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第3章 「バトルジャーニー!世界チャンピオンへの挑戦!!」

 デルタはベースをベノムからイレイズに変えた。
 イレイズディアボロスは左回転のバランスタイプ。薄くて鋭い、かつ刃が上向きになっており、下から攻めつつ、空を切るように回転力をあげていく。
 ドラムはドラゴンを見つめながら彼に問いかけると、白く光り始めた。すると眼の前にドラゴンが現れた。
「さっきドラゴンが光ったのに……オレ、何も出来なかった。」
お前はいいシュートをした。
「だけど……!通じなかった……。」
諦めるのか?
 ドラゴンの言葉に気付かされたドラムは首を横に振った。ドラムはこれで諦めるような軟弱な男ではない。そして、ドラゴンを最高のベイにするためにここまで来たんだ。
 ドラムの表情が落ち着きを取り戻し、笑顔になったのを見たアマネ達は少しだけ安堵する。
 ドラムは、ドラゴンのベースをグランからロックに変更。ディフェンス重視の構えでディアボロスに立ち向かうようだ。
「イレイズディアボロスが、お前のお前の全ての光を呑み込む!」
(すべての光……もしかして……!)
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シューート!!」」
 お互いのベイが放たれ、早速ファーストアタックがお互い炸裂。下から突き上げるディアボロスの攻撃は、ドラゴンの受け流し刃に当たることなく見事に炸裂。ドラゴンはそのまま跳ね上がった。しかし、ドラゴンはなんとか耐え、体勢を立て直す。
そのままドラゴンのカウンターとディアボロスのアタックがぶつかり合い、試合は膠着状態。
「はじき返せーー!」
 揺れる髪を軽く払うと後ろからディアボロスが自身の脳内に語りかけてきた。ドラゴンを食らう事が嬉しいのか、かなり興奮している。
フハハハ……もっと、もっとだ……!
(ディアボロス遊びすぎだ。)
まだだ……!まだ食い足りない……!
 ディアボロスは加速し、自身を跳ね上げさせると、そのまま本体とバレットを分離させ、バレットの方はドラゴンへ向かって加速していく。ドラゴンはディアボロスのバレットをそのまま毛長し、本体へ攻撃を仕掛ける――と、その時!
「バレットがいつの間に……!」
「ここだ、ディアボロス!!」
 深淵の更に奥深くから現れた悪魔、ディアボロスは本体についているバンガードディスクを使いバレットを弾き返し、加速したバレットはキャノン砲のような勢いでドラゴンをバースト。
 ――ドラゴンは全てのベースでディアボロスに完全敗北したのだ。
この獲物は確実に美味かった。
「満足か。」
あぁ、今は十分だ。
 デルタはドラムをきつく睨みつけると、今度はシズクを見た。
「……わたくし、今はビクトリーズのブレーダーなの。貴方がわたくしをどうしたいかは詮索いたしませんが……今は一緒に居ちゃいけないような気がする。だから、ごめん。」
 シズクが申し訳なさそうに笑うと、デルタは目を伏せてそうか、とただ一言置いてクラブを去った。
「次はオラが相手だ!」
 アマネの声を完全に無視し、静かな時間とアマネの怒りの声が流れる。
 シズクは少し頭を冷やしてくると言い二階に上がって行ってしまった。
「……フクザツ、だよね。」
「……うん。」
「おい、ドラム。」
 アマネはバラバラになったドラゴンを見つめながら唖然としているドラムを呼ぶと、その声に気づいたのかアマネの方を向く。
「ぼーっとしてるんじゃないべ。」
「……。」
 ドラムはパーツひとつひとつ拾い上げ、悲しそうな表情を浮かべた。
 エース、グラン、ロックとドラゴンが持つ3つのベース、どれを使ってもディアボロスに勝つことが出来なかった。ギリギリの展開はあったものの、最後にはあっけなくバーストされてしまった。
 ドラムはその場に座り込み、悲しそうにぽつり、またぽつりとドラゴンに語りかける。しかし、今のドラゴンはドラムの言葉に応えてはくれなかった。
「よっぽどショックだったのね……。」
「エースも、グランも、ロックも、完全にやられちゃったし……。」
「オイラはナイスなバトルだったと思うぞ。」
「どこがナイスだよ、けちょんけちょんだべ。」
「うぅ……。」
「ねぇ、おっちゃん。さっきドラムに何言ってたの?」
「作戦のアドバイスしてたんでしょ?」
「ん?あれか……。」
 あの時ドラムに耳打ちした事を思い出したタンゴは、眉を落としながらそのことをアマネ達に話す。とは言ってもアドバイス自体とても単純なもので、ドラムのシュートは完成している、あとは思い切りワインダーを引けばいい。と言っていたのだ。こんなもの、アドバイスでもなんでもないと肩を落としたが、あのアドバイスのお陰でドラゴンは一度、イレイズディアボロスの攻撃を受け流している。そうだとしても、茜デルタの実力は想像以上だ。今のメンバーでは彼に勝つのは出来ないだろう。ドラムもアマネも、それは嫌と言うほどよく分かっているだろう。
「へっ、悔しいか。」
「……あったりまえだ!アイツ、オラを無視したべ!」
「なら、無視されないブレーダーになるんだな。お前もドラムも。」
 タンゴの言葉に悔しい表情を浮かべる。しかし、タンゴの言っていることは何も間違っていない。実際先程デルタに完全に無視されて、見向きもされなかった。
 そう思うと突然やる気が湧いてきたのかアシュラを握りしめた。
「立てドラム!」
「……。」
「いつまでうじうじしてんだ。」
「えっ……。」
「え、じゃねぇ。こういう時はとことん練習だべ!さっさと立て!」
 アマネの言葉に無理矢理奮い立たされ、ランチャーを構える。そしてお互いベイを放てばアシュラは早速「キープカウンター」でドラゴンにアタック。ドラゴンは何も抵抗することが出来ず、そのままバーストされてしまう。
 もう一度、もう一度と何度もバトルするが完全に鎮火してしまったドラムの心はそう簡単に再び燃える事は難しいようだ。
「全然やる気ねぇべ!シュートフォームも元に戻ってるし、こんな練習無駄だべ!」
「あっ……くぅ……!」
「なんだよ、やる気の無い奴はもうやめちまえ!」
 顔真っ赤にさせてなにか言いたげだったが、ドラムは何も言い返すことが出来ず、ビクトリーズを飛び出してしまった。




***

 シズクはベッドに寝転がり、サレオスを見つめていた。前のデルタはあんな性格ではなかった。
 シズクとデルタは同時期に入団しており、当時から共に切磋琢磨している関係だった。大会ではBCソルの新人ブレーダーメンバーの中では2強と呼ばれるほどの実力。シズクはこの時、まだ両目げ正常でベイに対しても今よりも意欲的でお嬢様とは程遠いくらいには熱かった。そして2人の関係も実に良好でお似合いとも言われていた。
『ねぇ、デルタ。』
『どうした。』
『これからもずーっと、貴方の隣で戦っていたいですわ。』
『俺達はライバルだ。当たり前だろう?』
『ふふ、そうだろうと思いましたわ。』
『ならなぜ……』
『……さぁ、なんでだと思います?』
 シズクは目を細めてふふっ、と優しく笑うと彼女の言葉の真意が分からずへの字にさせたものの、すぐにフッ、と笑ってシズクの頭を撫でてやる。
 この時間がデルタにとってどれほど幸せな事はこれ以上ないだろう。いつもはお互いバトルし合って実力を高めているライバル関係だが、バトル外では仲の良い傍から見れば恋人のような関係だ。
 ――しかし、デルタの幸せな時間はあっという間に崩れ去ってしまう。
 シズクはデルタとの時間よりも最近入団したドラムと過ごす時間の方が増えていった。シズクは楽しそうにドラムと話したり、ベイブレードをやっていたりのを見ると、複雑な感情を抱いてしまう。
『最近、あの子ちょっとずつだけど力がついてきたと思うの。わたくしの指導のおかげですわね!』
『……。』
『……デルタ?』
『……あ、あぁ。そうだな。』
『変なデルタね、ぼーっとしちゃって。』
 デルタはシズクに何か話そうと口を開いた時、遠くから物凄い足音で走ってくるのが聞こえた。こんな騒がしい音は一人しかいない。
『デルター!シズクー!!』
 そう、ドラムだ。ドラムはシズクにどーん!と飛びつくとその勢いのままシズクは後ろに倒れ込む。
『いたた……もう、痛いですわ!離れ、なさいっ!こらぁ〜ッ!!』
『なあなあ、バトルしようぜ、ば、と、る〜ッ!!』
 デルタはその光景を暫く見つめたあと、何も喋らずどこかに行ってしまう。シズクはデルタの悲しそうな足音に気づき、デルタを引き留めようとしたが、デルタはもう遠くに行ってしまい伸ばした手が自然と重力に従い落ちていく。
『なあなあバトル〜』
『分かりました、分かりましたから。やりますわよ、ドラム。』
 その後、シズクが大怪我をした後からは関係がさらに悪化し、お互い何か話す事は無くなってしまった。



――
―――

「……クヨクヨしても何も始まりませんわ。」
 シズクは起き上がり、再び下に降りると、アマネ、タカネ、イチカの3人が何やら暗い表情で話して居た。
「あっ、シズク。」
「皆様、どうしたんですの?……ドラムは?」
「出てったべ。」
「出て行った?」
「うん、兄ちゃんとドラムが練習していたんだけど、ドラム、練習に力が入ってなくて……。」
 すると、ガチャリ。扉が開いたと思ったら顔を真っ赤にしコワ顔になっているドラムが入って来た。一歩、また一歩とアマネに近づき間近まで来るとバトルの申し込みをした。あの時と違う、気持ちを新しく入れ替えて気合いが感じ取れる。
「ドラム……へっ、なんだべ。辞めたんじゃないのか?」
「辞めるわけないからヨォ!よぉし、今度もオレが勝つ!」
「……って、さっきのバトル勝ってねぇべ。」
「ドラムが元に戻った!」
「まあ天然だからね。心配して損しちゃった。」
「え、心配してたの?」
「う、す、する訳ないでしょ!」
「ふーん、してたんだぁ〜」
「はい!この話終わりー!」
わたくしももっと気合いを入れなくは…!おじさま、練習量をドラムと同じにしてくださいまし!ドラム、アマネとのバトルが終わったらわたくしとバトルですわ!!」
「おう!」
「レディ……セット!」


「「3!2!1!ゴーー……シュート!!!」」
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