初めての宿舎での休日、
武礼は姉を部屋に誘った。
武礼の隣には
さくら。そして向かいには……上官の阿散井が座している。
平隊員ほど休日がもらえない、確か今日は非番ではなかったはずの副隊長までもがどうして自分の部屋に居座ることになったのか……。
武礼は足を崩せないまま自室で戸惑っていた。
阿散井は、
さくらの持参した茶菓子を全種類平らげようとしている。
「
さくら。茶、もう一杯くれ」
お茶ひとつにしても喜んで、抹茶ですか煎茶ですか焙じ茶がいいですかと応える気の利く
さくらに甘え、狭い室内で大きな態度をとる阿散井副隊長。
落ち着かない
武礼とは違い、
さくらは阿散井が貪り食う姿をにこにこ眺めている。
1
阿散井は湯飲みの茶を再度飲み干した。
「…全種類、召し上がられたんですか?」
「おおう!!当然だぜ」
武礼は皮肉を言ったつもりだったのに自慢されてしまった。
「十個だっけ?」
「ううん、十二個」
お重を覗く姉が答える。
武礼はそう、と軽く言った後 見てしまった。
「恋次…」
名を呼ばれ振り返る、 その満足そうな副隊長の背後に
「!? !!!!!!」
朽木隊長が能面よろしく無表情で威圧する姿を
2
「…た…ちょ……」
「た」って言えただけでもさすが副隊長だと
武礼は思った。
俺なら隊長のあんな姿見たら体真っ二つにされたのと同じで、まともな言葉なんて出ないだろうなと。
何をしておると聞かずも哉。言い訳無用と言われるのも御尤も。
あれで斬魄刀抜いてないんだから、隊長を本気で怒らせたらなんて想像もつかない。
3
四つんばいで悲鳴にならない悲鳴を上げながら仕事に戻る副隊長は、尻尾があれば絶対縮こまって丸めていたことだろう。
でも、やっぱり業務時間帯にこんなところで茶菓子を食い尽くして長居した副隊長に非があるよな…………。
武礼はふと、「俺も当番だったっけ?」と疑問がわいた。
しかし先ほどの息もできぬ状況は幻かと思わんばかりの穏やかさ。
ただ理解できないのは、
何故
朽木隊長が自分の部屋に留まっているかだった。
4
姉のすごいところは、
今まであれだけ俺達を震え上がらせていた男に対して
「お邪魔しております、朽木隊長」
とさらりと挨拶できる点だ。
「隊長も、お召し上がりになりますか?」
しかも副隊長がぽこぽこ穴だらけにした重箱を差し出す。
「私は、甘いものは好まぬ故―――――」
武礼は、二人の会話が成立していることに相当驚いた。
あぁ、と姉は得心し、
「では、お茶はいかがでしょう?」と問うと
隊長から肯定の返事が述べられた。
5
そして副隊長にも問うたあの言葉をまた口にした。
「お抹茶ですか煎茶ですか?それとも焙じ茶にでも致しましょうか」
この時
武礼はもしかして姉はかなりの兵(つわもの)なのではないかと、感服した。
→Writer's notE→→
************************************************阿散井副隊長、情けない退場の仕方ですね。ファンの方はゴメンナサイ!
また設定話になりますが、浮竹隊長編には藍染隊長(の名前)が出ているため、ルキアちゃんが現世勤務する前です。ってことはBLEACHが始まってませんね………ι
書きたい話があった為そうしました。
朽木隊長編は阿散井副隊長を登場させたかったので、藍染隊長が去ってからの話です。
京楽隊長編は時期はどっちでもいいです。一応浮竹隊長編とリンクしているストーリーもあるので、浮竹隊長編と同時期としておきます。
大した設定ではありませんが、作者さくらの頭の中を理解していただくのは難しいですね。
ご覧いただいてくださる
さくら様に、厚く御礼申しあげます。
<m(__)m>
朽木隊長 風⋆花⋆雪⋆月