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第2章「ベイブレードカーニバル 開幕!」

「3!2!1!ゴーー……シュート!!」
「……あら、止まってしまいましたわね。」
 決勝戦は明日。前日の最終調整をしているドラムは何度もシュートを放つが、なかなか上手いこといかない。相手はダークホース。パワーもベイの強さも桁違い。今のドラムでは、きっと直ぐに負けてしまうだろう。
 ドラムは再びシュートを放つ。しかしベイは壁に衝突し、すぐに動きを止める。やけになって打ってはただ体力を消耗するだけ。意味の無い練習になる。
「ワインダーの引き方が悪いのかなぁ。」
「もっと足腰に力を入れたらどうかしら。」
「足腰に力かぁ。こうかな?うーん、こっちかな?」
 すると、ドラムに向かって水の入ったペットボトルが投げられた。咄嗟にそれを取ると同時にワインダーを強く引いてベイがスタジアムに放たれた。ベイは勢いよく安定した走りを見せてくれている。
 ペットボトルを投げたのはタンゴであり、反射で受け取ったドラムにナイスキャッチと笑った。
「な、なにすんだヨォ!あっぶねぇだろ!!」
「こんな時間まで練習か……。ま、そいつでも飲んで――」
「ぷはぁ!うんめぇ!!サンキュー、おっちゃん!」
「も、もう飲んだのか?」
「どれだけ喉が渇いていたんですの……。あっ、ねぇおじさま。ドラムの為に何かアドバイスはありませんの?思うように行かなくて……。」
「ん?……既にドラムは手にしているぞ?ナァーイス!」
「えっ、どういう事だヨォ……。」
 タンゴが目線をスタジアムの方に向ける。合わせてシズクもそちらの方に向けると今までとは違う動きを見せていた。
「……なるほど、そういうことですわね!」
「ナァーイス」
「ナァーイス、ですわ!」
「えっ、だからどういうことだヨォ!!」




***

 時は流れ、いよいよ決勝戦当日。花火まで盛大にあげられ、過去最大級の盛り上がりだ。この試合で、ベイカーニバルの覇者が決まる。
 相手はあのフミヤを粉砕させた重量級ベイ、ツヴァイロンギヌスの使い手、灰嶋ロダン。ドラムはこの試合、どう戦うのか……楽しみな者もいれば、心配な人もいる。控え室でワクワクしながら見ているバルトも、この試合がどう転ぶか分からない。
 さぁ、ブレーダーの登場だ。青のロードからは、孤高のアスリートの二つ名が付いた灰嶋ロダン。赤のロードからは、ゴールドボーイ虹龍ドラムが入場する。
「決勝は3ポイント制で行う。1stバトル。」
「ドラゴン…ガチ全力でいくぜ!」
「……5秒でバーストだ。」
 ロダンから放たれた一言。それほどドラムの実力を低く見ているのだろう。彼の言葉に会場はざわめき始める。ドラムはロダンからの挑発を受け、歯を食いしばり、不必要なところに力を入れてしまっている。その事にドラムは気づいていない。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
 勢いよく放たれたベイは真っ直ぐと相手へ向かっていく。お互いのベイがぶつかり、激しい戦いが繰り広げられると思いきや、ドラゴンはロンギヌスに瞬殺されてしまった。1stバトルはロンギヌスがバーストフィニッシュで2ポイント先取。
 あまりにも早すぎる決着にドラムもドラムを応援していたメンバーも、言葉が出ない。
 この試合の対戦時間はなんとロダンが宣言していたのより短い4秒51。0.5秒も削ったのだ。さらにロダンは4秒ジャストを狙えるとこの試合における更なる更新を宣言。
 一方ドラムは未だに型にはまったシュートフォームを見つけられておらず、心は焦るばかり。こうか、こうか、と様々なフォームを真似してはいい感じにスッキリしない。
「優勝はただの通過点に過ぎない。求めるのはベイブレードの極み。」
 4秒でバースト宣言され、焦りの気持ちが更に大きくなる。すると、ドラゴンがドラムの心に落ち着いた声色で話しかけた。ドラゴンの声に気がつくと、ベイが青白く光り輝き、ドラムを包みこんだ。
お前ならわかるはずだ、どう戦うべきか。
「ドラゴン……。わ、分かった。はぁ……ふぅ……。」
(ロンギヌスの思い一撃に耐えるには……ディフェンス重視、“ロックドラゴン”だ!)
 ドラムは早速ベースをエースからロックに変えた。
「2ndバトル。」
(集中だ……。)

「ドラム、今とても集中していますわね。」
「もしかしたら……かもな。」
「ええ。」

「レディ……セット!」
「「3!」」

 ――ドラムの、

「「2!」」
「おお!」

 ――シュートフォームが、

「「1!」」

 ――今までと違うものに!!

「「ゴーー……シューート!!!!」」
 1stバトルの時とは全く違う、落ち着いたシュートだ。入れるべきところにしっかり力が入っており、スピードが先ほどより速くなっている。
 4秒でバーストする予定だったはずが、ロックドラゴンの受け流し刃によりロンギヌスの攻撃を耐えぬき阻止。
 ドラゴンは傾斜を上手く使い、ロンギヌスと対峙。お互い連続攻撃を繰り広げ激しい戦いに。ロンギヌスのメタルの刃とドラゴンの下向き刃がぶつかり、お互い壁へ弾き飛ばされる。
 激しい消耗により、双方体力がなくなり、重心がぶれ始める。そして先に止まったのはロンギヌス。ギリギリの戦いにより、ドラムがスピンフィニッシュで1ポイント取り返した。
 ベイの重さによりバランスが崩れやすくなっており、その結果がドラムのポイントに繋がった。
 観客席で見ていたアマネはドラムに大きく影響受け、強い闘志を燃やす。
 それはアマネだけではない。控え室で見ていたバルトや審判を務めているフィ二も、中継を大自然の中にある大きなログハウスで試合を見ていた【あの二人】も、ドラムのバトルに熱い闘志を燃やしていた。

「3rdバトル。」
(長期戦に持ち込んで攻め続けるぞ。だったら、スタミナのグランドラゴンだ。)
 ドラゴンのベースをロックからグランに変えた。
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!!」」
(シュートフォームが戻った……!)
 ベイが放たれた。先にセンターを取り万全の構えで回転するグランドラゴン。大外からロンギヌスが攻撃を仕掛ける。凄まじい連続攻撃がドラゴンを襲う。しかしグランドラゴンの大きな二枚の刃が相手からの攻撃をいなし続ける。
 すると、ロックが進みロンギヌスのディスク、レイヤーのメタルが重なり、重たく強烈な一撃がドラゴンを襲う!
 ドラゴンは大きく弾き飛ばされたものの、チャージドライバーが傾斜に対しこすり当てられ、勢いを増してセンターへ戻る。
「耐えたか。」
「うおおおッッ、グランビート!!」
 円形に近い二枚刃が次から次へとロンギヌスにぶつかる。稲妻のように素早く激しい攻撃でロンギヌスを倒せる……かと思いきや、両者大きく飛ばされアッパーデッキへ。そのまま加速し、ドラムは更にドラゴンとの共鳴を強めた。
 彼の名を叫ぶと赤く猛る炎に包まれ中からドラゴンのアバターが現れた。
 ロダンも彼の名を叫ぶと青い炎に包まれ中からロンギヌスのアバターが現れた。
「きっめろーーッ!!!!」
「砕け散れッッ!!!」
 両者スタジアムの外へ飛び、ほぼ同時にベイが落ちた。これは肉眼では判断が難しいと思ったフィニは運営に写真判定を申請。画面モニターに大きく直前の映像がスローで再生された。
 結果、スローでも同時に着地しており、両者ポイントを獲得することはできなかった。
 まさかまさかの試合は4thバトルに持ち込んだ。
「くぅ〜ッ、まだ足りないってのか!なんでだよ、ドラゴン!!」
 すると青白い光に包まれ、眼の前にドラゴンが現れた。ドラゴンはじっ、とドラムを見つめている。
「ちっともすげえシュートが打てないんだ。」
そんなことはない。出来ていたじゃないか。
「えっ、できてた!?」
あぁ、2ndバトルでな。
「?そうなのか?」
力を一気に放出した。見事なシュートだったぞ。
「力を…一気に……」
 ドラゴンの言葉を理解したドラムは肩の力を抜き、深呼吸。
 ドラゴンに向かって笑いかけると、強く握りしめた。
「まさかここまでやるとはな……。面白い、面白いぞ虹龍ドラム。フハハハハハ……ッ!!!」
「へっ、最高のシュート、やって見せっからヨォ!」
 ドラムはベースを再びロックに戻し、ランチャーにセットした。

 4thバトルで決着が付くのか……?!
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