顔が赤いのはお酒のせい
おなまえ
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仕事終わりに楽屋で帰る準備をしていたところ、百さんに一本の電話がかかってきた。
「もしもーし!どうしたの?……うん、うん。ちょうど今終わったところだから行く行く!………あはは、了解!はーい!じゃあまた後で!」
お友達からだったのかなと深く気にしていなかったが、百さんはスマホを仕舞うなり何故かにこにこしながらこちらを見ている。
「えっと…どうかされましたか?」
「なまえちゃん、今日この後時間ある?」
「あ、はい。特に予定は…」
「よし!じゃあ参加決定ー。ユキも大丈夫だよね?うん、そうだよね!じゃあみんなで行くよー!」
あれよあれよという間にどこかへ連れていかれることが決まり、話を把握していないはずのユキさんも何故かノリノリで手土産選びなんかを始めた。
百さんのことだから大体分かる…みたいなことなんだろうか。私には到底分かりそうもない。
結局どこへ行くんですか?と尋ねても着いてからのお楽しみだと言われて、とうとう何も知らないまま1軒の建物の前まで連れられてしまった。
ピンポーン
百さんはなんの躊躇いもなくインターホンを押す。
友人の家だったんだろうかと油断していると、ガチャリと開いた扉からは非常に見覚えのある人物が現れた。
「来たよー三月!」
「百さんお疲れ様です。あ、千さんとみょうじさんまで!適当に寛いでって下さい」
にこやかに出迎えてくれたのはアイドリッシュセブンの三月さん。
促されるまま中へ入ると、奥の方から賑やかな声が聞こえてくる。
どれもこれも聞き覚えがあるような…と思っていると、案の定アイドリッシュセブンの皆さんが勢揃いしていた。
*****
百さんへの連絡はパーティというか飲み会のようなもののお誘いだったようで、到着するやいなや一部の方々はお酒を煽り始めてもう大騒ぎだ。
「すみません…突然押しかけしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽しそうですし」
紡さんは小さく笑って皆さんの方を見た。
酔っ払って人が変わったように我儘を発揮する逢坂さんと、それに振り回される皆さん方…。
確かに楽しそうです…主に逢坂さんが。
いつもマイペースな四葉さんが必死に逢坂さんの暴走を止めようとしていて、なんだか普段見るお2人とは真逆の役回りになっているのが可笑しくてつい笑ってしまった。
「ふふ、賑やかですね」
「そうですね。なまえさんもお酒飲まれますか?」
「いえ、大丈夫です!私お酒弱いので」
「そうだったんですね。それならジュースの方がいいでしょうか」
「ありがとうございます、頂いちゃいますね」
紡さんとそんな話をしていると、またインターホンが鳴らされた。
顔を赤くしてゲラゲラと笑っている年上組は動けないと察知した一織さんが席を立ち、玄関の方へと向かっていく。
まだ若いのにしっかりしてるなぁ…。
しばらくして一織さんが戻ってきて、その後ろにいる人物が視界に映った私は危うく口に含んだ飲み物を吹き出しそうになった。
「っ、ごほっごほっ…」
「だ、大丈夫ですか!?……あ、TRIGGERの皆さんお疲れ様です」
「TRIGGERさん?ぅ、ごほっ…!」
「よう。…どうしたみょうじ、むせたのか?」
「はい…むせました…」
「ハンカチ、使う?」
ここしばらく会っていなかった恋人の姿をこんな所で見ることになるなんて。
九条さんに差し出されたハンカチを受け取ると、ほのかに彼の香りがして胸がむずむずした。
私と九条さんはお付き合いをしている。
その事は当然だけど誰にも言っていないし、知られてはいけないことと理解もしている。
だから今も平然としていないといけないのだけれど。
「…ふふ。お酒でも飲んだ?顔、赤いけど」
「あ…そ、そうなんです!飲むとすぐ赤くなっちゃって!」
「…え?そうでしたっけ?」
「ひと口だけ!間違って飲んじゃったみたいなんですよー」
紡さんは不思議そうな顔をしていた。
でもお酒のせいということにしておかないと、紡さんはともかく八乙女さんに勘づかれると色々まずい気がする。
九条さん曰く、「そば屋が人にとやかく言える立場じゃないから楽には気をつけなくて大丈夫」とのことなのだが、私にはよく分からなかった。
「紡、差し入れだ」
「わぁ、ありがとうございます」
女は甘いものが好きだろうと、八乙女さんが紡さんに可愛らしい箱に入ったマカロンを手渡している。
「あー、マネージャーずりぃ!がっくん俺にはー?」
「うるせぇ、お前にはやらねぇよ」
「そういうの"エコヒーキ"っつーんだろ?大人げねーの」
「あはは、環くんにはいつもの買ってきたよ。ほら」
「うおー、王様プリン!さすがリュウ兄貴!」
十さんから奪い取るようにしてプリンを手にした四葉さんは、目を輝かせながらプリンを食べ始めた。
礼儀という観点から見れば褒められた行為ではないが、あそこまで表情や態度で喜びを表現されたらそんなことは不問にしてしまいたくなりそうだ。
実際に十さんはニコニコと四葉さんの様子を微笑ましそうに眺めているし。
「みょうじさんは龍みたいな男が好み?」
「えっ?いやいや、そういう訳では…!」
「ふーん、別にいいけど」
ついつい賑やかな声が聞こえる方に気を取られていると、九条さんが不満げに口を尖らせて私の隣に座る。
こんなこと言ってると隠しきれなくなるんじゃないかと思ったが、気がつけば紡さんは八乙女さんと一緒に少し離れたところで談笑していて私の近くにいるのは彼だけになっていた。
「元気にしてた?」
「はい。…九条さんも、お変わりないですか?」
「体調の方はね。気持ちはもう限界だったけど」
「な、何かあったんですか!?私でよければお話くらいなら…!」
「もう大丈夫。今回復したから」
「え…?」
てっきり精神的に辛い出来事があったという意味なのかと思ったが、慌てる私を見て九条さんはくすっと笑った。
「キミに会いたかっただけだよ」と小声で言われて、そういう意味だったのかと力が抜けると同時にまた顔に熱が集まってきた気がする。
「天にぃ、なんでそんな端っこにいるの?こっちにおいでよー」
「あぁ、今行くよ」
九条さんは立ち上がる間際に「また後でね」と耳打ちしてから陸くんたちの輪の中に入っていく。
本当に、隠す気はあるのかと言いたくなるほど大胆な行動をしてくれる。
でもその「後で」がいつ来るのかな、なんて楽しみにしてしまう私も私だ。
ここにはみなさんがいるのに、それでも九条さんの近くにいたいと思ってしまうなんて。
一滴もお酒を飲んでいないのに熱くなった身体を冷ますように、私は手元にあったジュースを一気に飲み干した。
「もしもーし!どうしたの?……うん、うん。ちょうど今終わったところだから行く行く!………あはは、了解!はーい!じゃあまた後で!」
お友達からだったのかなと深く気にしていなかったが、百さんはスマホを仕舞うなり何故かにこにこしながらこちらを見ている。
「えっと…どうかされましたか?」
「なまえちゃん、今日この後時間ある?」
「あ、はい。特に予定は…」
「よし!じゃあ参加決定ー。ユキも大丈夫だよね?うん、そうだよね!じゃあみんなで行くよー!」
あれよあれよという間にどこかへ連れていかれることが決まり、話を把握していないはずのユキさんも何故かノリノリで手土産選びなんかを始めた。
百さんのことだから大体分かる…みたいなことなんだろうか。私には到底分かりそうもない。
結局どこへ行くんですか?と尋ねても着いてからのお楽しみだと言われて、とうとう何も知らないまま1軒の建物の前まで連れられてしまった。
ピンポーン
百さんはなんの躊躇いもなくインターホンを押す。
友人の家だったんだろうかと油断していると、ガチャリと開いた扉からは非常に見覚えのある人物が現れた。
「来たよー三月!」
「百さんお疲れ様です。あ、千さんとみょうじさんまで!適当に寛いでって下さい」
にこやかに出迎えてくれたのはアイドリッシュセブンの三月さん。
促されるまま中へ入ると、奥の方から賑やかな声が聞こえてくる。
どれもこれも聞き覚えがあるような…と思っていると、案の定アイドリッシュセブンの皆さんが勢揃いしていた。
*****
百さんへの連絡はパーティというか飲み会のようなもののお誘いだったようで、到着するやいなや一部の方々はお酒を煽り始めてもう大騒ぎだ。
「すみません…突然押しかけしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽しそうですし」
紡さんは小さく笑って皆さんの方を見た。
酔っ払って人が変わったように我儘を発揮する逢坂さんと、それに振り回される皆さん方…。
確かに楽しそうです…主に逢坂さんが。
いつもマイペースな四葉さんが必死に逢坂さんの暴走を止めようとしていて、なんだか普段見るお2人とは真逆の役回りになっているのが可笑しくてつい笑ってしまった。
「ふふ、賑やかですね」
「そうですね。なまえさんもお酒飲まれますか?」
「いえ、大丈夫です!私お酒弱いので」
「そうだったんですね。それならジュースの方がいいでしょうか」
「ありがとうございます、頂いちゃいますね」
紡さんとそんな話をしていると、またインターホンが鳴らされた。
顔を赤くしてゲラゲラと笑っている年上組は動けないと察知した一織さんが席を立ち、玄関の方へと向かっていく。
まだ若いのにしっかりしてるなぁ…。
しばらくして一織さんが戻ってきて、その後ろにいる人物が視界に映った私は危うく口に含んだ飲み物を吹き出しそうになった。
「っ、ごほっごほっ…」
「だ、大丈夫ですか!?……あ、TRIGGERの皆さんお疲れ様です」
「TRIGGERさん?ぅ、ごほっ…!」
「よう。…どうしたみょうじ、むせたのか?」
「はい…むせました…」
「ハンカチ、使う?」
ここしばらく会っていなかった恋人の姿をこんな所で見ることになるなんて。
九条さんに差し出されたハンカチを受け取ると、ほのかに彼の香りがして胸がむずむずした。
私と九条さんはお付き合いをしている。
その事は当然だけど誰にも言っていないし、知られてはいけないことと理解もしている。
だから今も平然としていないといけないのだけれど。
「…ふふ。お酒でも飲んだ?顔、赤いけど」
「あ…そ、そうなんです!飲むとすぐ赤くなっちゃって!」
「…え?そうでしたっけ?」
「ひと口だけ!間違って飲んじゃったみたいなんですよー」
紡さんは不思議そうな顔をしていた。
でもお酒のせいということにしておかないと、紡さんはともかく八乙女さんに勘づかれると色々まずい気がする。
九条さん曰く、「そば屋が人にとやかく言える立場じゃないから楽には気をつけなくて大丈夫」とのことなのだが、私にはよく分からなかった。
「紡、差し入れだ」
「わぁ、ありがとうございます」
女は甘いものが好きだろうと、八乙女さんが紡さんに可愛らしい箱に入ったマカロンを手渡している。
「あー、マネージャーずりぃ!がっくん俺にはー?」
「うるせぇ、お前にはやらねぇよ」
「そういうの"エコヒーキ"っつーんだろ?大人げねーの」
「あはは、環くんにはいつもの買ってきたよ。ほら」
「うおー、王様プリン!さすがリュウ兄貴!」
十さんから奪い取るようにしてプリンを手にした四葉さんは、目を輝かせながらプリンを食べ始めた。
礼儀という観点から見れば褒められた行為ではないが、あそこまで表情や態度で喜びを表現されたらそんなことは不問にしてしまいたくなりそうだ。
実際に十さんはニコニコと四葉さんの様子を微笑ましそうに眺めているし。
「みょうじさんは龍みたいな男が好み?」
「えっ?いやいや、そういう訳では…!」
「ふーん、別にいいけど」
ついつい賑やかな声が聞こえる方に気を取られていると、九条さんが不満げに口を尖らせて私の隣に座る。
こんなこと言ってると隠しきれなくなるんじゃないかと思ったが、気がつけば紡さんは八乙女さんと一緒に少し離れたところで談笑していて私の近くにいるのは彼だけになっていた。
「元気にしてた?」
「はい。…九条さんも、お変わりないですか?」
「体調の方はね。気持ちはもう限界だったけど」
「な、何かあったんですか!?私でよければお話くらいなら…!」
「もう大丈夫。今回復したから」
「え…?」
てっきり精神的に辛い出来事があったという意味なのかと思ったが、慌てる私を見て九条さんはくすっと笑った。
「キミに会いたかっただけだよ」と小声で言われて、そういう意味だったのかと力が抜けると同時にまた顔に熱が集まってきた気がする。
「天にぃ、なんでそんな端っこにいるの?こっちにおいでよー」
「あぁ、今行くよ」
九条さんは立ち上がる間際に「また後でね」と耳打ちしてから陸くんたちの輪の中に入っていく。
本当に、隠す気はあるのかと言いたくなるほど大胆な行動をしてくれる。
でもその「後で」がいつ来るのかな、なんて楽しみにしてしまう私も私だ。
ここにはみなさんがいるのに、それでも九条さんの近くにいたいと思ってしまうなんて。
一滴もお酒を飲んでいないのに熱くなった身体を冷ますように、私は手元にあったジュースを一気に飲み干した。
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