本編【全16話】
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
王馬くんととばっちり
※王馬視点
みょうじちゃんの第一印象は、『騙されてツボとか買わされそうな人』だった。
この世に悪い人なんていないって思ってそうだし、オレが同じ嘘を何回ついたって毎回心の底からびっくりしたような顔しちゃうし、さすがのオレも心配?というか実は何か裏があるんじゃないかって疑ってた。
最初のうちはただ、腹の底で何考えてるのか暴いてやろう…なんてそんな動機で近づいただけだったと思う。
でもいくらオレが嘘をつこうが騙そうが、怒るどころか一緒に楽しそうに笑ってる彼女を見ていて…気がついたら好きになってた。
誰よりも嘘つきなオレが、誰よりも正直者な女の子を好きになるなんて変な話だよね。
「はぁ…」
なんかセンチメンタルに最初の頃のこと思い出しちゃったりしてるけど、オレは今まさに告白しようとしてるとこ。
正確には告白をするために呼び出したみょうじちゃんを待ってるとこ、だけど。
悪の総統が愛の告白とか笑えるよねー。
しかも緊張とかしちゃって手汗がすごいし。ダッセーの。
何となく人に見られたくなくて夜を選んだけど、正解だったかも。
あんまり顔見られなくて済むしね。
「王馬くーん!ごめんね、待たせちゃったかな」
「みょうじちゃん遅いよー。もうオレ待ちくたびれて今すぐにでも帰っちゃおうかと思ったよ!」
「うわぁ、ごめんね!私の部屋の時計壊れてたのかなー?5分前くらいに着くと思ったんだけど…」
「にしし、嘘だよー!勝手にオレが早くついただけでまだ時間になってないよ」
「なーんだ、良かったぁ。また王馬くんに騙されちゃったよー」
みょうじちゃんは笑いながらそう言った。
他の子だったら怒るところなのに…、まぁそういうところを好きになっちゃったんだけどさ。
「それで今日はどうしたの?夜にお誘いなんて初めてだよねー」
「うん、ちょっとみょうじちゃんに話があってさー」
「話?なんだろー」
オレの言いたいことなんて微塵も気づいてないんだろうみょうじちゃんは、少し首を傾げて微笑みながらこっちを見つめてくる。
そういうところだよ、と言いたくなるのもこれで何回目だろうな。
目を離すとすぐ変な虫付けてきそうになるし、キー坊とはフラグ立てそうになってたし、アンジーちゃんには怪しい勧誘受けてるし、真宮寺ちゃんは…よく分からないけどなんか危ない気配がしたし。
とにかくいい加減、いつもそばにいてもらうための大義名分が欲しかった。
「あのさ、オレ…みょうじちゃんが好きなんだ」
「ふふ、そんなの知ってるよ!私も王馬くん好きだもん」
「そういうことじゃないよ。みょうじちゃんと卒業したいって、そういう意味」
「そっ……えぇ!?」
意を決して伝えた言葉に対して返って来たのは色気皆無の素っ頓狂なリアクション。
ぶっちゃけ最終的に上手くいくかどうかは賭けだった。
嫌われてはないだろうと思ってるけど、そういう対象として見てくれてるかどうかの確信なんかどこにもない。
彼女は嘘をつかないからこそ、その裏にある心理が読めないから。
「あー…えっと、オレが言いたかったのはそれだけ」
「そ、そっか…王馬くんが…そっか…」
それ以上何も言葉が返ってこないため、ダメだったかと心の中で落ち込む。
やっぱり嘘ってことにすれば、せめて今まで通りの関係でいられるだろうか…なんて逃げの思考が頭に浮かぶ。
でも、いくら嘘つきのオレでもつきたい嘘とつきたくない嘘がある。
どうしたものかと悩んでいると、みょうじちゃんが何やらもじもじとし始めた。
俯いて胸の前で自分の指をこねくり回している。
暗さで顔色はよく分からないけど、もしかして照れてる?だとしたら照れ方古典的すぎない?
「どうしたの?みょうじちゃん」
初めて見る彼女の姿に興味津々のオレは、おどけたふりしてみょうじちゃんの顔を覗き込んだ。
ぱち、と目が合うと彼女は何かを決意したみたいに息を飲んで、口を開いた。
「あ…あのね、私も…その、言いたいことがあって…」
「うん、何?」
「私ね、えっと…王馬くんのこと、好きだよ」
「それって、さっきの好きとは違うの?」
「その…私も、王馬くんと卒業したいの」
オレの服の袖を掴みながら、ちょっと涙目になってるみょうじちゃんはそう言った。
やっぱり夜を選んで正解だったかも、ちゃんと顔見えてたら色々堪えるのが大変だったと思う。
緊張の糸が切れて、情けないけどへなへなとその場に座り込む。
でも、やばい。すごい嬉しい。
「王馬くん、大丈夫?」
「大丈夫。ごめん、ちょっと気が抜けた」
みょうじちゃんは何故かおずおずとオレの隣に腰を下ろす。
心配そうに見つめてくるけど、そういうのの積み重ねでオレは今こうなってるんだからね。
「…えへへ……嬉しいな…」
隣からしみじみと呟く声が聞こえてきて、口元がにやけそうになるのをぐっとこらえる。
素直って破壊力がすごいんだなぁ。初めて知ったよオレ。
「みょうじちゃん」
「なに?」
「可愛すぎるからそれやめて」
「ええ!?」
それってどれ?と本気で慌てているみょうじちゃんを見ていたら、ついつい笑えてきちゃってムードもへったくれもなく吹き出してしまう。
この先もずっと、この子がいれば一生退屈しないだろうな。
そう思わせてくれるみょうじちゃんが、オレを選んだことが何よりも嬉しい。
「みょうじちゃん、好きだよ」
「…うん。私も好きだよ、王馬くん」
そっと顔を寄せると、みょうじちゃんははにかみながらもそっと目を閉じてくれる。
多分この先もきっと何回も同じことをする機会はあるはずだけど、この日この瞬間に唇に触れた感触はずっと覚えていたいと思った。
*****
「卒業したらまず何したい?」
「王馬くんと遊びたい!」
「あはは!それだったら今と一緒じゃん!」
「はっ…ホントだ…!」
「にしし、ほんとみょうじちゃんはお馬鹿さんだなー」
※王馬視点
みょうじちゃんの第一印象は、『騙されてツボとか買わされそうな人』だった。
この世に悪い人なんていないって思ってそうだし、オレが同じ嘘を何回ついたって毎回心の底からびっくりしたような顔しちゃうし、さすがのオレも心配?というか実は何か裏があるんじゃないかって疑ってた。
最初のうちはただ、腹の底で何考えてるのか暴いてやろう…なんてそんな動機で近づいただけだったと思う。
でもいくらオレが嘘をつこうが騙そうが、怒るどころか一緒に楽しそうに笑ってる彼女を見ていて…気がついたら好きになってた。
誰よりも嘘つきなオレが、誰よりも正直者な女の子を好きになるなんて変な話だよね。
「はぁ…」
なんかセンチメンタルに最初の頃のこと思い出しちゃったりしてるけど、オレは今まさに告白しようとしてるとこ。
正確には告白をするために呼び出したみょうじちゃんを待ってるとこ、だけど。
悪の総統が愛の告白とか笑えるよねー。
しかも緊張とかしちゃって手汗がすごいし。ダッセーの。
何となく人に見られたくなくて夜を選んだけど、正解だったかも。
あんまり顔見られなくて済むしね。
「王馬くーん!ごめんね、待たせちゃったかな」
「みょうじちゃん遅いよー。もうオレ待ちくたびれて今すぐにでも帰っちゃおうかと思ったよ!」
「うわぁ、ごめんね!私の部屋の時計壊れてたのかなー?5分前くらいに着くと思ったんだけど…」
「にしし、嘘だよー!勝手にオレが早くついただけでまだ時間になってないよ」
「なーんだ、良かったぁ。また王馬くんに騙されちゃったよー」
みょうじちゃんは笑いながらそう言った。
他の子だったら怒るところなのに…、まぁそういうところを好きになっちゃったんだけどさ。
「それで今日はどうしたの?夜にお誘いなんて初めてだよねー」
「うん、ちょっとみょうじちゃんに話があってさー」
「話?なんだろー」
オレの言いたいことなんて微塵も気づいてないんだろうみょうじちゃんは、少し首を傾げて微笑みながらこっちを見つめてくる。
そういうところだよ、と言いたくなるのもこれで何回目だろうな。
目を離すとすぐ変な虫付けてきそうになるし、キー坊とはフラグ立てそうになってたし、アンジーちゃんには怪しい勧誘受けてるし、真宮寺ちゃんは…よく分からないけどなんか危ない気配がしたし。
とにかくいい加減、いつもそばにいてもらうための大義名分が欲しかった。
「あのさ、オレ…みょうじちゃんが好きなんだ」
「ふふ、そんなの知ってるよ!私も王馬くん好きだもん」
「そういうことじゃないよ。みょうじちゃんと卒業したいって、そういう意味」
「そっ……えぇ!?」
意を決して伝えた言葉に対して返って来たのは色気皆無の素っ頓狂なリアクション。
ぶっちゃけ最終的に上手くいくかどうかは賭けだった。
嫌われてはないだろうと思ってるけど、そういう対象として見てくれてるかどうかの確信なんかどこにもない。
彼女は嘘をつかないからこそ、その裏にある心理が読めないから。
「あー…えっと、オレが言いたかったのはそれだけ」
「そ、そっか…王馬くんが…そっか…」
それ以上何も言葉が返ってこないため、ダメだったかと心の中で落ち込む。
やっぱり嘘ってことにすれば、せめて今まで通りの関係でいられるだろうか…なんて逃げの思考が頭に浮かぶ。
でも、いくら嘘つきのオレでもつきたい嘘とつきたくない嘘がある。
どうしたものかと悩んでいると、みょうじちゃんが何やらもじもじとし始めた。
俯いて胸の前で自分の指をこねくり回している。
暗さで顔色はよく分からないけど、もしかして照れてる?だとしたら照れ方古典的すぎない?
「どうしたの?みょうじちゃん」
初めて見る彼女の姿に興味津々のオレは、おどけたふりしてみょうじちゃんの顔を覗き込んだ。
ぱち、と目が合うと彼女は何かを決意したみたいに息を飲んで、口を開いた。
「あ…あのね、私も…その、言いたいことがあって…」
「うん、何?」
「私ね、えっと…王馬くんのこと、好きだよ」
「それって、さっきの好きとは違うの?」
「その…私も、王馬くんと卒業したいの」
オレの服の袖を掴みながら、ちょっと涙目になってるみょうじちゃんはそう言った。
やっぱり夜を選んで正解だったかも、ちゃんと顔見えてたら色々堪えるのが大変だったと思う。
緊張の糸が切れて、情けないけどへなへなとその場に座り込む。
でも、やばい。すごい嬉しい。
「王馬くん、大丈夫?」
「大丈夫。ごめん、ちょっと気が抜けた」
みょうじちゃんは何故かおずおずとオレの隣に腰を下ろす。
心配そうに見つめてくるけど、そういうのの積み重ねでオレは今こうなってるんだからね。
「…えへへ……嬉しいな…」
隣からしみじみと呟く声が聞こえてきて、口元がにやけそうになるのをぐっとこらえる。
素直って破壊力がすごいんだなぁ。初めて知ったよオレ。
「みょうじちゃん」
「なに?」
「可愛すぎるからそれやめて」
「ええ!?」
それってどれ?と本気で慌てているみょうじちゃんを見ていたら、ついつい笑えてきちゃってムードもへったくれもなく吹き出してしまう。
この先もずっと、この子がいれば一生退屈しないだろうな。
そう思わせてくれるみょうじちゃんが、オレを選んだことが何よりも嬉しい。
「みょうじちゃん、好きだよ」
「…うん。私も好きだよ、王馬くん」
そっと顔を寄せると、みょうじちゃんははにかみながらもそっと目を閉じてくれる。
多分この先もきっと何回も同じことをする機会はあるはずだけど、この日この瞬間に唇に触れた感触はずっと覚えていたいと思った。
*****
「卒業したらまず何したい?」
「王馬くんと遊びたい!」
「あはは!それだったら今と一緒じゃん!」
「はっ…ホントだ…!」
「にしし、ほんとみょうじちゃんはお馬鹿さんだなー」