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記録

旧ページより6

2024/08/26 21:45
「それだけじゃねえ、あの女はもう2、3年経ったらてめえ自身の娘を俺たちの『組』に売り飛ばす契約をしてんだよ、最初っからその為に生んだのさ。」
「ああ、ガキは手ごろな商品だからな。特に女のガキはよお」
『--!!!!!--』声にならない叫びが口からほとばしった。
手枷の存在など意に介さず今の台詞を言った男につかみかかろうとする。
だが足首につけられた鎖でたちまち前進を止めめられる。
「こいつまだ刃向かおうなんて気がありやがんのか?」「軟弱そうな見た目してるくせに生意気な野郎だ」「やっちまえ」
さっきの倍ほどの殴打が襲いかかる。
「ちくしょう、こいつ血吐くまで殴っても泣くどころか声ひとつ上げやしねえ。全く可愛げのねえ」「ふふん・・さすがお美しい宝石を身体から生み出せる方はおしとやかなこって。だが次のご主人様は俺たちみてえに優しくはねえぜ?」
お前たちが優しいとは最悪のブラックジョークだ。
殺してしまっては元も子もないからと彼らの真心の一片もない手当てが終わり、一人になった僕は暗い独房で考えた。
ここでは考える以外、自分の意思でできる事はないので、ずっとそればかりだ。
「傷の無いエメラルドがないよに欠点のない人も無い』または『欠点のないひと見つけるのは無傷のエメラルドを見つけるより難しい』
この二つの金言は全くの真理だったわけだ。
いや・・・欠点があるのは仕方ないし、まだ許せる。だがこの頃僕は人間とは最悪の魑魅魍魎ではないかと思えてくる。
何より恐ろしいのはこのままでは僕自身が憎悪と憤怒に心を暗黒に塗り潰された怪物になってしまうのではないかということだ。
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