5日目
おなまえ
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5日目:???
「……を……か?」
眠っている私に誰かが何か言っている。
でもなぜか今日はいつもより頭が重くて、その声に意識を傾けようとしても上手くいかない。
正直、そんなことより眠いが勝って適当な返事をしている内にその声はどこかへ消えた。
『愛の鍵を使いますか?』
-はい
*****
「…ん?」
気がつくと私は知らない部屋にいた。
広いとはいえない室内にどデカいベッドが一つ。それに木馬って言うんだろうか、そういうよく分からない装飾品の数々が見える。
実物がどんなものかは知らないけど、いわゆるラブホテルのようなイメージの空間だった。
夢なんだろうか。それにしてもこんな空間を夢で見るなんて、知らぬ間に欲求不満を拗らせていたのかと自分のことが怖くなる。
知らないはずなのに、よくここまで精巧に妄想できるなぁと我ながら感心しながら辺りを眺めていると、ひとつしかない扉のノブがガチャリと動いた。
突然の展開に驚いてそちらを見ると、入ってきたのはいつもの胡散臭い笑顔を浮かべた王馬くんだった。
「は~いい湯だった」
そんなことを言いながらガシガシと髪をタオルで拭う彼は、その様相から風呂上がりであることが分かった。
どんな展開…?どういう夢にしたいの??
自分の心に問いかけても答えは返ってこない。
「…そんなに見つめちゃってどうかした?あ、もしかして見とれてる?え、水も滴るいい男だって?たはー、照れちゃうなー!」
「そんなこと一言も言ってないし思ってもないわ」
夢の中でも王馬くんが王馬くんすぎる。
そんなところまで正確に再現しなくていいのに何やってんだ、どうせならもっと楽しい夢を見たいわ。
「はいはい、それも照れ隠しなんでしょ?たまには素直になりなよねー」
「はい!?違うって、なんでそんな発想に…!」
「今ここにはオレとなまえの2人だけなんだから、意地張らないでいいんだよ?」
王馬くんが近づいてきて、肩をトンと押された。
私の身体は柔らかいベッドに倒れ込み、それに続いて王馬くんもベッドに脚をかける。
なんだか様子がおかしい。
というか、今私のことなまえって言った?なんで?
いくらなんでも私の夢にしては話の方向性がおかしすぎる。
ぐるぐると考え事をしている内に王馬くんはどんどん距離を詰めてきて、まるで彼に押し倒されたかのような体勢になっていた。
「ひっ…ななななんですか…?」
「あはは、顔真っ赤」
「や、だってこれはさすがに冗談じゃ済まされないんじゃ…」
「へぇ、まだ冗談だと思ってるんだ?」
そう言って、王馬くんから笑顔が消えた。
初めて見る真剣な顔と、息がかかる程の距離とで私の心臓は壊れるんじゃないかと不安になるほど素早く鼓動を打っている。
なんなのこの刺激的すぎる夢は…。
……夢?もしかして、これは私の夢じゃなくて王馬くんの夢?
愛の鍵って持ってるだけでアウトなの?ちゃんと使用方法書いといてよモノクマの馬鹿!
「そろそろ分かってくれてると思ってたのになー…」
王馬くんがそうぽつりと呟く。
なんだか切なげに声色で私まで胸が苦しくなった。
まさか、私が王馬くんの夢の世界観に合わせてないからなんだろうか。
苦手な相手といえど、さすがに罪悪感が募る。
「あ、あの…王馬くん?」
「…なに?」
「ここってどこなのかなーって…私、さっぱり状況が読めてなくて…」
申し訳ない気持ちから罪滅ぼしがしたくて、今からでも出来る限り合わせてあげるために情報が欲しかった。
かなり苦しい会話の流れな気はしたが、王馬くんは「なまえ、寝ぼけてるの?」と都合のいい解釈をしてくれたためそれに乗っかってここに至るまでの経緯を聞いた。
どうやら私は王馬くんの組織の部下で、今はひと仕事終えた後アジトに戻ってきたという設定らしい。
こんないかがわしい一室がアジトにあるのかと思ったが、多分そこは王馬くん視点では違ったビジョンで再現されているのだろう。
そして他の部下達は気を利かせて他の部屋で打ち上げ中なんだとか。
なんの気を利かせたのかはよく分からないけど。
「あーあ、やっぱり今日はやめやめ!なまえも疲れてるみたいだし、もうこのまま寝ちゃおっか?」
「う、うん…?」
「でもさー、お預けばっかりも案外しんどいんだよ。だから…これくらいは許してくれるよね?」
ね?と首を傾げながら問いかけられ、よく分からないながらも話を合わせるために頷いてみた。
「…よく分かってなさそうだけど、ちゃんと許可はとったもんね」
あれ、もしかして頷いたらまずいところだった?
なんの事なのかちゃんと確かめようと口を開いたが、その瞬間私の唇は何かに塞がれて声を上げることはできなかった。
唇に温かくて柔らかいものが触れて、すぐ目の前には王馬くんの顔がある。
夢の中でファーストキスを体験することになるとは誰が予想出来ただろう。
まるで熱でも出たみたいに頭がぽーっとする。
そっと離れた彼の唇から「好きだよ」という囁きが聞こえた。
とどめを刺しに来るんじゃないよ。
これはただの王馬くんの理想のシチュエーションというだけで、私に対する言葉じゃないんだ。
そう自分に言い聞かせても、どうしても心臓のドキドキは鳴り止まなかった。
*****
「……ん、ぅ…?」
まだ覚醒しきらない頭の奥で、誰かが優しく私を呼ぶ声を思い出す。
誰だったんだろう。温かくて柔らかい、これは何?
もぞもぞと動いて時計を確認するとまだ朝の4時だった。
なんだか頭が重いくて熱い。
もう少し寝よう…。
あれは誰の記憶だったんだろうと思いながら、私はそっと意識を手放した。
「……を……か?」
眠っている私に誰かが何か言っている。
でもなぜか今日はいつもより頭が重くて、その声に意識を傾けようとしても上手くいかない。
正直、そんなことより眠いが勝って適当な返事をしている内にその声はどこかへ消えた。
『愛の鍵を使いますか?』
-はい
*****
「…ん?」
気がつくと私は知らない部屋にいた。
広いとはいえない室内にどデカいベッドが一つ。それに木馬って言うんだろうか、そういうよく分からない装飾品の数々が見える。
実物がどんなものかは知らないけど、いわゆるラブホテルのようなイメージの空間だった。
夢なんだろうか。それにしてもこんな空間を夢で見るなんて、知らぬ間に欲求不満を拗らせていたのかと自分のことが怖くなる。
知らないはずなのに、よくここまで精巧に妄想できるなぁと我ながら感心しながら辺りを眺めていると、ひとつしかない扉のノブがガチャリと動いた。
突然の展開に驚いてそちらを見ると、入ってきたのはいつもの胡散臭い笑顔を浮かべた王馬くんだった。
「は~いい湯だった」
そんなことを言いながらガシガシと髪をタオルで拭う彼は、その様相から風呂上がりであることが分かった。
どんな展開…?どういう夢にしたいの??
自分の心に問いかけても答えは返ってこない。
「…そんなに見つめちゃってどうかした?あ、もしかして見とれてる?え、水も滴るいい男だって?たはー、照れちゃうなー!」
「そんなこと一言も言ってないし思ってもないわ」
夢の中でも王馬くんが王馬くんすぎる。
そんなところまで正確に再現しなくていいのに何やってんだ、どうせならもっと楽しい夢を見たいわ。
「はいはい、それも照れ隠しなんでしょ?たまには素直になりなよねー」
「はい!?違うって、なんでそんな発想に…!」
「今ここにはオレとなまえの2人だけなんだから、意地張らないでいいんだよ?」
王馬くんが近づいてきて、肩をトンと押された。
私の身体は柔らかいベッドに倒れ込み、それに続いて王馬くんもベッドに脚をかける。
なんだか様子がおかしい。
というか、今私のことなまえって言った?なんで?
いくらなんでも私の夢にしては話の方向性がおかしすぎる。
ぐるぐると考え事をしている内に王馬くんはどんどん距離を詰めてきて、まるで彼に押し倒されたかのような体勢になっていた。
「ひっ…ななななんですか…?」
「あはは、顔真っ赤」
「や、だってこれはさすがに冗談じゃ済まされないんじゃ…」
「へぇ、まだ冗談だと思ってるんだ?」
そう言って、王馬くんから笑顔が消えた。
初めて見る真剣な顔と、息がかかる程の距離とで私の心臓は壊れるんじゃないかと不安になるほど素早く鼓動を打っている。
なんなのこの刺激的すぎる夢は…。
……夢?もしかして、これは私の夢じゃなくて王馬くんの夢?
愛の鍵って持ってるだけでアウトなの?ちゃんと使用方法書いといてよモノクマの馬鹿!
「そろそろ分かってくれてると思ってたのになー…」
王馬くんがそうぽつりと呟く。
なんだか切なげに声色で私まで胸が苦しくなった。
まさか、私が王馬くんの夢の世界観に合わせてないからなんだろうか。
苦手な相手といえど、さすがに罪悪感が募る。
「あ、あの…王馬くん?」
「…なに?」
「ここってどこなのかなーって…私、さっぱり状況が読めてなくて…」
申し訳ない気持ちから罪滅ぼしがしたくて、今からでも出来る限り合わせてあげるために情報が欲しかった。
かなり苦しい会話の流れな気はしたが、王馬くんは「なまえ、寝ぼけてるの?」と都合のいい解釈をしてくれたためそれに乗っかってここに至るまでの経緯を聞いた。
どうやら私は王馬くんの組織の部下で、今はひと仕事終えた後アジトに戻ってきたという設定らしい。
こんないかがわしい一室がアジトにあるのかと思ったが、多分そこは王馬くん視点では違ったビジョンで再現されているのだろう。
そして他の部下達は気を利かせて他の部屋で打ち上げ中なんだとか。
なんの気を利かせたのかはよく分からないけど。
「あーあ、やっぱり今日はやめやめ!なまえも疲れてるみたいだし、もうこのまま寝ちゃおっか?」
「う、うん…?」
「でもさー、お預けばっかりも案外しんどいんだよ。だから…これくらいは許してくれるよね?」
ね?と首を傾げながら問いかけられ、よく分からないながらも話を合わせるために頷いてみた。
「…よく分かってなさそうだけど、ちゃんと許可はとったもんね」
あれ、もしかして頷いたらまずいところだった?
なんの事なのかちゃんと確かめようと口を開いたが、その瞬間私の唇は何かに塞がれて声を上げることはできなかった。
唇に温かくて柔らかいものが触れて、すぐ目の前には王馬くんの顔がある。
夢の中でファーストキスを体験することになるとは誰が予想出来ただろう。
まるで熱でも出たみたいに頭がぽーっとする。
そっと離れた彼の唇から「好きだよ」という囁きが聞こえた。
とどめを刺しに来るんじゃないよ。
これはただの王馬くんの理想のシチュエーションというだけで、私に対する言葉じゃないんだ。
そう自分に言い聞かせても、どうしても心臓のドキドキは鳴り止まなかった。
*****
「……ん、ぅ…?」
まだ覚醒しきらない頭の奥で、誰かが優しく私を呼ぶ声を思い出す。
誰だったんだろう。温かくて柔らかい、これは何?
もぞもぞと動いて時計を確認するとまだ朝の4時だった。
なんだか頭が重いくて熱い。
もう少し寝よう…。
あれは誰の記憶だったんだろうと思いながら、私はそっと意識を手放した。
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