エロくないマッサージ
おなまえ
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※王馬視点
「ぁんっ…もっと、そこぉ……」
「ここ?」
「んんっそう、そこ…ぐりぐり、きもち…あっ」
「…あのさ、みょうじちゃん。マッサージごときでエロい声出すのやめてくんない?」
「んぇ?」
事の始まりは数日前、肩こりが酷いという彼女の悩みを聞いてオレの部屋でマッサージしてあげたわけ。
オレってば優しーとか思ってたんだけど、いざ始めてみたらみょうじちゃんの体の敏感たるや。
肩に触れればピクリと背筋を震わせて、腰を揉もうものならもう…ほら、オレって今何してるんだっけ?と疑問になる有様だった。
正直その日はちょっとチンコ痛くなったけど色々見たり聞いたり触ったりできてラッキーって思ってた。
問題は次の日の朝。
食堂に向かってる時にキー坊に呼び止められたことで事件は発覚した。
「王馬クン…あの…」
「んー?何、キー坊」
「その…お二人の仲が良いのは分かりますが、もう少し周りへの配慮というものをですね…」
「配慮?えーと…何の話してんの?」
「で、ですから…みょうじさんの声が聞こえてるんです…!」
全てを察した時オレは何とも形容しがたい、でも確実にポジティブとはかけ離れた怒りにも似た感情を覚えた。
つまりキー坊は、昨日オレとみょうじちゃんがよろしくやってたと思い込んでるわけだ。
実際のところはただマッサージをしていただけなのに。
ふざけんなよ、オレまだみょうじちゃんに手出ししてないんだからな!
ぶっちゃけそろそろやっちゃってもいいかなーとか思ってなかったわけじゃないけどさ!
それに何よりも、キー坊に彼女のあんな声を聞かれていたことが最高に不愉快だった。
そんなオレの気持ちを知ってか知らずか、みょうじちゃんはまたマッサージをしてくれとせがんでくる。
一瞬悩んだけど合法的にみょうじちゃんの体に触れられるわけだし、断ったとして万が一にも他の誰かにあんなみょうじちゃんを見られるのも癪だし。
そんなわけで冒頭のシーンに戻る。
「だからさー、その声隣に聞こえてるんだって!もー、みょうじちゃんのせいでオレが盛りのついたお猿さん扱いとかホント勘弁してほしいよー」
「えっ…えっ?私、そんなに変な声出てた…?」
「嘘でしょ…気づいてなかったの?声だけ聞いてたら99%誤解されるようなドの付くエロボイスだったんだけど…」
「うそ…私もう、お嫁に行けない…」
「何言ってんの…お嫁には行けるでしょ、オレってキミのなんなの…」
どうやら本気で無自覚だったらしいみょうじちゃんは、今更ベッドの上で羞恥に悶え苦しんでる。
まぁ…わざとだとは思ってなかったけどさ、それでも多少は声出てる自覚はあると思い込んでたよ。
「き、キーボくんは誤解したまま…?」
「ロボットに聞かせるには勿体ないけど、せっかく聞こえたなら一生のオカズにしとけって言っといた」
「ばか…!!」
「嘘だって、大体キー坊にオカズなんかいらないでしょ。実際はちょっと盛り上がっただけだから気をつけるって言った」
「つまり誤解したままってことじゃない!」
みょうじちゃんはうわぁぁん、と泣きながらオレのベッドにうずくまる。
あーあ、後でベッドシーツ替えなきゃだな。
「じゃあさ、マッサージしてたらみょうじちゃんが勝手に喘ぎ出しただけでオレは何もしてない…とでも言った方が良かった?そんなの信じるやつゴン太くらいだと思うよ」
「それは…そうかもしれないけど」
「それにさ、みょうじちゃんが馬鹿みたいに敏感でちょっと触っただけですぐ喘いじゃうエロい子扱いされるなんてオレ嫌だよ…!」
「それは嘘だよね?」
「うん、嘘だよ。もうそうなればいいと思ってる」
「見捨てないでー!」
「だから、そもそも最初からオレが全部そのエロエロな容疑被ってやってんだよ!もっと感謝してくれてもいいんじゃない?」
「あああありがとうございます…!」
両手を擦り合わせながら土下座するみたいに頭を下げられて、なんだか仏にでもなった気分。
実際のところみょうじちゃんのこんな弱点(?)を他の男に知られたくなかったから、いっそのこと誰も間に入る隙なんかないくらい盛り上がっちゃってるんだということにしたわけだけど。
『彼女ができて盛ってるやつ』なんて不名誉なイメージをそのままにしておいてあげたんだから、もう少しくらいこのまま感謝しといて欲しいよね。
これをダシに何を要求しようか…。
感謝を述べるみょうじちゃんを眺めながら、オレは一人今後のお楽しみについて思考を巡らせていた。
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