構ってちゃん
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
週に一度のお休みの日、することもなく狛枝くんの部屋に入り浸っていた。
「暇ー」
勝手にベッドに寝転がって、ジタバタと手足を動かす。
部屋の主はソファに座って本を読んでいたが、手を下ろして私に小さく笑いかけた。
「じゃあ出かける?」
「うーん、やめとく」
「でも、ボクの部屋にずっといても景色は変わらないよ?」
そう言って、狛枝くんはまた本を持つ手を上げる。
構って欲しかっただけなんだけどなぁ。
でも、そんなこと言える勇気もなく何と声をかけるべきかまた思考を巡らせる。
「この間ね、日寄子ちゃんとスーパー行ったの」
「そうなんだ」
「どのお菓子が好きかで言い合いになったけど、最後は同盟関係になった」
「仲良しだね」
食いついてくる話題を求めて、何度かここ最近の話をしてみるも、大体結果は同じだった。
「えーと、えーと…」
「なまえさんってさ、ここに来ると必ずこの一週間のことを事細かに話すよね」
「え、そ、そうかな」
「そうだよ。先週も先々週もそうだったよ」
「そうだっけ…」
相変わらず視線は本に向けられたままだ。
いい加減鬱陶しかったのかな、狛枝くんってあんまり怒らないから溜め込むタイプなのかもしれないし…。
集中したいから暇なら他の人に…とか言われるのかな。
ビクビクしつつ狛枝の顔を見ると、特に変化は見られない。
ポーカーフェイスって何考えてるかわかんない!怖い!
「さすがに続くものだから、ボクも色々考えてみたんだけど」
ぺら、とページを捲る紙の音が響く。
「もしかしてなまえさん、ボクに構われたいの?」
「う…え?」
さらりとそう言われ、呆気にとられる。
ただ、まだどんな顔をしているのか分からなくて不安は拭えない。
口を開いて見るも何とも情けない声しか出なかった。
「違ってたらいいんだよ」
「や、あの、違わない…です」
恥ずかしさと恐怖から、布団に顔を埋めて頭を守る様に手を被せた。
「そう」
本を閉じる音が聞こえ、その次に立ち上がる音…こっちに来るの?
確認したいけれど勇気がなく、結局そのままの体勢を維持することにした。
「まぁ…本当は分かってたんだけど」
「えっ?それってどういう…!?」
思わずがばっと体を起こすと、狛枝くんが笑いながら頭を撫でて来た。
「あは、ごめんね。次はどうやって気を引こうとするのかなぁって興味がわいちゃって」
それなら、正直に言えずに必死に気を引こうとしてた私の努力も全部お見通しだった…ってこと?
見透かされていたことは恥ずかしいけど、気づいてくれていたことがちょっと嬉しかったりもしてそわそわする。
「それに、そうやって頑張るなまえさんが可愛かったんだ」
「…ば、ばか!あほ!」
感情がついに恥ずかしさに振り切って、思わず小学生並みの暴言を吐いて近くにあった枕を抱きしめ防御の姿勢をとる。
ごめんごめん、なんて笑いながら言う狛枝くんを睨みつけた…つもりで見つめた。
「…ふぅん、何だか迷惑みたいだからまた本でも読もうかな」
笑っていた狛枝くんが、すっと真顔になって立ち上がる。
ど、ど、どうしよう。怒ったのかな??
こんな素直じゃない女可愛くない…とか思われたのかな…。
他の女の子の方が良いとか言われたら…。
「ご、ごめんなさい!構って欲しいです!!」
「……」
「お、怒ってる…?」
じわじわと涙目になりながら彼の背にしがみつくと、少し後にくすくす笑う声が聞こえて肩も震えだした。
「…ふ、ふふふ…ごめんね、怒ってないよ。意地っ張りだなぁと思ってつい」
「だ、だって…恥ずかしいから」
「知ってるよ。でもいいんだ、そういうところも可愛いから」
そのせいで時々意地悪したくなるけど、と付けたされて顔が熱くなる。
確かに、今までも同じような手法でからかわれる…というか、騙されてきたわけだし、私の行動パターンって単純なのかな。
「で、構って欲しいんだよね?」
くるりと振り向き、腕を取られる。
そのまま顔を寄せてきたため身を縮めると、耳元にふっと息をかけられ体が跳ねる。
「あは、相変わらず弱いね…耳」
じりじりと追い詰められ、ふくらはぎの辺りにベッドの淵がぶつかった。
「どうする?ボクに構われる?」
ふふ、と楽しそうに笑う狛枝くんに、私は目を泳がせる。
「か、構ってほしいけど…まだ外明るい…!」
震えた声でそう言うと、狛枝くんは一瞬きょとんとした顔をした後小さく笑った。
「ふふ… なまえさん、ボクにどんな風に構われるって思ったの?」
「なっ…!」
「ねぇ、教えてよ。どんな風に構われたい?」
甘い声に力が抜ける。
きっとこれからもこんな風に、私は彼の手の上で転がされていくのだろう。
だけどそれも案外悪くないかも、なんて。
1/1ページ
