刀剣乱舞
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うちの本丸には、とてもカッコ良い刀がいます。
「主!支度は済んだのか?」
「もう少しで終わるよ」
「そうか。では、ここで待っているとしよう」
私に背を向けるよう廊下に座り込んだ彼は、そのまま庭の縁側を眺める。大きな声に真っ直ぐな性格。そして気遣いの出来る彼、大包平はとてもカッコ良く見える。いや、見た目は間違いなくカッコ良いのだけれど。ただ、それだけではないのが、この大包平という男だ。
例えば、普段大きな声で話す彼は、私が一度その声に驚いてしまってからというもの、私と話すときは必ず声量を落とすし、声色もどこか優しい。そして今、こうして私に背を向けているのも、女性の支度を見るものではないという彼の考えと配慮からだ。こうした気遣いも出来て、優しさもある。なのに、戦いになれば頼りになる強さだってある。美しさも、大包平が最も美しいと言う人がいると聞いて、思わず頷いたほどだ。
「大包平さん!ここで何してるの?」
「今日は大将の近侍だっけ?」
「あぁ。主と出掛けるのに、ここで待機している」
どうやら、近くを通りかかったらしい乱と信濃に話しかけられたらしい。みんなと仲良しなんだなぁと、また彼の一面を伺えたようで微笑ましくなる。
「そうなんだ!…あ、ねぇねぇ、ボクが主さん可愛くしてもいい⁉」
「俺、大将の懐入りたい!!」
「却下だ信濃!!」
「ちょっと位良くない?」
「駄ー目ーだ!!…乱も有り難いが、主に聞いてからにしてやってくれ。お前も見た目は可愛らしいが、男だ。主も気を使うかもしれん」
そんなところにまで気を回してくれるのかと、嬉しさと共に暖かさが染みていくようで。用意していた鞄を持ち、みんながいる方へと歩いていく。
「そっかー…。うん、そうだね!主さーん!どうかなー?」
「準備は終わっちゃったから、また次のときにお願いしても良いかな?」
「…うん、わかった。次は、うーんと可愛くさせてね!」
「その時はよろしくね」
部屋から出てそう告げれば、乱は少し残念そうにしながらも眩しい笑顔で返してくれた。それがまた可愛らしくて、つい頭を撫でてしまった。
「俺は今、懐に入っちゃう!」
「っ信濃!!駄目だと言っただろう!!」
「わっ!」
「す…すまん、驚かせてしまったか」
「だ、大丈夫…」
すぐに気付いて、こうして声を掛けてくれるのも優しさか。苦笑しながらそんなことを考えていれば、目に入ったのは面白くなさそうな信濃の顔。
「どうしたの?信濃」
「…懐くらい良いでしょ!今から二人ででーとするんじゃん!これくらいさ!!」
「もー!!信濃!二人の邪魔しちゃ駄目だよ!!…それじゃ、ボクは信濃を連れて行っちゃうから!楽しんできてね」
「大将ぉー…」
名残惜しいだろう信濃を、ずるずると引きずっていった乱を見送る。逞しいというかなんというか。乱に一期の面影を見た気分だ。
コホンと聞こえた咳払いに目をやれば、私の靴を用意して先に庭に降りている大包平。
「そろそろ出ないと……遅くなるだろう…」
「…うん、そうだね」
用意してくれた靴を履けば、段差があるからだろうか。手を差し出して、エスコートしてくれている。それがまるで王子様のようで。
「カッコ良いね、大包平」
「当然だ」
自信満々に笑う彼がとても愛しい。惹かれて止まないこの気持ちを、どうしたら良いのかわからないまま、差し出された手にそっと重ねた。
「あぁ、帰ったか大包平」
「…戻った」
「今日は、なかなか頑張っていたじゃないか」
「…何のことだ」
「主と出掛けるのに、照れるのを我慢していたんだろう?違ったのか?」
「ぐぅっ!!ちがっ…ちが……わなくもない…」
「全く、面白いやつだな大包平は」
身内に見せる、そんな顔があることを私はまだ知らない。