お泊まり
おなまえ
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「珍しいね、なまえちゃんからオレの部屋に来るなんてさ」
「う、うん…ちょっとね…ごめんね、突然」
私は今、密かにお付き合いしている王馬小吉くんの部屋に来ている。
いつもは小吉くんが私の部屋に来たり、2人でどこか別のところへ出かけることが多い。
何故今日は私から小吉くんの部屋を訪ねたのか…それは…。
「ま、なんで来たのかは大体想像つくけどねー」
「えっほんと?」
「にしし、当たり前じゃん。なまえちゃんに関することでオレが知らないことがあるわけないでしょ?」
えっへんと得意気にそう言われるが、正直半信半疑だ。口を滑らせて私が暴露するのを待っているだけなんじゃないかと疑ってしまう。
「えぇー?そうなのかなぁ」
「信じてくれないならいいよ!そんなこと言うなまえちゃんなんて、用事が終わったらすぐに帰しちゃうもんね!」
「えっ?や、あの…今日私が言いたかったのは…その…」
「んー?なにかなー?」
「き、今日は一晩泊めてくれないかなぁ…って」
もじもじと視線を逸らしつつそう言うと、小吉くんはぷぷっと吹き出して大笑いする。
「あっははは!ま、分かってたんだけどねー。食堂で真宮寺ちゃんに聞かされた怪談話が原因でしょ?1人で寝るのが怖くてオレの部屋まで来るなんて、なまえちゃんてば可愛いなぁ」
「ほ、ほんとに知ってたんだ…」
「だから言ったのにー」
「ごめんなさい…てっきり誘導尋問されるのかと…」
「それも分かってたけどねー」
小吉くんはくすくすとおかしそうに笑いながら、私の頬を引っ張りむにむにと弄り回してきた。
「いひゃいよーごめんなひゃいゆるひてー」
「えー?なんて言ってるのか分かんないなぁー」
「うえぇーそんなー…んぅ」
突然目の前が暗くなったかと思うと、唇に柔らかいものが触れた。
ちゅっと音を立てて小吉くんの顔が目の前に現れて、キスされたことに気がつく。
顔が熱くなってきて、思わず手のひらを両頬に合わせた。
「あはは、いい加減慣れなよーいつまでそんなピュアな反応しちゃうのさー?」
「だ、だって…やっぱりなんか…ドキドキしちゃって…」
「にしし、素直ななまえちゃんは可愛いね」
「あっ!そういえば泊めてくれるかどうかの返事聞いてないよー」
「そういえばそういう話だったね。オレは別にいいよ。なまえちゃんが耐えられるなら、だけどね」
首を傾げる私に対して、意味ありげな微笑みを返してくる小吉くん。
どういう意味なのだろうかと思っていると、小吉くんがベッドに移動し、その隣をポンポンと手のひらで叩いてここへ来いと誘導してくる。
頭の中にはてなが浮かびながら素直にそこへ移動し、言われるがまま横になる。
するとすぐ隣に小吉くんが同じように横になった姿勢でこちらを向いた。
「泊まるってことはこの距離で寝るってことだけど、なまえちゃんは大丈夫なのかなーって」
「え?あ、あぅ……」
少し近づけばキスも出来そうなくらいの距離で声をかけられ、言葉に詰まった。
もごもごと口を動かしていると、小吉くんはまたそっとキスをしてくる。
こんなことされたら、余計意識してしまうのに。
「にしし、今更意識しちゃった?ほーんとなまえちゃんはウブで可愛いねー。ま、でも安心してよ。さすがのオレといえど、これ以上のことはしないからさ。………多分」
「これ以上って…多分って…!」
「あはは!真っ赤になったーリンゴみたいー」
「もぉ……」
小吉くんはそう言って私の頬をぷにぷにとつつく。
しばらくそうした後つつくのをやめて、今度は頭を優しく撫でられた。
なんだか安心する。
「ごめんごめん、多分は冗談。オレはなまえちゃんには許せるレベルのイタズラしかしないからさ、そこは安心して?」
「どこまでを許せる範囲としてるのかは気になるけど…それは信じてる」
小吉くんに引き寄せられるまま抱き合っているような体制になった。
人肌が心地よくて、小吉くんの胸にすりすりと顔をこすりつける。
「にしし、ありがと。…でもさ、一応オレも我慢してるところはあるから、煽ったりするのはダメだよ!いくらなまえちゃんでもそれは怒るからね!」
「煽る…?よく分かんないけど、分かった」
少し顔を上げて、小吉くんの顔を見てにへっと笑う。
小吉くんは一瞬そのまま固まったかと思うと、ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
「絶妙に分かってないような気がするけど……まぁ、いいか…。今みたいなの、オレにしかやっちゃダメだからね!わかった?」
「う、うん!わかった!」
「よろしい!」
*****
「すぅ……こきちく……ふふふ。ダメだよぉ……それは………女の子に…なっちゃうから……」
「……はぁ、一体オレのどんな夢見てるのかなーこの子は」
可愛い彼女の頼みを聞いて、一晩オレの部屋に泊めることになったわけだけど…。
隣で寝入ったが最後、オレのこと抱き枕だと思ってるの?と聞きたいくらい遠慮がなくて距離は近いし腕も脚も絡めまくり。健全な男子高校生なオレとしては、これは据え膳ってやつ?と思わずにはいられないわけで。
「…ていうか、めちゃくちゃ当たってるし。絶対ノーブラだろこいつ…狸寝入りしてて実はオレのこと煽ってる…なんてことないよね?」
ぷにっと頬をつつく。
むにゃむにゃいいながらにへっと笑うなまえを見て一気に脱力する。
さすがにそんなわけないか。
ピュアピュアななまえちゃんがそんな大胆なこと出来ると思えないし。そもそも考えもしなさそう。
「あ~~~寝れね~~~」
悶々としたまま結局一睡もできず、翌朝目の下にできた大きなクマを見たみょうじに何があったのかと心配されてしまう王馬なのであった。
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