好きを自覚していない話と、自覚する話
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
自覚してない王馬小吉
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あ、王馬くん。今日、良かったらAVルームで映画の続きを…」
中庭で出会ったみょうじちゃんは、オレを見るなり嬉しそうに駆け寄って来てポケットからデートチケットを取り出す。
何にも予定なんてないし、数日前の自分なら二つ返事でOKを出していたと思う。
でも今日のオレは何故かそうはいかなくて、気が付けば近くにいたゴン太を巻き込んで彼女の誘いを断ってしまっていた。
「みょうじちゃんごめーん。今日はゴン太と約束してるんだ!ね、ゴン太!」
「えっ?そ、そうだったかな…」
真剣な面持ちで頭を抱えるゴン太がバカでホント良かったと思う。
「酷いやゴン太!紳士のくせに約束忘れるなんて!」
「ご、ごめんね王馬くん!頑張って思い出すよ…!ゴン太は紳士だから…!」
思い出せるわけないだろ、そんな約束してないんだから。
また騙されてやんの、なんて心の中で舌を出して笑っていられたのもほんの一瞬だった。
「そっ…か、急に誘ってごめんね」
困ったように眉を下げて笑う彼女の姿を見て、なんだかひどく胸が苦しくなる。
最近、一緒にいるといつもこうだ。
だからあえて自分からは誘わないことにしたし、今日だってこうして誘いを断ったのに。
一緒にいても、避けようとしても、どの道こんな気分になるなんて。
「みょうじ、ちゃん」
「王馬くん、またね!ゴン太くんもバイバイ!」
オレが何かを言う隙もなく、みょうじちゃんはそう言い残して足早に去っていった。
ゴン太は隣で、そんな彼女に呑気に手を振っている。
あーあ、意味分かんない。
完璧に彼女の姿が見えなくなってから、力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「王馬くん、大丈夫!?具合が悪いなら、ゴン太が部屋までおんぶしようか!?」
「大丈夫じゃないけどおんぶはいらない」
蹲ったまま早口にそう答えると、どんな思考回路のもと導き出された答えなのか、「王馬くんが死んじゃう…!?」と慌てふためくゴン太。
もしもゴン太くらい素直に感情を出せていたら、今のオレみたく自分のことが分からない…なんてことにはならなかったんだろうか。
「…ゴン太になりたい」
「えっ、そうなの!?」
「ごめん、やっぱり嘘」
いや、ゴン太みたいなオレってもうそれオレじゃないよね。
馬鹿げた妄想はかき消して、その後は気分転換にゴン太を目一杯付き合わせた。
明日はもう一度、自分から誘ってみようか…と密かな決心を固めるために。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あ、王馬くん。今日、良かったらAVルームで映画の続きを…」
中庭で出会ったみょうじちゃんは、オレを見るなり嬉しそうに駆け寄って来てポケットからデートチケットを取り出す。
何にも予定なんてないし、数日前の自分なら二つ返事でOKを出していたと思う。
でも今日のオレは何故かそうはいかなくて、気が付けば近くにいたゴン太を巻き込んで彼女の誘いを断ってしまっていた。
「みょうじちゃんごめーん。今日はゴン太と約束してるんだ!ね、ゴン太!」
「えっ?そ、そうだったかな…」
真剣な面持ちで頭を抱えるゴン太がバカでホント良かったと思う。
「酷いやゴン太!紳士のくせに約束忘れるなんて!」
「ご、ごめんね王馬くん!頑張って思い出すよ…!ゴン太は紳士だから…!」
思い出せるわけないだろ、そんな約束してないんだから。
また騙されてやんの、なんて心の中で舌を出して笑っていられたのもほんの一瞬だった。
「そっ…か、急に誘ってごめんね」
困ったように眉を下げて笑う彼女の姿を見て、なんだかひどく胸が苦しくなる。
最近、一緒にいるといつもこうだ。
だからあえて自分からは誘わないことにしたし、今日だってこうして誘いを断ったのに。
一緒にいても、避けようとしても、どの道こんな気分になるなんて。
「みょうじ、ちゃん」
「王馬くん、またね!ゴン太くんもバイバイ!」
オレが何かを言う隙もなく、みょうじちゃんはそう言い残して足早に去っていった。
ゴン太は隣で、そんな彼女に呑気に手を振っている。
あーあ、意味分かんない。
完璧に彼女の姿が見えなくなってから、力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「王馬くん、大丈夫!?具合が悪いなら、ゴン太が部屋までおんぶしようか!?」
「大丈夫じゃないけどおんぶはいらない」
蹲ったまま早口にそう答えると、どんな思考回路のもと導き出された答えなのか、「王馬くんが死んじゃう…!?」と慌てふためくゴン太。
もしもゴン太くらい素直に感情を出せていたら、今のオレみたく自分のことが分からない…なんてことにはならなかったんだろうか。
「…ゴン太になりたい」
「えっ、そうなの!?」
「ごめん、やっぱり嘘」
いや、ゴン太みたいなオレってもうそれオレじゃないよね。
馬鹿げた妄想はかき消して、その後は気分転換にゴン太を目一杯付き合わせた。
明日はもう一度、自分から誘ってみようか…と密かな決心を固めるために。
1/5ページ