本編【全16話】
おなまえ
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赤松さんととばっちり
※赤松視点→王馬視点
※最赤要素あり
「それでね、最原くんってば本当に鈍感で…もう私自信なくなってきたよ…」
「よしよし、楓ちゃんはとっても可愛いよー大丈夫だよー」
私は今、お友達のなまえちゃんの部屋で不死の酒フリー(ノンアルコール)を呑みながら恋愛相談に乗ってもらっている。
話しているうちに悲しくなってきて机の上に突っ伏していると、なまえちゃんが優しく頭を撫でてくれた。
「うぅ… なまえちゃん…」
「うん、どうしたの?」
「私…決めたよ。今夜は限界まで呑む!」
「しょうがないなぁ。私も付き合うよー」
本物のお酒は飲んだことがないし、そもそもここにはそんなものは置いていない。
愚痴を聞いてもらいながらノンアルコール飲料を煽っていると、本当に酔っ払ってきたような気分になるから不思議だ。
しばらくそんな調子で呑んで喋ってを繰り返していると、だんだんとなまえちゃんの様子が変わってきた。
「かえれちゃん!もー1本!」
「ちょっとなまえちゃん、全然喋れてないし顔真っ赤だよ!それにもう在庫切れ!」
「うー、じゃあ購買行く。行こうよー」
「もう、分かったから!転ばないでよ?」
「うん!」
なまえちゃんはどうやら私よりも気持ちで酔えちゃうタイプみたい。
お酒の場で雰囲気に酔うことがあるって聞いたことがあるけど、きっとなまえちゃんはそういうタイプなんだろうな。
返事だけは威勢よく返した彼女だけど、いざ立ち上がってみると足元はおぼつかなくて慌てて体を支えるために肩を寄せる。
私の心配をよそに上機嫌ななまえちゃんは、体勢を立て直すやいなや「いくぞー!」と元気に個室を飛び出してしまった。
「なまえちゃん待って!危ないしもう夜だからあんまり大声出しちゃ…あっ!」
目の前でなまえちゃんの体が傾いていくのが見える。
このままじゃ転んじゃう!
そう思って彼女の元へ駆け寄ろうとした時、視界の端から突然人影が飛び込んできた。
「っと、みょうじちゃん大丈夫?」
「あ、王馬くん…よかった…」
「んー?あー、おーまくんだ。こんばんはー」
「はーいこんばんはー」
人影は王馬くんだった。見かけによらず案外力はあるみたいで、倒れかかったなまえちゃんを片腕だけで抱きとめている。
いつから近くにいたんだろうと疑問に思ったけれど、ひとまずなまえちゃんに怪我が無かったことに安心する。
「良かった…」
「んふふー。おーまくんのお顔がよく見えるよー」
「…ねぇ赤松ちゃん、みょうじちゃんどうしちゃったの?なんか変なものでも食べた?」
なまえちゃんに顔をペタペタ触られている王馬くんが、何が何だかという顔をしながら私にこそこそと確認してくる。
そりゃそういう反応になるよね。
「あー…えっと、実は…」
私はこうなるまでの経緯を掻い摘んで話した。
王馬くんは半信半疑といった表情だったけれど、なまえちゃんの様子を見て納得せざるを得ないと思ったのか話を聞き終わった後に小さくため息をついた。
「ノンアルコールでこんなことになる人いるんだー…」
「うん、私も驚いてる…。ねぇなまえちゃん、やっぱり危ないからもう帰って寝よ?」
「んー、ぅー…」
「なまえちゃん…?」
私がなまえちゃんの顔を覗き込むと、いつの間にか彼女は王馬くんの腕の中ですやすやと眠ってしまっていた。
「寝ちゃったね…」
「そうみたいだね。赤松ちゃん、みょうじちゃんの部屋の鍵って誰が持ってる?」
「あ、私が」
「貸して。オレが部屋に戻しとくよ」
「えっ…でもさすがにそれは…」
年頃の男女が個室に2人きりって、それは問題しかないのではないか。
私が鍵を渡すことを躊躇っていると、王馬くんは自分の腕の当たりを指さしてここを見ろと示している。
「しっかり握られてて離してくれそうにないからさ。別に赤松ちゃんが考えてるようなことはしないから大丈夫だよー」
変なことを考えているのを見透かされた気がして少し恥ずかしくなる。
まぁ…この2人は仲が良いし、私もこの状況を知ってるわけだし…心配してるようなことは起こらないかな…?
現実的に考えても一旦王馬くんに任せる以外の選択肢がなく、仕方なく私はなまえちゃんの個室の鍵を彼に手渡した。
「じゃあ…はい。絶対、変なことしちゃダメだからね?」
「はいはい分かってるよ。ていうか、こんな爆睡してる子襲うって相当だと思うよー」
王馬くんは私から鍵を受け取ると、なまえちゃんを軽々抱えて彼女の部屋に入っていった。
いつもと違っておふざけしてる感じではなかったし、信用できるかな。
少しの間なまえちゃんの個室の扉を見守ってから、私も自分の個室に戻った。
*****
「みょうじちゃん、ベッド着いたよー」
「…すぅ、ん……」
「って聞いてないか。いい加減そろそろ手も離してほしいんだけどなー…」
「おーまく…んふふ…」
むにゃむにゃと寝言を言いながら笑うみょうじちゃん。
よからぬ事を考えそうになって慌てて視線を逸らす。
でも、少しくらいなら…。
そんな邪な思いが拭いきれず、またみょうじちゃんの顔をそっと覗き込む。
気持ちよさそーに寝てんなー。
幸せそうな寝顔。少しだけ開いた口から聞こえる寝息。赤らんだ頬に、柔らかそうな唇。
ゴクリと息を飲んで、そっと自分の唇を近づける。
もう少しで触れてしまいそう、そう思った時。
「ん…むにゃ…」
見計らっていたかのようなタイミングでみょうじちゃんが寝返りをうち、それと同時に掴まれていた腕を離される。
「…………はぁ、帰ろ」
これで良かったのか悪かったのか。
何とも言えない悶々とした気持ちになりながら自分の個室へと戻った。
※赤松視点→王馬視点
※最赤要素あり
「それでね、最原くんってば本当に鈍感で…もう私自信なくなってきたよ…」
「よしよし、楓ちゃんはとっても可愛いよー大丈夫だよー」
私は今、お友達のなまえちゃんの部屋で不死の酒フリー(ノンアルコール)を呑みながら恋愛相談に乗ってもらっている。
話しているうちに悲しくなってきて机の上に突っ伏していると、なまえちゃんが優しく頭を撫でてくれた。
「うぅ… なまえちゃん…」
「うん、どうしたの?」
「私…決めたよ。今夜は限界まで呑む!」
「しょうがないなぁ。私も付き合うよー」
本物のお酒は飲んだことがないし、そもそもここにはそんなものは置いていない。
愚痴を聞いてもらいながらノンアルコール飲料を煽っていると、本当に酔っ払ってきたような気分になるから不思議だ。
しばらくそんな調子で呑んで喋ってを繰り返していると、だんだんとなまえちゃんの様子が変わってきた。
「かえれちゃん!もー1本!」
「ちょっとなまえちゃん、全然喋れてないし顔真っ赤だよ!それにもう在庫切れ!」
「うー、じゃあ購買行く。行こうよー」
「もう、分かったから!転ばないでよ?」
「うん!」
なまえちゃんはどうやら私よりも気持ちで酔えちゃうタイプみたい。
お酒の場で雰囲気に酔うことがあるって聞いたことがあるけど、きっとなまえちゃんはそういうタイプなんだろうな。
返事だけは威勢よく返した彼女だけど、いざ立ち上がってみると足元はおぼつかなくて慌てて体を支えるために肩を寄せる。
私の心配をよそに上機嫌ななまえちゃんは、体勢を立て直すやいなや「いくぞー!」と元気に個室を飛び出してしまった。
「なまえちゃん待って!危ないしもう夜だからあんまり大声出しちゃ…あっ!」
目の前でなまえちゃんの体が傾いていくのが見える。
このままじゃ転んじゃう!
そう思って彼女の元へ駆け寄ろうとした時、視界の端から突然人影が飛び込んできた。
「っと、みょうじちゃん大丈夫?」
「あ、王馬くん…よかった…」
「んー?あー、おーまくんだ。こんばんはー」
「はーいこんばんはー」
人影は王馬くんだった。見かけによらず案外力はあるみたいで、倒れかかったなまえちゃんを片腕だけで抱きとめている。
いつから近くにいたんだろうと疑問に思ったけれど、ひとまずなまえちゃんに怪我が無かったことに安心する。
「良かった…」
「んふふー。おーまくんのお顔がよく見えるよー」
「…ねぇ赤松ちゃん、みょうじちゃんどうしちゃったの?なんか変なものでも食べた?」
なまえちゃんに顔をペタペタ触られている王馬くんが、何が何だかという顔をしながら私にこそこそと確認してくる。
そりゃそういう反応になるよね。
「あー…えっと、実は…」
私はこうなるまでの経緯を掻い摘んで話した。
王馬くんは半信半疑といった表情だったけれど、なまえちゃんの様子を見て納得せざるを得ないと思ったのか話を聞き終わった後に小さくため息をついた。
「ノンアルコールでこんなことになる人いるんだー…」
「うん、私も驚いてる…。ねぇなまえちゃん、やっぱり危ないからもう帰って寝よ?」
「んー、ぅー…」
「なまえちゃん…?」
私がなまえちゃんの顔を覗き込むと、いつの間にか彼女は王馬くんの腕の中ですやすやと眠ってしまっていた。
「寝ちゃったね…」
「そうみたいだね。赤松ちゃん、みょうじちゃんの部屋の鍵って誰が持ってる?」
「あ、私が」
「貸して。オレが部屋に戻しとくよ」
「えっ…でもさすがにそれは…」
年頃の男女が個室に2人きりって、それは問題しかないのではないか。
私が鍵を渡すことを躊躇っていると、王馬くんは自分の腕の当たりを指さしてここを見ろと示している。
「しっかり握られてて離してくれそうにないからさ。別に赤松ちゃんが考えてるようなことはしないから大丈夫だよー」
変なことを考えているのを見透かされた気がして少し恥ずかしくなる。
まぁ…この2人は仲が良いし、私もこの状況を知ってるわけだし…心配してるようなことは起こらないかな…?
現実的に考えても一旦王馬くんに任せる以外の選択肢がなく、仕方なく私はなまえちゃんの個室の鍵を彼に手渡した。
「じゃあ…はい。絶対、変なことしちゃダメだからね?」
「はいはい分かってるよ。ていうか、こんな爆睡してる子襲うって相当だと思うよー」
王馬くんは私から鍵を受け取ると、なまえちゃんを軽々抱えて彼女の部屋に入っていった。
いつもと違っておふざけしてる感じではなかったし、信用できるかな。
少しの間なまえちゃんの個室の扉を見守ってから、私も自分の個室に戻った。
*****
「みょうじちゃん、ベッド着いたよー」
「…すぅ、ん……」
「って聞いてないか。いい加減そろそろ手も離してほしいんだけどなー…」
「おーまく…んふふ…」
むにゃむにゃと寝言を言いながら笑うみょうじちゃん。
よからぬ事を考えそうになって慌てて視線を逸らす。
でも、少しくらいなら…。
そんな邪な思いが拭いきれず、またみょうじちゃんの顔をそっと覗き込む。
気持ちよさそーに寝てんなー。
幸せそうな寝顔。少しだけ開いた口から聞こえる寝息。赤らんだ頬に、柔らかそうな唇。
ゴクリと息を飲んで、そっと自分の唇を近づける。
もう少しで触れてしまいそう、そう思った時。
「ん…むにゃ…」
見計らっていたかのようなタイミングでみょうじちゃんが寝返りをうち、それと同時に掴まれていた腕を離される。
「…………はぁ、帰ろ」
これで良かったのか悪かったのか。
何とも言えない悶々とした気持ちになりながら自分の個室へと戻った。