番外編・その他
おなまえ
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うそつき
※コロシアイ本編軸のifストーリー
※夢主が被害者になった学級裁判後
※王馬視点
赤松ちゃんと天海ちゃんがいなくなった日から、みょうじちゃんは笑わなくなった。
純粋で素直で、人の醜い部分に触れたことの無い彼女にはきっとこの状況は耐え難いものだったのだろう。
日に日に弱っていくみょうじちゃんにオレは何をしてあげれば良かったんだろう、ただ毎晩泣きながらやって来る彼女を部屋に迎え入れて寝かしつけることしか出来なかった。
『ぅ…ぁ、うぅっ…う…』
『そんなに泣いてたら干からびちゃうよ』
『だって、だって…もう嫌だよぉ、怖いよぉ。朝になったらまた…誰かが……ぅっ…』
『ほらみょうじちゃん、こっちおいで。ちゃんと寝てないから思考が暗くなるんだよ』
『ぅ…うん…』
脳裏に浮かぶのが笑っていた頃のあの子じゃないことが恨めしい。
よく考えてみれば楽しかった期間よりも、ああなってからの期間の方が長いのだから当然と言えば当然なのだけれど。
「…もう来るわけないのに何やってんだか」
無意識にベッドの端を空けて寝そべっていた自分を嘲笑うように呟いた。
彼女はあっさりと死んだ。
だから言ったのに、人に弱みを見せるなと。
だから言ったのに、人を信じすぎるなと。
だから言ったのに。だから言ったのに。
心の中で何を思おうが現状は変わらない。
分かっているのに考えるのをやめられない。
1人分空いたスペースにほのかに残る、自分のものではない匂い。
きっとこれのせいだ。
いっそ今からでもシーツを変えてしまおうか。
そう思って布団に伸ばした手は途中で止まる。
「あは…オレ、気持ち悪すぎるでしょ」
彼女の匂いが、この部屋にいた痕跡が無くなってしまうのが怖かった。
自分自身を馬鹿にしながらも、結局そのまま彼女の気配が残る布団に潜り込む。
目を閉じると本当にすぐ側にいるみたいに感じられて、息が苦しくなった。
『ん…ぅ…』
『落ち着いた?』
『うん…ありがとう、王馬くん』
『別にオレは何もしてないよ。…あのさ、怖いことが全部終わったら…オレ超でっかいケーキ食べてみたい。だからみょうじちゃん作ってよ』
『超でっかいケーキ…?ふふ、作るの大変そうだなー。王馬くんも手伝ってくれるの?』
『当たり前じゃん!…じゃあ、約束だよ』
『うん、約束』
思い出を手繰り寄せて、やっと浮かんできた彼女の笑顔。
目を真っ赤に腫らして頬を濡らして、それでも弱々しく微笑んでいたあの時の。
そして次の瞬間、その顔は最後に見た生気のない彼女の…生命というものが感じられない抜け殻になった表情へとすり変わる。
血溜まりに横たわって、まるでそっくりに作った人形のような。
「嘘つきはオレだけでよかったのに」
泣いてなんかいない。
思い出に浸るのは今日が最後。
こんなつまらないゲームはもう終わりだ。
オレがこの手で終わらせてやる。
そうしたらきっと、その後で。
「…また、一緒に遊ぼうね」
誰もいない部屋におやすみ、と呟いてオレはまた目を閉じた。
※コロシアイ本編軸のifストーリー
※夢主が被害者になった学級裁判後
※王馬視点
赤松ちゃんと天海ちゃんがいなくなった日から、みょうじちゃんは笑わなくなった。
純粋で素直で、人の醜い部分に触れたことの無い彼女にはきっとこの状況は耐え難いものだったのだろう。
日に日に弱っていくみょうじちゃんにオレは何をしてあげれば良かったんだろう、ただ毎晩泣きながらやって来る彼女を部屋に迎え入れて寝かしつけることしか出来なかった。
『ぅ…ぁ、うぅっ…う…』
『そんなに泣いてたら干からびちゃうよ』
『だって、だって…もう嫌だよぉ、怖いよぉ。朝になったらまた…誰かが……ぅっ…』
『ほらみょうじちゃん、こっちおいで。ちゃんと寝てないから思考が暗くなるんだよ』
『ぅ…うん…』
脳裏に浮かぶのが笑っていた頃のあの子じゃないことが恨めしい。
よく考えてみれば楽しかった期間よりも、ああなってからの期間の方が長いのだから当然と言えば当然なのだけれど。
「…もう来るわけないのに何やってんだか」
無意識にベッドの端を空けて寝そべっていた自分を嘲笑うように呟いた。
彼女はあっさりと死んだ。
だから言ったのに、人に弱みを見せるなと。
だから言ったのに、人を信じすぎるなと。
だから言ったのに。だから言ったのに。
心の中で何を思おうが現状は変わらない。
分かっているのに考えるのをやめられない。
1人分空いたスペースにほのかに残る、自分のものではない匂い。
きっとこれのせいだ。
いっそ今からでもシーツを変えてしまおうか。
そう思って布団に伸ばした手は途中で止まる。
「あは…オレ、気持ち悪すぎるでしょ」
彼女の匂いが、この部屋にいた痕跡が無くなってしまうのが怖かった。
自分自身を馬鹿にしながらも、結局そのまま彼女の気配が残る布団に潜り込む。
目を閉じると本当にすぐ側にいるみたいに感じられて、息が苦しくなった。
『ん…ぅ…』
『落ち着いた?』
『うん…ありがとう、王馬くん』
『別にオレは何もしてないよ。…あのさ、怖いことが全部終わったら…オレ超でっかいケーキ食べてみたい。だからみょうじちゃん作ってよ』
『超でっかいケーキ…?ふふ、作るの大変そうだなー。王馬くんも手伝ってくれるの?』
『当たり前じゃん!…じゃあ、約束だよ』
『うん、約束』
思い出を手繰り寄せて、やっと浮かんできた彼女の笑顔。
目を真っ赤に腫らして頬を濡らして、それでも弱々しく微笑んでいたあの時の。
そして次の瞬間、その顔は最後に見た生気のない彼女の…生命というものが感じられない抜け殻になった表情へとすり変わる。
血溜まりに横たわって、まるでそっくりに作った人形のような。
「嘘つきはオレだけでよかったのに」
泣いてなんかいない。
思い出に浸るのは今日が最後。
こんなつまらないゲームはもう終わりだ。
オレがこの手で終わらせてやる。
そうしたらきっと、その後で。
「…また、一緒に遊ぼうね」
誰もいない部屋におやすみ、と呟いてオレはまた目を閉じた。