このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

TRPGシナリオ 赤い目の呪縛

「すっかり遅くなってしまったわ・・・。」
薄暗い小道を割合綺麗な顔だちの娘が足早に歩いていた。
この辺りは静観な村の集落だが若い女性を狙う悪党や魔物が出没するという噂も昔からある。
ふと、娘は行く手の道にうずくまっている痩身の男の人影を見つけた。どうやら苦悶しているらしい。
「う、うう・・・」声を聴くと男というよりもまだ少年のようだった。
どうしよう、助けなきゃ・・・でも女性を狙う悪党や魔物だったら?
その人影の被っていたフードがはらりと脱げる。
その露わになった少年のかんばせに「・・・!」娘は大きな瞳をさらに見開き、言葉を失った。悪党にも魔物にも見えない。

どころか女性も含めてこれまでに見たこともないほど美しい顔立ちだ。
ひそやかに揺らめく頭髪は白銀の糸を連ねたかのよう、怜悧さと穏やかな甘さを兼ね備えた切れ長の瞳。鋭角的な角度を描く高い鼻梁。愁いを帯びた柳眉。色白の頬に影を落としている信じられないほど長いまつげ。口づけを待ち焦がれているようなふっくらとした薄めの唇。
娘の耳道に自分の速くなった鼓動が聞こえた。もはや警戒心など何処かへ吹き飛んでいた。
1/1ページ
    スキ