ヒプノシスマイク
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「おい、どうすんだ……っ!!」
すぐ近くで、パチパチと鳴る焚き火の音に掻き消されそうな程の小声でありながら、その言葉がするりと入ってきてしまった私と入間さんは頭を抱える。いや、頭を抱えているのは目の前の碧棺さんも一緒か。ちらりと三人で同じ方向を見れば、何とも楽しそうに鼻歌を歌いながら料理をしている毒島さんがいる。
「無理ですよ……理鶯があんな楽しそうなのに、言えるわけがない……!!」
「ただ腹いっぱいだって言えば良いだろうが」
「じゃあ、碧棺さんどうぞ!」
「あ?無理だろ」
「では我々にも文句言わないでほしいですね!!」
こそこそと、あぁでもないこうでもないと話しているのは、毒島さんの料理のことだ。今日は、どうやら『活きの良いものが入った』らしく、毒島さんが振る舞ってくれると呼ばれた。憧れである毒島さんが呼んでくれたのだからと、即座に『行きます』と回答したのだ。そう、回答してしまった――。
回答したことに後悔はしていない。回答していなければ、毒島さんの家を訪れる機会は無かったのだから。家を訪問出来たことは、むしろ私にとってプラスだと思っている。だが、こうして料理の出来上がりが近付くと、冷や汗が先程から背中を伝って仕方がない。
「さぁ、出来たぞ」
鍋ごと持ってきた毒島さんの表情は、とても嬉しそうだ。三人で目を見合わせ、こくりと頷く。そっと立ち上がり、鍋の中を見れば――。
鍋いっぱいのサソリ達。
いきなりクライマックスの様なそれに、ふらりと倒れそうになるが、入間さんと碧棺さんが背中を支えてくれる。
――あぁ、頼もしい仲間だ。ありがとう!!
そんな思いに浸っている間に、並べられた皿にサソリが一頭ずつ。こちらを見つめるように鎮座している。
「サソリは栄養素がとても豊富だ。血行促進も期待出来る。あぁ、浮腫解消に繋がるかもしれないな」
「へ、へぇ…………そうか……」
「わぁ……浮腫解消まで、出来るんですかぁ……。素晴らしい……食材ですね」
「えぇ、本当に……」
三人揃って青褪めている顔は、残念ながら焚き火に照らされて気付く人はいないだろうが。
――どうしよう、意を決して食べるしかない……?
そう思いながら後ろを振り返った時、カバンに手が当たって何かが転がっていく。どんどん暗がりへと行ってしまうが、あれは――。
「……サバ缶?」
確か、帰ったら夜食の足しにしようかと買ったものだ。ぽつりと呟いた一言に、ぐるりと入間さんと碧棺さんの顔がこちらへ向く。さらに両側からがしりと手を掴まれ、逃げることなど許さないと机に固定される。その様子が、さながらホラーのようで恐怖まで覚えるが。
「サバ缶なんて、そんなものより瑠奈も理鶯の料理でしょう?」
「おぉ、そうだな。理鶯の飯が美味そうだろうがよ」
「さ、遠慮せずに食べてくれ」
先程まで“頼もしい”と思っていた仲間は、地獄への道案内人のように見えるし、とても良い表情でこちらを見る毒島さんの好意を断るのも心苦しい。
【急募 ここから逃げる方法】
この場から――MTCの三人から、逃げる方法を探しています。