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第1章「ガチンコベイ誕生!!」

 フミヤのカウンター攻撃が決まり、試合は1-0でフミヤが1点リードしている状況。まだドラムが本領発揮する前に、フミヤにやられてしまった。きっと、いや確実にフミヤはドラムの作戦にあえて乗ってギリギリの状況を皆に見せているのだろう。
 フミヤは場外に飛んだエースドラゴンを拾い、悔しそうにしているドラムの手に押し付けるようにベイを叩きつけた。
「ファーストバトルは綺麗に一撃で決めてあげたけど、セカンドバトルはきっちり痛めつけてあげるからね。君とビクトリーズはこれで終わりだ。」
「ッ!!」
 ドラムは元の立ち位置に戻るフミヤの背中を睨みつけていると、突然ドラゴンが青白く光り始めた。光に包まれると、目の前にドラゴンが現れ、彼もまた悔しそうな顔をしていた。
完敗だったな。
「ああ。」
次はどう戦う?もう一度エースドラゴンで行くか?それとも、グランドラゴンか?
「ファブニルの吸収は思った以上……。まともに攻撃に行っても、回転力を奪われるだけ……。」
だったら……。
 ドラムはドラゴンのベースをエースからグランに変えて、持久力勝負に持ち込んだ。粘って粘って、チャンスを狙う。
「ドラムの表情……。」
「なんだべ。」
「ふふ、面白くなりそうですわ。」

 セカンドバトル。再び勢いよくシュートをすると、ファブニルは早速ドライバーを傾けさせて最高速度で回り始めた。低速回転時には相手の回転力を奪うバトルスタイルになるが、高速回転シュートした際にはそのラバー刃は大きな攻撃力となる。攻撃を受けたドラゴンは軸がブレてふらつき始める。しかし、何とか体制を整えてファブニルにぶつかっていく。お互い連続攻撃を仕掛けるが、ファブニルの力が思っていた以上に強く、ドラゴンの勝利への突破口が見つからない。だんだんファブニルのスピードが早くなり、ドラゴンも反撃が出来ない状況に。
「さぁどうした!僕を倒すんじゃ無かったのかい?!攻撃だよ、もっと攻撃してくるんだよォ!!」
「ドラゴンが持たないべ。今のドラムにフミヤを倒すのは無理か……。」
「ドラム……。」
「大丈夫ですわ。わたくし達が信じないで誰をあの子を信じるの?」
「トドメだ……ウィザードブローッッ!!!」
 ドライバーが傾き火花が散り、そのままドラゴンに刃をぶつける。ぶつかった勢いでドラゴンは壁に弾かれ、空を舞う。しかし、ドラゴンはそのまま真下に落下死、大きな2枚刃がクッションとなりバーストは免れた。
「無様になんて……オレは負けないッ!!」
「……フッ、それぐらいはしてもらわないと。君はボクの唯一のライバルって事になってんだからね。でもそこまでだ。ファブニル!!」
 フミヤが彼の名を叫ぶとベイが黄色炎に包まれて中からファブニルのアバターが現れた。そのままセンターを取ると、高速回転し周囲にバリアを張った。
「ビクトリーズは守るッ、ドラゴーーンッッ!!」
 ドラゴンが彼の名を叫ぶとベイが猛る炎に包まれ、中からドラゴンのアバターが現れた。そのままドラゴンは急旋回し大きな2枚の刃でファブニルを攻撃、攻撃、攻撃。
 しかし、ドラゴンのラッシュ攻撃を全て吸収し、己の回転力とするファブニル。
「ガチンコだァァアッ!!グランビートッッ!!!」
 ドラゴンの刃がラバー刃に力強く、何回も何回も当たり、最終的にはお互いにスタジアムの大外の方に弾け飛ぶ。ドラゴンは緩やかな刃で壁に激突してもなぞるように衝撃を抑えたが、ファブニルはラバー刃に強く当たったことでベイのロックが外れ、そのままバーストされてしまう。
 なんとも意外な展開でドラムのバーストフィニッシュ勝ちになり、穴見も驚きのあまり実況を忘れ、観客席でフミヤを応援していた練習生達も唖然としていた。
「いいぞー!ドラムー!」
「ドラム!!」
「やりましたわね、きっまりー!ですわっ。」
「ナァ〜イス。」
 ドラムはビクトリーズの面々に手を振った後、自身のベイを拾い、語りかける。自分達の強い絆がドラゴンを強くし、ドラムを強くし、そして勝つことができたのだから。




***

 その翌日の事。シズクはドラムの部屋のドアを開け、まだ寝ているドラムの身体を起こそうと揺すった。
「起きなさい、ドラム、ドラム!」
「うわぁっ!?な、なんだシズクかぁ。おはよう!!」
「おはよう!じゃありませんわ。外を見て、そ、と!」
 シズクが窓の外を指さし、ドラムも指さす方向に顔を向けると、ビクトリーズの入口には子供たちが群がっていた。
 窓越しから聞こえるのは「入れてくださーい」や「入門したいんですけどー」などと言ったビクトリーズに入門希望の声だった。
 ドラムは慌ててシズクを抱えて下に降りるとモップがけしているタンゴと遭遇。事情を聞くと、昨日のテレビ中継でドラムがフミヤに勝ったことでビクトリーズの評価が上がり、希望者が出始めたのだと言う。
 ドラムは何を考えたのかクラブの扉を開け、入門希望者に中に入るよう案内すると、希望者全員タンゴの所に群がりタンゴが囲まれてしまった。
「勝手に開けるな!!」
「コラ!!ドラム!!!!」
「えっ?」

 その後、無事入門希望者を全員断って帰した。より有名になれるチャンスを逃したタンゴに少し不満げなタカネとイチカだったが、タンゴにはこれ以上ブレーダーを増やさない理由があるのだろうと顔を見合せた。
「よし、おっちゃん!次何をする?」
「町内逆立ち30周!シズクはドラムについて行ってやれ。」
「「逆立ち30周!?」」
 5人は早速外に出ると、ドラムが1番手で逆立ちをしてそのまま腕の力で進み始めた。その後ろをゆっくりとついて行くシズク。さらに後ろで驚きで口が開き見ていると横からタンゴが催促を促す。
「ええっ!?ボク達も!?」
「行ってきまぁ〜す………」
「「逆立ち無理!走っていってきまーーすっっ!!」」
 イチカ達を見送ったあと、タンゴはふと思い返す。――なぜ、入門希望者を全員断ったのか。
 それはスパークデビルズができた頃の話だ。当時はビクトリーズも人数も沢山いて、地元じゃあ有名のクラブだった。しかし、スパークデビルズの開設により、「必ず勝てる」の煽り文句に惹かれてビクトリーズに所属していたブレーダー全員がスパークデビルズに行ってしまった。自身のクラブの最後を悟り、物憂げな表情で床に散らばったスパークデビルズの入門チラシを見つめると、ドアの方から少年の声が聞こえた。
 タンゴがその方に顔を向けると、アマネの姿だった。アマネは真剣な顔でドアにもたれ掛かり腕を組んでタンゴを見つめる。
『アマネ……お前は行かなくていいのか?みんなもう行ったぞ。』
『オラは行かねぇ。オラ、おっちゃんに教えてもらいたいべ。おっちゃんのベイが好きだべ!』
『……っ、アマネ……!』
 その言葉に背中を押され、驚かされ、今所属している子供たちの笑顔が、輝く姿が見られればそれで十分なのだと、タンゴが断った理由なのだ。
「おっと、買い物買い物。今日は野菜のとっくばいび〜♪」

 夕方になるまでランニングが続いたのか、タカネとイチカはクタクタでクラブに帰るなりへたりこんでいた。一方ドラムは練習が足りないのか軽くストレッチをし、タンゴから次の指示を待っていた。
「ええ!まだやるの!?」
「ドラゴンを最高のベイにするって約束したからな!」
 すると、ドアからボロボロになって帰ってきたアマネの姿が。右手には何故かダイコンが。
 実は数十分ほど前、公園で特訓していたアマネを見かけた買い物帰りのタンゴがシュートをする時の軸を直す為にアマネにダイコンを渡したのだ。ダイコンを持ってどんな特訓をしたのか、それはアマネと、ダイコンを渡したタンゴしか知らない。
「どうしたんだヨォ、その格好!どっかで転んだのか?」
「違う、特訓だべ!特訓!!」
「ああ、特訓かぁ!」
「でも、なんでダイコン……。」
「そういえば今日スーパーで野菜が安いとチラシに書いてありましたわね。」
「……まさか」
 3人が視線をキッチンに向けると、楽しくダイコンの歌いながら料理をしているタンゴ。アマネにダイコンを渡したのは絶対タンゴだ…と、3人は顔を見合せため息をついた。
「虹龍ドラム、オラと勝負だべ!」
「アマネ……!ああ!」
 2人は向かい合わせにスタジアムに立ち、アマネはハチマキをつけた。審判はタカネがやる模様。
 いつものアマネとは違う、力強い闘志が伺える。これも特訓の成果なのか?ベンチで座りながら首を傾げる女子二人。
「なんか、アマネの闘志いつもと違うかも。」
「奇遇ですわね、わたくしも同じこと考えていましてよ。」
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー………シュート!!」」
 お互い勢いよくベイを放ち、2人の試合が始まった――!!



















―――――――
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 場所は日本から一気にヨーロッパへ。スペインにある世界一有名なクラブ、BCソルに所属している伝説的ブレーダー“蒼井バルト”はタブレット片手にデルタの所にやってきた。デルタの所に着くなり、タブレットを見せた。
「デルター!コレ見みろ!ブレイド町に大型新人登場、ベイブレードカーニバルの……なんとか、に逆転勝利!」
(グランドラゴン……進化させたのか。)
 ウェブサイト上に出ているデジタル新聞だった。先日のドラムとフミヤの対決がスペインの、しかもBCソルにまで届いているとは。
「ドラムの奴頑張ってるな、シズクも時々連絡くれるし……次に会う時が楽しみだ!」
「この程度の事、頑張ってるとは言えません。」
 デルタはしばらくグランドラゴンを見つめるとフッ、とすぐにどこかへ行ってしまった。特に怒りもせず、見てくれよと構うこともせずただデルタが歩いていく後ろを見ているバルトは再びタブレットに目線を移した。
「……へへっ。」
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