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第2章「ベイブレードカーニバル 開幕!」

 4thバトル。ポイントはロダンが1ポイント多く獲得して2-1。3rdバトルは両者オーバーフィニッシュでドロー。ここからドラムがどう巻き返すか皆気になるところだ。
「4thバトル。」
 ドラゴンのベースは現在ロック。2ndバトルと同じで6枚の刃でロンギヌスの攻撃を受け流すのか。はたまた違う作戦で戦うのか。ドラム自身も分からない。ただ、ドラゴンとの共鳴を更に強めた時、さらなる力がドラムに力を与えてくれる。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シューート!!!!」」

「シュートフォームが変わったべ!!」
「2ndバトルと同じ、全身に力を入れた、かつ落ち着いていますわね。」

 ランチャーの角度、正確さ、そしてワインダーを引く瞬発力とパワー。全てがドラムの全試合の中で一番高い。
 ドラゴンとロンギヌス。両機センターへ向かい衝突。ロンギヌスの低くて重たい重量級の一撃がドラムのディスク部分にヒット。しかし、なんとか壁に衝突し持ちこたえた。
「バウンドスティンガー!!」
 バネが付いているスティングディスクがロンギヌスの攻撃を弾き飛ばした。ドラゴンのカウンターが決まった!
「ドラゴンとオレのガチ全力はここからだああッ!!」
(ッ、なんだ……この感じは。)
 ロダンの心に人生で感じたことのない感情が芽生えた。それは燃えるように熱く、激しく、楽しい。魂が震えるほどの感情がなにか、ロダンはすぐに理解した。自身とここまで張り合えるドラムに対し闘志を燃やしているのだ。
 ロンギヌスもドラゴンもラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。お互い回転が止まらない。むしろ二人のアツい気持ちが伝わり加速していく。
 どちらも譲らない激しい戦いに観客もアツい気持ちにさせられる。

「くっ…なんで戦っているのがオラじゃないんだべ……!」
「……兄ちゃん。」
「だったらもっと特訓なさい。」
「!」
「ここにいる全員、ギャフンって言わせるくらいに。」
「シズク……。」
わたくしはどんなに頑張っても公式試合に出られないですわ。……貴方達が羨ましいですわ。」

 一方、スタジアムではドラゴンが傾斜を使い更に加速し、ロンギヌスに衝突。再び激しいラッシュ攻撃が展開された。
 すると、ロンギヌスのロックが進み、レイヤーのメタル部分と重なった。最大火力の一撃の準備が整った。
 両者アッパーデッキにあがりそのまま加速。ロンギヌスとロダンの気持ちが重なった時、ベイは青い炎に包まれて白き龍、ロンギヌスが現れるのだ。
 ドラムとドラゴンもお互い気持ちが一つになった時、空色の炎に包まれて、ドラムによく似た蒼龍、ドラゴンが現れる。
 アッパーデッキから傾斜を下り、センターに向かう。ロンギヌスの重たい一撃とドラゴンの刃が激突。蒼い閃光が会場を包み込み、爆風を巻き起こす。
「ガチンコだぁぁあッ!!!!」
 相棒との共鳴が最高潮に達した時、ベイは黄金に輝き、より強い力を手にすることができる。
 ――そう、ドラムが夢見ているゴールドターボだ。

「ゴールドターボ!」

「なんですって!?」

 黄金の光、ゴールドターボはロンギヌスの真ん中を貫き空高く舞い上がった。そしてロックが外れてロンギヌスがバースト。
「ロックドラゴン、バーストフィニッシュ!ポイント3-2で虹龍ドラムの勝利!優勝だ、ドラム。」
「……勝った……かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
 ベイカーニバルの栄冠を手にしたのはビクトリーズ所属の新人…いや、スーパーブレーダー虹龍ドラムに決まった。今まで声も出ないほどの緊張感があった会場も、優勝が決まった途端今までにない盛り上がりを見せる。声を上げて拍手喝采。カメラは撮影する手を止めずシャッターが鳴り響く。
「ぬおおおおおおおおおおッ!!!」
 そんな雰囲気を一刀両断するように叫んだのは惜しくも負けてしまった眼の前のロダンだ。
「感じたぞ、お前のガチ。」
「オレの、ガチ……。」
「全てを高め上げる、底知れぬパワーだ。」
「……へ?」
「フッ、俺の魂にに火を付けてくれたな。虹龍ドラム!もう一度、お前と戦うのを楽しみにしている。」
 もうロダンはライバルという存在を見つけ、さらなる高みを目指しスタジアムから去っていく。

その後、閉会式と共に授賞式が行われた。金色の紙吹雪につつまれたドラムは、バルトとフィニから大きい優勝トロフィーが贈られる。
「決勝戦、熱かったな!」
「久しぶりに私の心が燃えた。いいバトルをありがとう。」
 バルトからトロフィーを受け取ると、あまりの重さに後ろに倒れそうになる。そんなドラムを二人が支え、立たせてやると、重いのに耐えているのか、嬉しいのか分からないいつものコワ顔を見せていた。本人はこんな顔をしていても心の底から嬉しい感情を出しているのだろう。
「……バルトちゃん。」
「ん?」
「あそこ、お前の後輩じゃないか?」
「……おっ、ほんとだ!」

 閉会式も終わり、皆それそぞれ自由に帰宅を始めてる中、バルトとフィニはあの時見つけた後輩のもとへ向かった。
 その後輩とは「茜デルタ」。つい先日ヨーロッパリーグを制覇し、世界上位に君臨するGTグレードトップ3になった噂がある茜デルタ。
 そんな彼が日本にやってきている。バルトもデルタの扱いに悩む日はあれど、彼の実力を認め先輩として鼻が高いとよくフィニに話している。
「まさかお前が来てるなんてな!もしかしてあれか、ドラム達のことが気になったんだろ!」
「なぜ俺があいつらのことを?」
「ちげぇのか?でも見てたんだろ、ドラムのバトル!」
「……。」
「4thバトルのフィニッシュ、すごかったよな〜!」
「まぐれに近いが、ゴールドターボも出した。このまま磨き続ければいづれお前に勝つ日が来るかも知れないな。」
「その時はオレも強くなる!」
 デルタは何も答えず二人の会話を聞きながら、薄暮の空に輝く一番星を見つめた。心配そうにバルトが話しかければデルタはただ一言、

――「俺、BCソルをやめてきました。」

「えっ……やめた……?」
「輝く星は、一つで良い。」
 デルタの右目が赤黒く光った。




***

 大会が終わり翌朝。ビクトリーズには安寧の日々が戻りつつあり、さらに強くなるための練習を続けていた。
 それぞれが練習をしている中、ガチャリ、とクラブの扉が開く。郵便か、頼んでいたタンゴの荷物か、はたまた意外な来客か。
 エメラルドグリーンの髪色、よく映える茜色の瞳と上着は彼の苗字になぞらえてだろうか。
「あっ!」
「ええっ!?」
「!!」
 ドラムとシズクの同期でライバルの「茜デルタ」だ。
 ドラムは久しぶりの再会で嬉しいのかデルタ「に抱きつこうと飛びついたが、デルタは華麗にスルーし、スタジアムで練習していたシズクの方へ。
「……久しぶりね、デル――」
 デルタは周りをなど気にもとめず、シズクを優しく抱きしめた。二人はそういう関係だったのか、とイチカとタカネは黄色い声を上げる。
 デルタの腕の中にすっぽりと収まったシズクは何が起きているのか全く分からない。しかし安心する心音と落ち着く匂いで頬を赤らめ、目を伏せた。
「……会いたかった。」
「そうね、わたくしもよ。久しぶりに貴方を感じることが出来て嬉しいわ。」
「きゃーー!目の前でイチャイチャしてるーーー!!」
「熱愛報道しなきゃ!」
「おまえら落ち着くべ!なにか用だべ?あと、気安くうちのメンバーに手出すなべ。」
「……目は大丈夫なのか。」
「え、ええ勿論。ある程度、自分のことは自分で出来ますわ。」
 完全にアマネを無視し、シズクから離れると、ランチャーを取り出した。
 シズクとバトルでもするのだろうか。すると、視線は最近の話を始めているドラムの方へ。デルタは一言、来いと言い放つとドラムは嬉しそうにランチャーを構え、向かいに立った。
「ガチで嬉しいぜ!!」
 タカネが審判を務め、いざ、ファーストバトル。
 デルタが使用するベイはベースはベノム、ガチンコチップはディアボロスのウエイト一体型バランスタイプベイ。
「悪魔のベイ、と言われてるらしいな。」
「悪魔のベイ?」
「ディアボロスはバランスタイプ。ドラム、どう攻めていくのかしら。」
 ドラムも自身の愛機を見せると、デルタはピクリと眉を動かした。まぐれとはいえあれが本物のゴールドターボか定かではない。偽りの輝きかも知れない。デルタは赤黒く燃え盛るディアボロスを見つめた。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
 お互いのベイが放たれ、綺麗な円を描きつつ走っていく。ドラゴンは一気に加速し、ディアボロスへの攻撃の機会を伺う。そして軸先を傾けディアボロスにラッシュ攻撃を仕掛けた。
「ドラゴンが攻め勝ってる!」
「イカすべ!!」
「もっとだ、ドラゴン!!」
 激しくディアボロスにぶつかり、弾き飛ばした。しかし、バレットドライバーの平たい部分が加速力になり、ディアボロスは速度を上げる。そして、ディアボロスと強く共鳴し、ディアボロスが黄金色に光り輝いた。
 そう、デルタの愛機もゴールドターボを発動させることができる。
「なっ……!?」
「これは……!」
「ゴールド、ターボ……!」
 光るディアボロスは一直線にドラゴンに向かい、一瞬にしてバーストさせた。
 静かな空間に、ドラゴンのパーツが転がる音が響く。
「べ、ベノムディアボロス、バーストフィニッシュ!」
「光の……ベイ……?!」
「この程度か。」
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