相手は隊長。
約束の日、
武礼は待ち合わせの四半時前には着くように護廷十三隊を出た。
しかし浮竹は既に其処で待っていた。
さくら達に気づくと、浮竹は満面の笑みを浮かべ開口一番
「よお!
武礼も一緒か。こりゃいい!」
と述べた。
武礼が詫びようとすると、浮竹は大きな手と腕でそれを遮って自らよろしくなと挨拶する。
屈託のない笑顔。
冬の寒空に溶け込むような姿なのに、温かく包み込む霊圧。
武礼が拍子抜けするほど、この隊長は好感が持てた。
何より心から、姉との恋路に割り入った弟を拒まないどころか歓待している。
「………………………」
武礼はどこかでこの男と会ったような感じがした。
正確にはこの男と似た誰かだが。
1
「どうしようか。昼までにはまだ時間があるから、何処か行きたい処とかあるか?」
二人に平等に目を配る。
武礼は浮竹隊長が他隊の者にまで信頼が篤い理由が、すぐに理解できた。
初めて接する
武礼の印象でさえ実直・朴訥といった感じで裏表がなく、自分達よりあどけない雰囲気。
にも関わらず護廷十三隊隊長という実力の持ち主。
武礼は少々腹が立ってきていた。
いったい、この隊長のどこが気に入らねーんだ?
さくら姉!? と。
2
とりあえず、
この二人には行き先を決められそうではなかったので
武礼が
「姉はこの辺りは初めてなので、町の案内をお願いします」とリードした。
浮竹が早々に食事処の通りへ向かいそうになった時も、さり気なく
さくらに扇子屋があると指し示し
それに気づいた浮竹を女物の着物や小物を取り扱う店の多い通りへと向かわせたりもした。
もう年の瀬も押し迫ってきた今日
さほどにぎわうこともないかと思っていたが、買い忘れはないかと立ち寄る貴族らが何組か店を占領していた為眺めるだけには苦労しなかった。
「これなんか、
さくら姉の好きそうな柄だよね」
姉の好みを浮竹にわかるように
「このお香、持ってたよね」
それとなく口にする。
さくらも普通の女の子と同様、着飾る物を手にするのは楽しい。
浮竹は
武礼の気配りを知ってか知らずか、にこにこと二人を眺めている。
傍から見れば保護者と見紛うだろう。
3
「ね、ね。
武礼―――」
これを見てと武礼の袖を引く。
自分ばかりに甘える姉に、少々不味いなあと思案しながら
さくらの手元を覗く。
袖を放した姉の傍から、そっと後ずさった。
「ほら、ねぇ」
隣の男の腕を掴み、破顔一笑。
さくらの極上の笑みを受け取ったのは、浮竹だった。
「!!! し、失礼致しました―――」
さくらは慌てて浮竹の腕を放し、頭を下げた。
浮竹は
さくらが普段とは違うことに気づいていた。
武礼にだけは本来の自分を見せられるのだと。
4
「
さくら、俺とも敬語を使わずに話してくれ」
それは隊長に対して失礼ですと
さくらは取り合わない。
「んー」
どうしようかと浮竹が首を傾ける。
「じゃあ隊長命令」
ええっ!!と
さくらが飛び上がる。
こんなところで職権乱用か?
「ははっ、冗談、冗談」
悪戯が成功した顔を見せる。
さくらが「もうっ」と怒った。
「そう、それ」
浮竹が
さくらの顔を指す。
「そういう顔していいんだよ、
さくら」
いっつも笑顔でいようとしなくてもいいんだと、浮竹は言った。
さくらは浮竹の真意がわからぬまま曖昧な返事をした。
武礼も、同感だった。
「よし!そろそろ飯にするか!」
浮竹は手を打つと、予定していたであろう店へと二人を誘(いざな)った。
→Writer's notE→→
************************************************浮:おい、さくら。
どうして俺と
さくらのデートが一番短いんだ。
しかもタイトルには夜とあるのに昼飯の話も無い。
だって、浮竹隊長ってそういう下調べとか疎そうなんだもの。
だから弟が付いて来たわけだし。
弟:えっ、俺ってそんな役割だったんですか!?
そうですね。(キッパリ)
浮竹純愛物語は、二人に任せてたら全然進展しなかったので、どうしてもサポートが必要だったんです。
浮:それにしても初期設定の武礼という
さくらの弟の名前、何とかならなかったのか?
多分
さくらには《ぶらい》と読めん。
これも伏線です。
浮竹隊長に息子さんができるまで、お待ち下さい。
浮:∑なっ、お、俺の息子っ!?//////
弟:遠すぎる未来だなι
てか初期設定だからコレ、話をUPできないことになりましたね。
弟クンの名前の固定を外しましたからね。どうしましょ?(^_^;)
まあ、それは今後考えます。
それではここまでお付き合い下さった
さくら様、ありがとうございました。
浮竹隊長〔一〕 風⋆花⋆雪⋆月