本編【全16話】
おなまえ
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春川さんととばっちり
※春川視点
※百田くんととばっちりの翌日
※春→百の片思い要素あり
百田のやつ、いくらなんでも鈍感すぎるでしょ、状況を聞いただけの私と最原ですら察したのに。
分からない事があるから教えろ、と昨日私と最原は百田に呼び出されてある2人の話を聞いた。
そんなのどう考えたって…まぁ、あの百田だから理解しすぎてたらそれはもうあいつじゃないような気もするけど。
そんなことを考えていたら、昨日の話に出てきた登場人物の1人が前から歩いてきた。
「あ、みょうじ」
声に出してしまってからハッとした。
別に用事なんかないのに、なんで呼び止めたんだろ。
「春川さん、どうしたの?」
「ごめん、別に用事はないよ」
「ふふ、そっかー。でもちょうど良かったよ!」
「え、何が?」
「ちょっと作りすぎちゃって…一緒におやつ食べない?」
なんとなく手違いとはいえ声をかけた手前断るのもなんだし、と私は何故かみょうじとテラスで向かい合って座ってる。
せっかく周りに誰もいない状態だから、ちょっとくらいなら聞いてみてもいいよね。
「…みょうじはさ、王馬のことどう思ってんの?」
「王馬くん?そりゃあ好きだよ」
あっさりと返ってきた言葉に驚いた。
みょうじからすれば嘘は言ってないんだろうけど、こうもすんなりと返されると逆にその言葉の意味するところが分からなくなる。
「そう、なんだ」
「でも春川さんのことも好きだよー」
「なんだ、そういうことか…」
みょうじはにこにこしながら私にお菓子を渡してくる。
どうやらこちらの意図が上手く伝わってないらしい。
差し出されたものを受け取りながら、私は軽くため息をついた。
「春川さんは百田くんのことが好きだよね」
「なっ…!?」
「ふふ、なんで分かるの?って顔してるー。私こういうの意外と鋭いんだよ!」
しまった、何でもない顔してれば良かった。
少し後悔したけど、どうせバレたなら色々聞いてみようかな。
私そういう経験ないし、何をどうすればいいかとか知りたかったし。
心の中でそんな言い訳を繰り返しながら、私は口を開く。
「そうだよ。私は…百田が好き」
「やっぱり!でもそっかー…熱血な百田くんとクールな春川さん、なんだかお似合いだよね」
「そ…かな。でも、百田は多分全然そんな風に思ってないと思う」
「百田くんはねー、自分から気付けるタイプじゃないと思うんだよねー。なんだろう、好きって言われてから相手のことを意識し始めそうなイメージ」
なるほど、と腑に落ちた。
たしかに百田ってそんな感じかも。
もしも私が好きって言ったらあいつ、ちゃんと意識してくれるのかな。
「なんか…分かるかも」
「でしょー」
「そういうみょうじはさ、そんな相手いないの?一緒に卒業したい相手」
「あはは、恋バナだね!ガールズトークって感じー」
「もう、なんでもいいよ」
「私もね、いるよ。卒業したい人」
「それって…王馬?」
ついさっきまでヘラヘラしてたみょうじが、急にしおらしくなって頬を染めたりしてる。
恋する乙女って、こんな風に見えるのかな。
私もこんな顔する時が来るのかな。
「うん…えへへ、でも私が勝手に思ってるだけだから」
「は?」
脳内に「こういうの鋭いんだよ!」と言っていたみょうじの得意げな顔が蘇る。
自分のことになったら全然鋭くないじゃん、変なの。
だけどなんだかそのギャップがおかしくて、気づいたら私は笑ってた。
「な、なんで笑うのー?」
「別に。あんたって変わってるよね」
「えー?」
その後も私はみょうじと何気ない話を続けていた。
普通の女子高生って、友達とこんな風に過ごすのかな…なんてそんなことを思いながら。
「その時にね、楓ちゃんがすごくびっくりしてて…」
「あっ、みょうじちゃーん!」
少し離れたところから声が聞こえて、私とみょうじはそちらに視線を向ける。
歩いてきたのは王馬と、百田…。
さっきあんな話したばかりだから、なんか変に意識してるかも。
みょうじはどうなんだろうと思ってチラッと顔を向けると、なんでもないような顔で王馬と話していた。
「よっ、ハルマキ!」
「うん。…ていうか、それやめてって言ってるじゃん」
「なんだよ水くせーな!いいじゃねーか、俺とお前の仲だろ?」
「う、うるさい…」
変な言い方しないでよ、余計意識しそうになるから。
そんな本心は言えず、私はただ顔を逸らして素っ気ない返事をするだけだった。
「春川さん、ちょっと私用事ができちゃったから行くね!またお話しようねー!ほら、王馬くんも行こ?」
みょうじの言葉に王馬はきょとんとした後、私と百田の顔を交互に見てからニヤリと笑った。
なんか分かんないけど、すごいムカつく。
「そだね!行こっかみょうじちゃん!じゃ、百田ちゃん春川ちゃんごゆっくりー」
「ばいばーい」
「ん?おう、またな!」
ごゆっくりって何、あいつ絶対わざとじゃん…!
みょうじは気を利かせてくれただけだろうけど、王馬のやつ…。
百田は百田で平然と私の向かいに座ってるし。
色々と納得できないことはあるけど、せっかくの機会だからちょっとだけ…頑張ってみたら、何かが変わるのかな。
※春川視点
※百田くんととばっちりの翌日
※春→百の片思い要素あり
百田のやつ、いくらなんでも鈍感すぎるでしょ、状況を聞いただけの私と最原ですら察したのに。
分からない事があるから教えろ、と昨日私と最原は百田に呼び出されてある2人の話を聞いた。
そんなのどう考えたって…まぁ、あの百田だから理解しすぎてたらそれはもうあいつじゃないような気もするけど。
そんなことを考えていたら、昨日の話に出てきた登場人物の1人が前から歩いてきた。
「あ、みょうじ」
声に出してしまってからハッとした。
別に用事なんかないのに、なんで呼び止めたんだろ。
「春川さん、どうしたの?」
「ごめん、別に用事はないよ」
「ふふ、そっかー。でもちょうど良かったよ!」
「え、何が?」
「ちょっと作りすぎちゃって…一緒におやつ食べない?」
なんとなく手違いとはいえ声をかけた手前断るのもなんだし、と私は何故かみょうじとテラスで向かい合って座ってる。
せっかく周りに誰もいない状態だから、ちょっとくらいなら聞いてみてもいいよね。
「…みょうじはさ、王馬のことどう思ってんの?」
「王馬くん?そりゃあ好きだよ」
あっさりと返ってきた言葉に驚いた。
みょうじからすれば嘘は言ってないんだろうけど、こうもすんなりと返されると逆にその言葉の意味するところが分からなくなる。
「そう、なんだ」
「でも春川さんのことも好きだよー」
「なんだ、そういうことか…」
みょうじはにこにこしながら私にお菓子を渡してくる。
どうやらこちらの意図が上手く伝わってないらしい。
差し出されたものを受け取りながら、私は軽くため息をついた。
「春川さんは百田くんのことが好きだよね」
「なっ…!?」
「ふふ、なんで分かるの?って顔してるー。私こういうの意外と鋭いんだよ!」
しまった、何でもない顔してれば良かった。
少し後悔したけど、どうせバレたなら色々聞いてみようかな。
私そういう経験ないし、何をどうすればいいかとか知りたかったし。
心の中でそんな言い訳を繰り返しながら、私は口を開く。
「そうだよ。私は…百田が好き」
「やっぱり!でもそっかー…熱血な百田くんとクールな春川さん、なんだかお似合いだよね」
「そ…かな。でも、百田は多分全然そんな風に思ってないと思う」
「百田くんはねー、自分から気付けるタイプじゃないと思うんだよねー。なんだろう、好きって言われてから相手のことを意識し始めそうなイメージ」
なるほど、と腑に落ちた。
たしかに百田ってそんな感じかも。
もしも私が好きって言ったらあいつ、ちゃんと意識してくれるのかな。
「なんか…分かるかも」
「でしょー」
「そういうみょうじはさ、そんな相手いないの?一緒に卒業したい相手」
「あはは、恋バナだね!ガールズトークって感じー」
「もう、なんでもいいよ」
「私もね、いるよ。卒業したい人」
「それって…王馬?」
ついさっきまでヘラヘラしてたみょうじが、急にしおらしくなって頬を染めたりしてる。
恋する乙女って、こんな風に見えるのかな。
私もこんな顔する時が来るのかな。
「うん…えへへ、でも私が勝手に思ってるだけだから」
「は?」
脳内に「こういうの鋭いんだよ!」と言っていたみょうじの得意げな顔が蘇る。
自分のことになったら全然鋭くないじゃん、変なの。
だけどなんだかそのギャップがおかしくて、気づいたら私は笑ってた。
「な、なんで笑うのー?」
「別に。あんたって変わってるよね」
「えー?」
その後も私はみょうじと何気ない話を続けていた。
普通の女子高生って、友達とこんな風に過ごすのかな…なんてそんなことを思いながら。
「その時にね、楓ちゃんがすごくびっくりしてて…」
「あっ、みょうじちゃーん!」
少し離れたところから声が聞こえて、私とみょうじはそちらに視線を向ける。
歩いてきたのは王馬と、百田…。
さっきあんな話したばかりだから、なんか変に意識してるかも。
みょうじはどうなんだろうと思ってチラッと顔を向けると、なんでもないような顔で王馬と話していた。
「よっ、ハルマキ!」
「うん。…ていうか、それやめてって言ってるじゃん」
「なんだよ水くせーな!いいじゃねーか、俺とお前の仲だろ?」
「う、うるさい…」
変な言い方しないでよ、余計意識しそうになるから。
そんな本心は言えず、私はただ顔を逸らして素っ気ない返事をするだけだった。
「春川さん、ちょっと私用事ができちゃったから行くね!またお話しようねー!ほら、王馬くんも行こ?」
みょうじの言葉に王馬はきょとんとした後、私と百田の顔を交互に見てからニヤリと笑った。
なんか分かんないけど、すごいムカつく。
「そだね!行こっかみょうじちゃん!じゃ、百田ちゃん春川ちゃんごゆっくりー」
「ばいばーい」
「ん?おう、またな!」
ごゆっくりって何、あいつ絶対わざとじゃん…!
みょうじは気を利かせてくれただけだろうけど、王馬のやつ…。
百田は百田で平然と私の向かいに座ってるし。
色々と納得できないことはあるけど、せっかくの機会だからちょっとだけ…頑張ってみたら、何かが変わるのかな。