番外編・その他
おなまえ
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王馬くんと梅雨の話
※王馬視点
モノクマの思いつきでこの学園敷地内に“梅雨”が導入されてから数日。
初めのうちは久しぶりの天候の変化にちょっとした目新しさを感じて楽しかった。
けれど3日も過ぎればそれも無くなり、傘を持ち歩くのが面倒だなというくらいの感想しか抱かなくなってくる。
寄宿舎から校舎までのちょっとした距離しか歩かないのになー。
梅雨入り宣言時にモノクマから配布された傘を手に、そんなことを思いながら個室を出る。
小雨程度なら走って突っ切ってやろうかと思うのだが、生憎モノクマのさじ加減のせいなのか梅雨に入ってからはずっと豪雨続きだった。
「あ、王馬くんおはよー」
寄宿舎の出入口のところでみょうじちゃんと出会った。
今まさに校舎へ行こうとしている所だったようで、彼女の手には開いた傘が握られていた。
「おはよ。うわー、今日もすごい雨」
「ふふ、そうだよね。モノクマが自由に降らせるって言ってたけど、どうやってるんだろ」
「さぁねー。雨以外にも不思議なことだらけだから今更って気もするけど」
「それもそっかー」
傘をさして並んで歩きだす。
それぞれの傘の分だけ、彼女との距離が遠く感じる。
…そんなこと考えるって、なんか気持ち悪いかも?
物理的に開いた距離を目視で測りながら、やっぱり天気は晴れの方が好きだと思った。
手も塞がっちゃうしね。
「私ね、雨って結構好きなんだー」
「ふーん、なんで?」
「傘に雨が当たる音がね、なんか心地いいっていうか」
「あー、それは分からなくもないかも」
彼女が立ち止まり、ぱらぱらと雨の粒が傘にぶつかる音だけが耳に入ってくる。
まぁ、悪くは無いけど…それよりも足元が濡れてくる不快感の方が気になった。
「ねぇねぇ、ご飯食べた後ちょっと散歩しに行かない?」
「えー、やだよ。足びしょ濡れになるじゃん」
「ちょっとだけだからー」
「散歩なら晴れてる日の方がいいでしょ」
手も繋げないし、と心の中で呟く。
別に頑張れば繋げないこともないかもしれないけど、お互い傘をさしていたら繋いでいる手が雨ざらしになりそうだ。
「ダメ?」
「ダメじゃないけど気乗りしない」
「どうしても?」
「どうしても」
「そっかー、残念」
「…何かしたいことでもあったの?」
やけに必死な彼女の様子に疑問を覚えてそう尋ねると、みょうじちゃんはきょとんとした後で一歩オレに近づいてきた。
傘同士がぶつかって、二人の間に水滴がぼたぼたと落ちてくる。
「お邪魔しまーす」
「え?」
みょうじちゃんは自分の傘をそっと閉じて、オレの傘の下に潜り込んできた。
「相合傘!」
「もしかして、これがしたかったの?」
「えへへ…うん。やってみたかったんだー」
「にしし、乙女だねー」
嬉しそうにはにかむ彼女を見ていて、もう少し雨が穏やかならこうやって散歩するのも悪くないかもしれないと思った。
…今度モノクマにお願いしてみようか。
そんなことを考えながら、オレたちは少しだけ遠回りしてテラスから食堂へ向かうルートを歩き出した。
※王馬視点
モノクマの思いつきでこの学園敷地内に“梅雨”が導入されてから数日。
初めのうちは久しぶりの天候の変化にちょっとした目新しさを感じて楽しかった。
けれど3日も過ぎればそれも無くなり、傘を持ち歩くのが面倒だなというくらいの感想しか抱かなくなってくる。
寄宿舎から校舎までのちょっとした距離しか歩かないのになー。
梅雨入り宣言時にモノクマから配布された傘を手に、そんなことを思いながら個室を出る。
小雨程度なら走って突っ切ってやろうかと思うのだが、生憎モノクマのさじ加減のせいなのか梅雨に入ってからはずっと豪雨続きだった。
「あ、王馬くんおはよー」
寄宿舎の出入口のところでみょうじちゃんと出会った。
今まさに校舎へ行こうとしている所だったようで、彼女の手には開いた傘が握られていた。
「おはよ。うわー、今日もすごい雨」
「ふふ、そうだよね。モノクマが自由に降らせるって言ってたけど、どうやってるんだろ」
「さぁねー。雨以外にも不思議なことだらけだから今更って気もするけど」
「それもそっかー」
傘をさして並んで歩きだす。
それぞれの傘の分だけ、彼女との距離が遠く感じる。
…そんなこと考えるって、なんか気持ち悪いかも?
物理的に開いた距離を目視で測りながら、やっぱり天気は晴れの方が好きだと思った。
手も塞がっちゃうしね。
「私ね、雨って結構好きなんだー」
「ふーん、なんで?」
「傘に雨が当たる音がね、なんか心地いいっていうか」
「あー、それは分からなくもないかも」
彼女が立ち止まり、ぱらぱらと雨の粒が傘にぶつかる音だけが耳に入ってくる。
まぁ、悪くは無いけど…それよりも足元が濡れてくる不快感の方が気になった。
「ねぇねぇ、ご飯食べた後ちょっと散歩しに行かない?」
「えー、やだよ。足びしょ濡れになるじゃん」
「ちょっとだけだからー」
「散歩なら晴れてる日の方がいいでしょ」
手も繋げないし、と心の中で呟く。
別に頑張れば繋げないこともないかもしれないけど、お互い傘をさしていたら繋いでいる手が雨ざらしになりそうだ。
「ダメ?」
「ダメじゃないけど気乗りしない」
「どうしても?」
「どうしても」
「そっかー、残念」
「…何かしたいことでもあったの?」
やけに必死な彼女の様子に疑問を覚えてそう尋ねると、みょうじちゃんはきょとんとした後で一歩オレに近づいてきた。
傘同士がぶつかって、二人の間に水滴がぼたぼたと落ちてくる。
「お邪魔しまーす」
「え?」
みょうじちゃんは自分の傘をそっと閉じて、オレの傘の下に潜り込んできた。
「相合傘!」
「もしかして、これがしたかったの?」
「えへへ…うん。やってみたかったんだー」
「にしし、乙女だねー」
嬉しそうにはにかむ彼女を見ていて、もう少し雨が穏やかならこうやって散歩するのも悪くないかもしれないと思った。
…今度モノクマにお願いしてみようか。
そんなことを考えながら、オレたちは少しだけ遠回りしてテラスから食堂へ向かうルートを歩き出した。