だから軟膏を塗ってあける時に――「わ私が塗るのですか?」
当たり前じゃない。一々私の言葉を遮らないで。塗る時にお母さんのように『シロちゃん、お胸出して』とか優しくはだけるの。でも最初はおっちょこちょいなところも見せるといいかもね。『軟膏出しすぎちゃったエヘッ』とか」
「ゝゝゝゝ」
「どういう反応してるの。あ、それと日番谷隊長と吉良副隊長の想い人は一緒だから」
Σ∵∩
「一々リアクションいらないって。だからどちらかがブルー入ってたら、
さくらが上手く慰めるのよ。そうしないと普段一人で隊の事務処理こなしてるこの二人が機能停止すると十番隊と三番隊の業務も止まっちゃうから。わかった?」
わかりません。
わかりたくありません。
これって……。
「
さくら、浮竹隊長が蜜吸いに来たわよ」
蜜って…私のことですか?花の蜜?
待って、それじゃあ浮竹隊長方は蜜に群がる昆虫ですか?
え?花が蜜を出す理由って確か………受粉?受粉に当たるのは?
「
天宝院さくら」
此処、四番隊の卯ノ花隊長が歩み寄る。
「―――あなたが一番力を発揮しないといけない方です」
ああああぁぁっ、この展開は―――
浮竹隊長が隊首会を病欠すると多数決もままならない。
三番隊がコケたら回覧板も回って来ない。
十番隊が事務処理してくれないと重要な書類が上がって行かない。
全ては卯ノ花隊長のため。
私は……体を張って卯ノ花隊長の安定した日常を紡ぐ、平隊員なのですね。
by
さくら************************************************雪の護廷十三隊〔一〕 風⋆花⋆雪⋆月