第1章「ガチンコベイ誕生!!」
本日もドラムとアマネはバトル三昧。お互いのベイが鍔迫り合いを始め、ドラムがややリード。このままドラムの勝利――と、思いきやアシュラ押し返しドラゴンがオーバーフィニッシュ。ドラムも思わずぎゃふん!と声が出る。かれこれ数時間もバトルしている2人に呆れながらも見るのをやめない他のメンバー達。タンゴも楽しくバトルしている2人をみてどこか嬉しそうだった。
すると、ビクトリーズの入口の扉が開き、思わぬ来客“達”がやってきた。
「おお!練習してるなー!」
「少しボロいが悪くは無いクラブだな。」
その人物達はあのスーパーレジェンド「蒼井バルト」と「紅フィニ」だった。
蒼井バルトは言わずもがな世界が認める最強のブレーダーであり、BCソルの人気を取り戻した張本人。
紅フィニはNYブルズのオーナーでありながら、かつてはBCソルで活躍していたブレーダーでもあり、蒼井バルトと、特別な関係にあるという。
「バルト……先輩?」
「バルト先輩、お久しぶりですわ。」
「おう!ドラム、シズク、久しぶりだな!」
「私が主催するベイカーニバルの特別招待ブレーダーとしてバルトちゃんを呼んだんだ。しかしコイツがついでにビクトリーズの様子が見たいと言って――」
「オレたちに会いに来てくれたんすねェ!?超感激〜〜ッ!!!」
涙と鼻水をダラダラと流しながらばるとに近づく。数センチ程しかない顔の近さでバルトは思わず手を前に出し少し距離を取った。
シズクはドラムの首根っこを掴むとそのままバルトと距離を離し、ポケットから出したティッシュで鼻を拭いてやる。
「もう、困ったものね。」
「縹シズク、だな。バルトちゃんが君のブレーダー人生を復活させたと、本人から聞いてな。」
「ええ、私 もバルト先輩の想い人に会えて嬉しいですわ。BCソルにいた時、時々聞いていまして。」
「また勝手に喋ったな……アイツ……。」
ドラム達の中では、バルトやフィニとはBCソル時代時に面識があったため、そこまで珍しいという実感は無いものの、やはりアマネ達はバルト達の存在は天の上、スーパースター。そんな人達が今目の前にいることに驚きが隠せない。
――すると。
「オラ、ビクトリーズのブレーダー、草葉アマネだべ!バルトさん、フィニさん。オラと戦ってくれ!」
「断る」
「そうか……えっ!!」
「ええーーっ!!まあオレはやるけどなー♪」
「今日何するか分かっているだろうな……お前……。」
「分かってるよ、なぁ、ちょっとだけ。な〜あぁ〜フィニ〜〜」
ぷにぷに、つんつん。バルトはフィニの頬をいじったり擦り寄ったりとレジェンド悪しからぬ態度を見せる。フィニはだんだんうざったいと思ったのか大きなため息を1つつくと、バルトの額にデコピンした。無理矢理バルトを引き剥がすとポケットから愛機を取り出す。
「あでっ」
「……1回だけだぞ。今のアイツらがどこまで戦えるか見てみたいしな。」
「わーい!さあアマネ、やるぞー!ベイバトルー!」
「イカすねぇ。ナァ〜イス。こんなことは滅多に無いっス!じゃ、オイラが審判をやってやるかぁ!」
いつもソファーに座りただ眺めているだけのタンゴもバルトと愛しの自身のブレーダーが戦うとなるといてもたってもいられないらしく、よっこらせと立ち上がるとスタジアムに立った。バルトもアマネも向かいあわせで立ち、それぞれランチャーにベイをセットした。タカネも慌ててカメラを回し、配信を始めた。
「マジで行くべ!」
「うん、いい気迫だ。」
「お願いします、バルトさん!」
アマネとバルトのバトルが今始まろうとしている外で、1人の少年が巧みにコインを操り、それを高くトスしキャッチする。そして中身を見るとそのコインは表を向いている。表が出たら見る、裏が出たら見ない。そして出たのは表。もちろん少年はこのまま傍観を続ける。――中でフィニが少年の視線に気づいたのも知らずに。
「ファーストバトル。」
「行くぜ、ヴァルキリー!」
バルトの愛機、スラッシュヴァルキリー。ベースはスラッシュ、ウエイトは烈、ガチンコチップはヴァルキリーの3枚刃、アタックタイプ。上に向かって出ている大きな3枚のアッパー刃が特徴的で、その攻撃を活かし、相手を弾き飛ばす。典型的なアタックタイプベイ。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シューーート!!」」
ヴァルキリーのブリッツディスクの3枚刃が開いた。そのまま地面にバウンドして勢いよく走り出す。
アシュラは早速センターを取り、大外から駆けてくるヴァルキリーを12枚の刃で受け流していく。そして1度外に離れると、キープドライバーを傾けさせアシュラの必殺技「キープカウンター」でカウンター攻撃を狙っていく。ヴァルキリーに思い切り激突し、鍔迫り合いが起こるが、ヴァルキリーはビクともしない。むしろ軸先が縮み、中にあるバネが固くなると、ロックも連動して固くなりアシュラのカウンターを耐え切り、ヴァルキリーの必殺技「ウイングスラッシュ」でさらに軸先は縮みスピードが速くなり、アシュラをそのままバーストさせた。
「スラッシュヴァルキリー、バーストフィニッシュで蒼井バルトの勝利!」
「うわぁ、バーストしちゃった……。」
「アシュラのディフェンスをあんな簡単に……。」
「なあフィニ、今のバトルどうだったか?」
「20点。」
「厳しい!」
世界の強さを痛感したアマネは歯を食いしばり、悔しい感情をあらわにしていた。すると、ドラムはヴァルキリーを拾い上げ、じーっとそれを見るとボソボソとひとりでに喋り始める。
実はドラムは先程のヴァルキリーの軌道全て無意識に理解していた。しかし、天然な性格の為ドラムは次はオレとバトルしてくれ、とヴァルキリーをバルトに返し顔を近づけさせる。仕方ないな、と思ったバルトはドラムとの対戦を了承する。ドラムはポケットからドラゴンを取りだした。
早速向かい合わせに立ち、ランチャーにセットする。
「ヴァルキリーはドライバーの軸が沈み込んでいるうちはバーストしにくい。スタミナのグランか…アタックのエースか……。どっちで行く……。」
「彼は作戦を相手に教えるのが得意なのか。」
「いいえ、あれは無意識で考えている事をそのまま口に出しているだけですわ。あの子天然なもので。」
「まぁ、どちらで来ようともバルトちゃんの作戦は変わらない。」
「おっちゃん、ドラムが言っていること本当か。」
「ああ、お前のバトルでヴァルキリーの特徴を見抜いたな。」
「バーストしにくいなら、持久戦に持ち込むしかないわ。」
「なら、スタミナのグランだね!」
周りもそうだ、と頷いていたが、ドラムが最終的に選んだベースは皆の気持ちとは反対のエースドラゴンだった。ヴァルキリーをバーストさせたい。彼の全力で、ドラゴンと共にヴァルキリーを。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い完璧で正確なシュートを放ち、お互い機会をうかがっていた。
早速ドラゴンの先制攻撃。軸を傾けさせヴァルキリーにアタックを仕掛ける。ヴァルキリーも負けじとドラゴンにアタック、アタック!2機はラッシュ攻撃を繰り返し、お互いにベイと共鳴し絆を高めさせる。するとヴァルキリーのロックが少し固くなり、バルトとヴァルキリーはさらに次元の先へ――。蒼き炎から現れる戦乙女 が金色に輝く。彼と彼女が強い共鳴で高め合うと、ゴールドターボと呼ばれる凄まじい速さと恐ろしい強さを兼ね備えた力を手に入れる。ドラムは輝きに魅せられるもすぐに視線を相棒に戻しさらに共鳴を高める。お互いぶつかり、光柱が発生し、眩い光や風が彼らを襲う。
「いっけぇぇえッ!!」
ヴァルキリーがそのままドラゴンを押し切り、ドラゴンはバーストされ、バルトのバーストフィニッシュ勝ちになり、試合終了。
「いいバトルだったな!へへっ」
「………っ。」
「ドラムー?」
「っ!…………クゥ〜〜〜〜ッッッ。もう1回!もう1回お願いします!」
「次はオラた!」
「ちょっと!ボクだってやりたいよぉ!」
「そうよ、キミ達ばっかりずるい!」
「私 も混ぜてくださいまし!」
「待った。」
フィニが静止の声をかける。4人の視線はバルトからフィニに移る。フィニはしばらく黙ったまま目を瞑るとゆっくりと瞳を開けてフッ、と笑った。
「全員かかってこい。まとめて相手してやる。」
「まっ、まとめてだべ!?」
「うぉぉおっ!!ガチ燃えてきたーー!!!」
「私を甘く見るなよ。」
フィニが取り出した自身の愛機「フランマプロメテウス」はウエイトが入らないタイプの両回転バランスタイプのガチンコベイ。彼女のディスクもヴァルキリーと同じブリッツディスク。ディメンションダッシュドライバーは軸先をひねらせることで攻守どちらにも対応している。フィニはドライバーを高くし、ランチャーを左回転用にセットするとそのまま準備体制へ。5人は横に並び、ランチャーをセットすると、タンゴの合図で声を揃えてそれぞれ勢いよくシュートをする。
「センターはオラが取るべ!みんなは外側からプロメテウスを狙うべ!」
「わかった!」
「挟み撃ちにしましょう!」
「では、左回転同士私 から行きますわ!」
サレオスのドライバーが傾き、スピードを上げるとそのままプロメテウスへ攻撃を仕掛ける。しかしプロメテウスは大きな2枚のラバー刃がサレオスの攻撃をいなしている。プロメテウスの後ろからイチカとタカネのベイも攻撃に参加。3機に囲まれる形になるが、フィニはその囲みから抜け出すとイチカとタカネのベイがサレオスに衝突し、サレオスの力によってバーストされてしまった。
「あっ、ごめんなさいですわ……。」
「いいのよ、それよりバトルはまだ終わってないわ。」
ドラゴンが次にプロメテウスに攻撃を仕掛ける。ドライバーを傾けてプロメテウスに衝突し、鍔迫り合いが起こる。
「いっけぇぇえッ、ドラゴーーーン!!!」
「ッ、プロメテウス!!」
お互いのベイと強く共鳴し、それぞれのベイが青と黄色、紅色の炎に包まれ中からドラゴンとプロメテウスのアバターが飛び出す。
「ドラゴンシュートッ!!」
「カウンターブレイク!!」
ドラゴンの攻撃を全力で受け止め、その力を己のものとし、弾き返すとそのままカウンター攻撃。ドラゴンは場外に飛ばされ、オーバーフィニッシュ。
残るは外を回るサレオスとセンターを陣取っているアシュラだけとなった。
「凄い……5人を相手しているのにスピードが全く落ちてない……ッ!!」
「これで終わりだ!!はぁぁぁあッ……!!」
フィニとプロメテウスはよりつよく、より高みを目指し共鳴力を高めるとプロメテウスは金色に光り始めた。バルトが見せてくれたあの光と全くおなじ、ゴールドターボだ。
アシュラは必殺技「ブシンガード」で完全防御体勢。しかしプロメテウスは上段を使い真上へと飛び上がった。まるでスタジアム全体を使いダンスをしているかのよう。そのままアシュラ目掛けて落ちていく。勢いよく、隕石のように落下していき、アシュラはそのまま叩きつけられバースト。残りはシズクのビリーヴサレオスのみ。お互い負けじとラッシュ攻撃を繰り返し、試合は拮抗している。すると、サレオスの機体が少しだけ金色に光ったように見えた。それをまたもや見逃さなかったタンゴと、シズクの成長と潜在能力に気づくフィニ。しかし手加減は一切しない。彼女はそのままサレオスを押し、壁際まで追い詰めた。
「サレオス!!くぅ………っ!!サレオスーー!!!」
「終わりだ、プロメテウス!」
プロメテウスがサレオスの攻撃をものともせずそのままオーバーフィニッシュ。彼女の宣言通り、全員を相手にし、全員倒しきったフィニは左の横髪をかき揚げ、ご満悦だ。
「もっかい!もっかいだー!!!」
***
それからしばらくし、バルトとフィニに指南してもらったビクトリーズは前より一段と成長したような気がした。
そしてもうお別れの時間。バルトとフィニはそれぞれ荷物を持ってみんなからお見送りをしてもらっていた。
「今日は良いバトルができて楽しかったぜ!」
一同深々とお礼を言い、バルト達に感謝の意を示した。
「ベイカーニバルでのお前達の活躍、楽しみにしているぞ。」
「じゃあな!」
バルト達はビクトリーズを去った。その後ろ姿はレジェンドブレーダーそのものの姿。人を導き、人より先を行き、そして誰よりも強い存在。
ドラムは心の中で悩んでいた。まだまだ自分の力は実力不足だ。彼らに勝てるほどの力が全くない。どうすれば彼らを越えることが出来るのだろうか。自分とドラゴンに。どんな力が必要なのか。
ふと、ドラムは何かを思いついたらしく、元気よく作業場へ向かった。
「ドラムって本当に元気だね。」
ドラムは作業場に籠ると早速新しいベース制作に取り掛かった。えーすのアタック、グランのスタミナと来たら次はディフェンスだ。誰どんな敵もいなし、バーストさせてくれる強いディフェンスベイ。ドラムの頭の中は完成図がとっくにできている。
しばらくし、ドラゴンの新しいベースは完成した。6枚の刃で敵の攻撃を跳ね返す「ロックドラゴン」。ドラムの手元にはどれにも対応出来るベイが揃った。
――そして、ベイカーニバルはもうすぐ開催される。
すると、ビクトリーズの入口の扉が開き、思わぬ来客“達”がやってきた。
「おお!練習してるなー!」
「少しボロいが悪くは無いクラブだな。」
その人物達はあのスーパーレジェンド「蒼井バルト」と「紅フィニ」だった。
蒼井バルトは言わずもがな世界が認める最強のブレーダーであり、BCソルの人気を取り戻した張本人。
紅フィニはNYブルズのオーナーでありながら、かつてはBCソルで活躍していたブレーダーでもあり、蒼井バルトと、特別な関係にあるという。
「バルト……先輩?」
「バルト先輩、お久しぶりですわ。」
「おう!ドラム、シズク、久しぶりだな!」
「私が主催するベイカーニバルの特別招待ブレーダーとしてバルトちゃんを呼んだんだ。しかしコイツがついでにビクトリーズの様子が見たいと言って――」
「オレたちに会いに来てくれたんすねェ!?超感激〜〜ッ!!!」
涙と鼻水をダラダラと流しながらばるとに近づく。数センチ程しかない顔の近さでバルトは思わず手を前に出し少し距離を取った。
シズクはドラムの首根っこを掴むとそのままバルトと距離を離し、ポケットから出したティッシュで鼻を拭いてやる。
「もう、困ったものね。」
「縹シズク、だな。バルトちゃんが君のブレーダー人生を復活させたと、本人から聞いてな。」
「ええ、
「また勝手に喋ったな……アイツ……。」
ドラム達の中では、バルトやフィニとはBCソル時代時に面識があったため、そこまで珍しいという実感は無いものの、やはりアマネ達はバルト達の存在は天の上、スーパースター。そんな人達が今目の前にいることに驚きが隠せない。
――すると。
「オラ、ビクトリーズのブレーダー、草葉アマネだべ!バルトさん、フィニさん。オラと戦ってくれ!」
「断る」
「そうか……えっ!!」
「ええーーっ!!まあオレはやるけどなー♪」
「今日何するか分かっているだろうな……お前……。」
「分かってるよ、なぁ、ちょっとだけ。な〜あぁ〜フィニ〜〜」
ぷにぷに、つんつん。バルトはフィニの頬をいじったり擦り寄ったりとレジェンド悪しからぬ態度を見せる。フィニはだんだんうざったいと思ったのか大きなため息を1つつくと、バルトの額にデコピンした。無理矢理バルトを引き剥がすとポケットから愛機を取り出す。
「あでっ」
「……1回だけだぞ。今のアイツらがどこまで戦えるか見てみたいしな。」
「わーい!さあアマネ、やるぞー!ベイバトルー!」
「イカすねぇ。ナァ〜イス。こんなことは滅多に無いっス!じゃ、オイラが審判をやってやるかぁ!」
いつもソファーに座りただ眺めているだけのタンゴもバルトと愛しの自身のブレーダーが戦うとなるといてもたってもいられないらしく、よっこらせと立ち上がるとスタジアムに立った。バルトもアマネも向かいあわせで立ち、それぞれランチャーにベイをセットした。タカネも慌ててカメラを回し、配信を始めた。
「マジで行くべ!」
「うん、いい気迫だ。」
「お願いします、バルトさん!」
アマネとバルトのバトルが今始まろうとしている外で、1人の少年が巧みにコインを操り、それを高くトスしキャッチする。そして中身を見るとそのコインは表を向いている。表が出たら見る、裏が出たら見ない。そして出たのは表。もちろん少年はこのまま傍観を続ける。――中でフィニが少年の視線に気づいたのも知らずに。
「ファーストバトル。」
「行くぜ、ヴァルキリー!」
バルトの愛機、スラッシュヴァルキリー。ベースはスラッシュ、ウエイトは烈、ガチンコチップはヴァルキリーの3枚刃、アタックタイプ。上に向かって出ている大きな3枚のアッパー刃が特徴的で、その攻撃を活かし、相手を弾き飛ばす。典型的なアタックタイプベイ。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シューーート!!」」
ヴァルキリーのブリッツディスクの3枚刃が開いた。そのまま地面にバウンドして勢いよく走り出す。
アシュラは早速センターを取り、大外から駆けてくるヴァルキリーを12枚の刃で受け流していく。そして1度外に離れると、キープドライバーを傾けさせアシュラの必殺技「キープカウンター」でカウンター攻撃を狙っていく。ヴァルキリーに思い切り激突し、鍔迫り合いが起こるが、ヴァルキリーはビクともしない。むしろ軸先が縮み、中にあるバネが固くなると、ロックも連動して固くなりアシュラのカウンターを耐え切り、ヴァルキリーの必殺技「ウイングスラッシュ」でさらに軸先は縮みスピードが速くなり、アシュラをそのままバーストさせた。
「スラッシュヴァルキリー、バーストフィニッシュで蒼井バルトの勝利!」
「うわぁ、バーストしちゃった……。」
「アシュラのディフェンスをあんな簡単に……。」
「なあフィニ、今のバトルどうだったか?」
「20点。」
「厳しい!」
世界の強さを痛感したアマネは歯を食いしばり、悔しい感情をあらわにしていた。すると、ドラムはヴァルキリーを拾い上げ、じーっとそれを見るとボソボソとひとりでに喋り始める。
実はドラムは先程のヴァルキリーの軌道全て無意識に理解していた。しかし、天然な性格の為ドラムは次はオレとバトルしてくれ、とヴァルキリーをバルトに返し顔を近づけさせる。仕方ないな、と思ったバルトはドラムとの対戦を了承する。ドラムはポケットからドラゴンを取りだした。
早速向かい合わせに立ち、ランチャーにセットする。
「ヴァルキリーはドライバーの軸が沈み込んでいるうちはバーストしにくい。スタミナのグランか…アタックのエースか……。どっちで行く……。」
「彼は作戦を相手に教えるのが得意なのか。」
「いいえ、あれは無意識で考えている事をそのまま口に出しているだけですわ。あの子天然なもので。」
「まぁ、どちらで来ようともバルトちゃんの作戦は変わらない。」
「おっちゃん、ドラムが言っていること本当か。」
「ああ、お前のバトルでヴァルキリーの特徴を見抜いたな。」
「バーストしにくいなら、持久戦に持ち込むしかないわ。」
「なら、スタミナのグランだね!」
周りもそうだ、と頷いていたが、ドラムが最終的に選んだベースは皆の気持ちとは反対のエースドラゴンだった。ヴァルキリーをバーストさせたい。彼の全力で、ドラゴンと共にヴァルキリーを。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い完璧で正確なシュートを放ち、お互い機会をうかがっていた。
早速ドラゴンの先制攻撃。軸を傾けさせヴァルキリーにアタックを仕掛ける。ヴァルキリーも負けじとドラゴンにアタック、アタック!2機はラッシュ攻撃を繰り返し、お互いにベイと共鳴し絆を高めさせる。するとヴァルキリーのロックが少し固くなり、バルトとヴァルキリーはさらに次元の先へ――。蒼き炎から現れる
「いっけぇぇえッ!!」
ヴァルキリーがそのままドラゴンを押し切り、ドラゴンはバーストされ、バルトのバーストフィニッシュ勝ちになり、試合終了。
「いいバトルだったな!へへっ」
「………っ。」
「ドラムー?」
「っ!…………クゥ〜〜〜〜ッッッ。もう1回!もう1回お願いします!」
「次はオラた!」
「ちょっと!ボクだってやりたいよぉ!」
「そうよ、キミ達ばっかりずるい!」
「
「待った。」
フィニが静止の声をかける。4人の視線はバルトからフィニに移る。フィニはしばらく黙ったまま目を瞑るとゆっくりと瞳を開けてフッ、と笑った。
「全員かかってこい。まとめて相手してやる。」
「まっ、まとめてだべ!?」
「うぉぉおっ!!ガチ燃えてきたーー!!!」
「私を甘く見るなよ。」
フィニが取り出した自身の愛機「フランマプロメテウス」はウエイトが入らないタイプの両回転バランスタイプのガチンコベイ。彼女のディスクもヴァルキリーと同じブリッツディスク。ディメンションダッシュドライバーは軸先をひねらせることで攻守どちらにも対応している。フィニはドライバーを高くし、ランチャーを左回転用にセットするとそのまま準備体制へ。5人は横に並び、ランチャーをセットすると、タンゴの合図で声を揃えてそれぞれ勢いよくシュートをする。
「センターはオラが取るべ!みんなは外側からプロメテウスを狙うべ!」
「わかった!」
「挟み撃ちにしましょう!」
「では、左回転同士
サレオスのドライバーが傾き、スピードを上げるとそのままプロメテウスへ攻撃を仕掛ける。しかしプロメテウスは大きな2枚のラバー刃がサレオスの攻撃をいなしている。プロメテウスの後ろからイチカとタカネのベイも攻撃に参加。3機に囲まれる形になるが、フィニはその囲みから抜け出すとイチカとタカネのベイがサレオスに衝突し、サレオスの力によってバーストされてしまった。
「あっ、ごめんなさいですわ……。」
「いいのよ、それよりバトルはまだ終わってないわ。」
ドラゴンが次にプロメテウスに攻撃を仕掛ける。ドライバーを傾けてプロメテウスに衝突し、鍔迫り合いが起こる。
「いっけぇぇえッ、ドラゴーーーン!!!」
「ッ、プロメテウス!!」
お互いのベイと強く共鳴し、それぞれのベイが青と黄色、紅色の炎に包まれ中からドラゴンとプロメテウスのアバターが飛び出す。
「ドラゴンシュートッ!!」
「カウンターブレイク!!」
ドラゴンの攻撃を全力で受け止め、その力を己のものとし、弾き返すとそのままカウンター攻撃。ドラゴンは場外に飛ばされ、オーバーフィニッシュ。
残るは外を回るサレオスとセンターを陣取っているアシュラだけとなった。
「凄い……5人を相手しているのにスピードが全く落ちてない……ッ!!」
「これで終わりだ!!はぁぁぁあッ……!!」
フィニとプロメテウスはよりつよく、より高みを目指し共鳴力を高めるとプロメテウスは金色に光り始めた。バルトが見せてくれたあの光と全くおなじ、ゴールドターボだ。
アシュラは必殺技「ブシンガード」で完全防御体勢。しかしプロメテウスは上段を使い真上へと飛び上がった。まるでスタジアム全体を使いダンスをしているかのよう。そのままアシュラ目掛けて落ちていく。勢いよく、隕石のように落下していき、アシュラはそのまま叩きつけられバースト。残りはシズクのビリーヴサレオスのみ。お互い負けじとラッシュ攻撃を繰り返し、試合は拮抗している。すると、サレオスの機体が少しだけ金色に光ったように見えた。それをまたもや見逃さなかったタンゴと、シズクの成長と潜在能力に気づくフィニ。しかし手加減は一切しない。彼女はそのままサレオスを押し、壁際まで追い詰めた。
「サレオス!!くぅ………っ!!サレオスーー!!!」
「終わりだ、プロメテウス!」
プロメテウスがサレオスの攻撃をものともせずそのままオーバーフィニッシュ。彼女の宣言通り、全員を相手にし、全員倒しきったフィニは左の横髪をかき揚げ、ご満悦だ。
「もっかい!もっかいだー!!!」
***
それからしばらくし、バルトとフィニに指南してもらったビクトリーズは前より一段と成長したような気がした。
そしてもうお別れの時間。バルトとフィニはそれぞれ荷物を持ってみんなからお見送りをしてもらっていた。
「今日は良いバトルができて楽しかったぜ!」
一同深々とお礼を言い、バルト達に感謝の意を示した。
「ベイカーニバルでのお前達の活躍、楽しみにしているぞ。」
「じゃあな!」
バルト達はビクトリーズを去った。その後ろ姿はレジェンドブレーダーそのものの姿。人を導き、人より先を行き、そして誰よりも強い存在。
ドラムは心の中で悩んでいた。まだまだ自分の力は実力不足だ。彼らに勝てるほどの力が全くない。どうすれば彼らを越えることが出来るのだろうか。自分とドラゴンに。どんな力が必要なのか。
ふと、ドラムは何かを思いついたらしく、元気よく作業場へ向かった。
「ドラムって本当に元気だね。」
ドラムは作業場に籠ると早速新しいベース制作に取り掛かった。えーすのアタック、グランのスタミナと来たら次はディフェンスだ。誰どんな敵もいなし、バーストさせてくれる強いディフェンスベイ。ドラムの頭の中は完成図がとっくにできている。
しばらくし、ドラゴンの新しいベースは完成した。6枚の刃で敵の攻撃を跳ね返す「ロックドラゴン」。ドラムの手元にはどれにも対応出来るベイが揃った。
――そして、ベイカーニバルはもうすぐ開催される。