第2章「ベイブレードカーニバル 開幕!」
ドラムとジョーのバトルは1- 1。準決勝に相応しいくらいの盛り上がりを、バトルを、彼らを見せてくれている。審判として立っているフィニも思わず心が躍ってしまうくらいだ。
そしてそのバトルは次の3rdバトルで決着が着いてしまう。心寂しいものだ。
現在、バトルの流れは完全にジョーが持っていってる。3rdバトルも同じようにアッパーデッキを使い仕掛けてくるだろう。
こちらの対策として、ディフェンス攻撃がダメならば、スタミナタイプのグランドラゴンで攻めていく策略もアリなのかもしれない。
だが、ドラムはそんなことで素直にベースを変えて守りに徹するのだろうか?
そう、ドラムとドラゴンの絆は最高潮に共鳴している。守るより、攻める。攻撃は最大の防御。ドラムはエースドラゴンを選択。それに、エースの打撃ならジョーカーに対抗出来る。速さも十分にある。
しかし、エースドラゴンはかなり賭けに出ている。エースは他2機に比べて少し軽い。打撃で勝てても、重量差でジョーカーに劣っているせいで飛ばされてしまう可能性が大いに高い。
果たして、ドラムの選択が吉と出るか凶と出るか。
ジョーは薄く微笑み、自身もフレームをアタックモードに変え、ランチャーにセットした。アタック同士の対決――ジョーは心のどこかでワクワクしていた。
「3rdバトル。」
「行くぜッ、ドラゴン!」
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
勢い良くベイが放たれ、ドラゴンは早速暴れ回るジョーカーを追いかける。ドラゴンが強烈な一撃をジョーカーに当てようと加速させ、ジョーカーも必殺技「ザ・ジャッジメント」で大きなラバー刃を全面にこちら側に向ける。エースドラゴンとジョーカーの刃同士がぶつかり、激しく激突。お互い大きく弾かれたものの、外の方で何とか生き残る。
その後、ジョーカーがセンターを取り、ドラゴンはすかさず攻撃を仕掛ける。連続攻撃を繰り返し、相手のスタミナを消耗させるが、ドラゴンが強くぶつけた時、お互いアッパーデッキに移動。そのままドラゴンは加速し、ジョーカーを追いかける。
(まさか、ドラムは……ッ!)
お互い、ベイと強く共鳴し、炎に包まれた中からそれぞれのアバターを召喚した。
そして、両機アッパーデッキから飛び上がり、空中でジョーカーはラバー刃を、ドラゴンはディスクをぶつけさせた。強い光と煙がドラム達を包み込む。
ジョーカーはそのままドラゴンのバウンド性能があるディスクに叩きつけられ、バーストされてしまった。
「エースドラゴン、バーストフィニッシュ。ポイント、3- 1で虹龍ドラムの勝利!」
「きっっまり〜〜〜〜〜ッ!!」
思わぬ展開、驚き、高揚感の連続で歓声は鳴り止まない。余韻に浸る暇もない。あの弱小クラブと呼ばれていたチームから決勝戦に進む選手が出たという事でも驚く観客もチラホラといる。
「ふぅ〜……さぁすが天然!ナァ〜イス。」
「ドラゴンのディスクにはバネが搭載しており、バウンドする性能を持っていますわ。ドラムは咄嗟にそれを利用し、ジョーカーの強烈な一撃をカウンターに換えたんでしょう。さすがですわ、ドラム!」
「やれば出来るじゃないか……。そう、キミを潰すのは僕の楽しみなんだからね。」
「……レベルの低いバトルだ。」
いい気分でスタジアムを去り、裏へ回るとそこにはビクトリーズのメンバーがドラムを祝いに駆けつけていたのだ。ドラムの実力を再確認し、ビクトリーズがまた更に有名になる歩みを進めた。
喜び、分かち合うドラム達に対し、アマネはこういう時こそ気を引き締めて決勝戦の準備を整えるべきだ、ドラムが気を緩めるとすぐにやられてしまう、とやれやれ。
ドラムも何か言い返したげだったが、アマネの言い分も間違っては無い。気を引き締め、喜ぶのは優勝してから、と頬を叩き気合を入れる。
皆がドラムに微笑み、安心している時、何故かジョーもそこに立って薄い笑みを浮かべてドラムを見ていた。
「「「「ジョー!?」」」」
ジョーの存在に気づき、彼から距離を取るメンバー。一同。何故彼がここにやってきたのか、困惑していたが、彼はドラムの作戦に強く感心しわざわざ言いに来たのである。
ジョーが賭けているならこちらも一か八かの賭けに出る。ジョーと全く同じ作戦で見事勝利したドラムに対し、パン、と手を叩き笑うジョー。
「なぁ、またバトルしような!」
「もうギャンブルは卒業です。」
「んぁ?」
「丁度、賭け事にも飽きてきた所でしたから。」
「ええっ!じゃあベイは!?」
「今度は勝利のみを追求したバトルを挑ませていただきますよ。今日の借りは必ず返しますから。」
「ジョー……。あれ?なんか、お前に貸したっけ?」
ズコーーッ!
「そういう事じゃねぇべ。」
ジョーは話の切り替えに1つコインを取りだした。ドラムが決勝戦、勝つか負けるか賭けて見よう、という事だ。先程賭け事は辞めると言っていたはずなのに。辞めたいのにまたやりたくなるのはギャンブラーの鑑とも言えるかもしれない。
ジョーがコインを上へトスするとそれをドラムが捕まえ、拳を突き出し一言。
「オレは勝つ!!」
そう、彼に無意味な賭けは要らないのだ。勝つか負けるか賭けるなど、意味が無い。絶対勝つという自信と勇気と、希望があれば、どんな困難も乗り越えられる。
ジョーはドラムの熱い瞳を見つめ呆然とした顔で見つめると目を伏せ笑った。そしてそのコインをドラムに譲渡し、ジョーはどこかへ行ってしまった。
「ねね、見せて見せて!」
「表?裏?どっち?!」
「どちらでも良いですわ」
「そうそう!」
ドラムが握った手を緩め開くと、コインは表でも裏でもない。なんとドラムの掌で立っていたのだ。すると、手が下に傾き、コインは床に落ち、そのままコロコロと転がっていく。慌ててそれを追いかけるドラム。待て、待てよ!と言って止まるコインはどこにも存在しない。コインはただ前へと進むばかり。
そしてコインはドラムの足に引っかかり、ようやく動きを止めた。それを拾い上げ、嬉しそうに見ると自動ドアが開く。そこは以前タカネとシズクと来たプールエリアだ。ドラムは興味津々に中へはいると、突然プールから渦巻きが現れ、強い飛沫がドラムに思い切りかかってずぶ濡れになってしまう。ピチピチと魚のように身体を動かし、ロダンを褒め称えると、ロダンはドラムを拾い上げ、耳の近くで咆哮を上げる。壁が反響して揺れるほどの咆哮……。これだけでもロダンのパワーは伊達じゃないことが分かる。
「気安く話しかけるな。」
(……ッ、な、なんだこの迫力……!)
「散れ!俺の視界に入るな。」
「ぬぅぅっ……!」
「………。」
「なあーんだ、こんな所にいたんだ。」
重圧の空間を切り裂くような明るい声でやってきたのはタカネだった。どうやらドラムを探しにここまで来たらしい。タカネが中に入ると、ロダンとドラムのコワ顔が目に入り、思わず悲鳴をあげる。
「あッ、あの……ヨーロッパチャンピオンシップの決勝戦……ハジマッテルヨ……?」
「……何ぃ!?」
ドラムはロダンから離してもらい、そのまま自身の控え室に向かうと、既に試合は始まっていた。
映像ではドラムとシズクのライバル、「茜デルタ」が映っていた。試合の状況は2- 0でデルタがリードしている。
戦況はデルタの新しいガチンコベイ「ベノムディアボロス」の猛攻で圧倒的リードを保っている。悪魔と呼ばれている禍々しいオーラがベイをまとい、相手のベイを粉砕するような攻撃を仕掛け、バーストさせた。
デルタはこの程度か、とため息をひとつ付き審判が勝敗を下すのを待つ。
圧倒的な強さ、圧倒的迫力でヨーロッパチャンピオンシップの頂点に立ったデルタはもうヨーロッパでは敵無し。
デルタをベイを拾い上げ、強く握りしめると、デルタの周りから忌まわしいオーラが滲み出ている。
そのオーラに気づいたシズクは思わず隣に座っていたイチカの裾を掴んだ。その手は震えており、今までの茜デルタでは無いことを本能が教えてくれているのかのよう。
「オレ、デルタとバトルしたい!このベイカーニバル、ガチで優勝するんだ!!なっ、シズク!! 」
「…………。」
「……シズク?」
「えっ、あ……ええ、そうですわね。ここで勝たなければ、デルタに顔を見せられませんもの。」
***
時は過ぎ準決勝第2試合。金道フミヤと灰嶋ロダンの対決。前回優勝者と今大会ダークホースの奇跡の対決。見逃さないブレーダーは誰も居ないだろう。
なお、フミヤお得意の煽りはロダンには無効で、逆に煽り返されフミヤは唇を噛み締めた。
「パワーだったら、ロダンの方が有利だよね?」
「場数はフミヤの方が踏んでる。どっちが勝つか全然わかんねぇべ。」
「どっちだ?決勝でオレがバトルするのは!」
「この試合は、己の実力を信じ、相手の能力を深く知っている者が勝ちますわ。」
――最高のバトル、絶対に見逃すな。
そしてそのバトルは次の3rdバトルで決着が着いてしまう。心寂しいものだ。
現在、バトルの流れは完全にジョーが持っていってる。3rdバトルも同じようにアッパーデッキを使い仕掛けてくるだろう。
こちらの対策として、ディフェンス攻撃がダメならば、スタミナタイプのグランドラゴンで攻めていく策略もアリなのかもしれない。
だが、ドラムはそんなことで素直にベースを変えて守りに徹するのだろうか?
そう、ドラムとドラゴンの絆は最高潮に共鳴している。守るより、攻める。攻撃は最大の防御。ドラムはエースドラゴンを選択。それに、エースの打撃ならジョーカーに対抗出来る。速さも十分にある。
しかし、エースドラゴンはかなり賭けに出ている。エースは他2機に比べて少し軽い。打撃で勝てても、重量差でジョーカーに劣っているせいで飛ばされてしまう可能性が大いに高い。
果たして、ドラムの選択が吉と出るか凶と出るか。
ジョーは薄く微笑み、自身もフレームをアタックモードに変え、ランチャーにセットした。アタック同士の対決――ジョーは心のどこかでワクワクしていた。
「3rdバトル。」
「行くぜッ、ドラゴン!」
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
勢い良くベイが放たれ、ドラゴンは早速暴れ回るジョーカーを追いかける。ドラゴンが強烈な一撃をジョーカーに当てようと加速させ、ジョーカーも必殺技「ザ・ジャッジメント」で大きなラバー刃を全面にこちら側に向ける。エースドラゴンとジョーカーの刃同士がぶつかり、激しく激突。お互い大きく弾かれたものの、外の方で何とか生き残る。
その後、ジョーカーがセンターを取り、ドラゴンはすかさず攻撃を仕掛ける。連続攻撃を繰り返し、相手のスタミナを消耗させるが、ドラゴンが強くぶつけた時、お互いアッパーデッキに移動。そのままドラゴンは加速し、ジョーカーを追いかける。
(まさか、ドラムは……ッ!)
お互い、ベイと強く共鳴し、炎に包まれた中からそれぞれのアバターを召喚した。
そして、両機アッパーデッキから飛び上がり、空中でジョーカーはラバー刃を、ドラゴンはディスクをぶつけさせた。強い光と煙がドラム達を包み込む。
ジョーカーはそのままドラゴンのバウンド性能があるディスクに叩きつけられ、バーストされてしまった。
「エースドラゴン、バーストフィニッシュ。ポイント、3
「きっっまり〜〜〜〜〜ッ!!」
思わぬ展開、驚き、高揚感の連続で歓声は鳴り止まない。余韻に浸る暇もない。あの弱小クラブと呼ばれていたチームから決勝戦に進む選手が出たという事でも驚く観客もチラホラといる。
「ふぅ〜……さぁすが天然!ナァ〜イス。」
「ドラゴンのディスクにはバネが搭載しており、バウンドする性能を持っていますわ。ドラムは咄嗟にそれを利用し、ジョーカーの強烈な一撃をカウンターに換えたんでしょう。さすがですわ、ドラム!」
「やれば出来るじゃないか……。そう、キミを潰すのは僕の楽しみなんだからね。」
「……レベルの低いバトルだ。」
いい気分でスタジアムを去り、裏へ回るとそこにはビクトリーズのメンバーがドラムを祝いに駆けつけていたのだ。ドラムの実力を再確認し、ビクトリーズがまた更に有名になる歩みを進めた。
喜び、分かち合うドラム達に対し、アマネはこういう時こそ気を引き締めて決勝戦の準備を整えるべきだ、ドラムが気を緩めるとすぐにやられてしまう、とやれやれ。
ドラムも何か言い返したげだったが、アマネの言い分も間違っては無い。気を引き締め、喜ぶのは優勝してから、と頬を叩き気合を入れる。
皆がドラムに微笑み、安心している時、何故かジョーもそこに立って薄い笑みを浮かべてドラムを見ていた。
「「「「ジョー!?」」」」
ジョーの存在に気づき、彼から距離を取るメンバー。一同。何故彼がここにやってきたのか、困惑していたが、彼はドラムの作戦に強く感心しわざわざ言いに来たのである。
ジョーが賭けているならこちらも一か八かの賭けに出る。ジョーと全く同じ作戦で見事勝利したドラムに対し、パン、と手を叩き笑うジョー。
「なぁ、またバトルしような!」
「もうギャンブルは卒業です。」
「んぁ?」
「丁度、賭け事にも飽きてきた所でしたから。」
「ええっ!じゃあベイは!?」
「今度は勝利のみを追求したバトルを挑ませていただきますよ。今日の借りは必ず返しますから。」
「ジョー……。あれ?なんか、お前に貸したっけ?」
ズコーーッ!
「そういう事じゃねぇべ。」
ジョーは話の切り替えに1つコインを取りだした。ドラムが決勝戦、勝つか負けるか賭けて見よう、という事だ。先程賭け事は辞めると言っていたはずなのに。辞めたいのにまたやりたくなるのはギャンブラーの鑑とも言えるかもしれない。
ジョーがコインを上へトスするとそれをドラムが捕まえ、拳を突き出し一言。
「オレは勝つ!!」
そう、彼に無意味な賭けは要らないのだ。勝つか負けるか賭けるなど、意味が無い。絶対勝つという自信と勇気と、希望があれば、どんな困難も乗り越えられる。
ジョーはドラムの熱い瞳を見つめ呆然とした顔で見つめると目を伏せ笑った。そしてそのコインをドラムに譲渡し、ジョーはどこかへ行ってしまった。
「ねね、見せて見せて!」
「表?裏?どっち?!」
「どちらでも良いですわ」
「そうそう!」
ドラムが握った手を緩め開くと、コインは表でも裏でもない。なんとドラムの掌で立っていたのだ。すると、手が下に傾き、コインは床に落ち、そのままコロコロと転がっていく。慌ててそれを追いかけるドラム。待て、待てよ!と言って止まるコインはどこにも存在しない。コインはただ前へと進むばかり。
そしてコインはドラムの足に引っかかり、ようやく動きを止めた。それを拾い上げ、嬉しそうに見ると自動ドアが開く。そこは以前タカネとシズクと来たプールエリアだ。ドラムは興味津々に中へはいると、突然プールから渦巻きが現れ、強い飛沫がドラムに思い切りかかってずぶ濡れになってしまう。ピチピチと魚のように身体を動かし、ロダンを褒め称えると、ロダンはドラムを拾い上げ、耳の近くで咆哮を上げる。壁が反響して揺れるほどの咆哮……。これだけでもロダンのパワーは伊達じゃないことが分かる。
「気安く話しかけるな。」
(……ッ、な、なんだこの迫力……!)
「散れ!俺の視界に入るな。」
「ぬぅぅっ……!」
「………。」
「なあーんだ、こんな所にいたんだ。」
重圧の空間を切り裂くような明るい声でやってきたのはタカネだった。どうやらドラムを探しにここまで来たらしい。タカネが中に入ると、ロダンとドラムのコワ顔が目に入り、思わず悲鳴をあげる。
「あッ、あの……ヨーロッパチャンピオンシップの決勝戦……ハジマッテルヨ……?」
「……何ぃ!?」
ドラムはロダンから離してもらい、そのまま自身の控え室に向かうと、既に試合は始まっていた。
映像ではドラムとシズクのライバル、「茜デルタ」が映っていた。試合の状況は2
戦況はデルタの新しいガチンコベイ「ベノムディアボロス」の猛攻で圧倒的リードを保っている。悪魔と呼ばれている禍々しいオーラがベイをまとい、相手のベイを粉砕するような攻撃を仕掛け、バーストさせた。
デルタはこの程度か、とため息をひとつ付き審判が勝敗を下すのを待つ。
圧倒的な強さ、圧倒的迫力でヨーロッパチャンピオンシップの頂点に立ったデルタはもうヨーロッパでは敵無し。
デルタをベイを拾い上げ、強く握りしめると、デルタの周りから忌まわしいオーラが滲み出ている。
そのオーラに気づいたシズクは思わず隣に座っていたイチカの裾を掴んだ。その手は震えており、今までの茜デルタでは無いことを本能が教えてくれているのかのよう。
「オレ、デルタとバトルしたい!このベイカーニバル、ガチで優勝するんだ!!なっ、シズク!! 」
「…………。」
「……シズク?」
「えっ、あ……ええ、そうですわね。ここで勝たなければ、デルタに顔を見せられませんもの。」
***
時は過ぎ準決勝第2試合。金道フミヤと灰嶋ロダンの対決。前回優勝者と今大会ダークホースの奇跡の対決。見逃さないブレーダーは誰も居ないだろう。
なお、フミヤお得意の煽りはロダンには無効で、逆に煽り返されフミヤは唇を噛み締めた。
「パワーだったら、ロダンの方が有利だよね?」
「場数はフミヤの方が踏んでる。どっちが勝つか全然わかんねぇべ。」
「どっちだ?決勝でオレがバトルするのは!」
「この試合は、己の実力を信じ、相手の能力を深く知っている者が勝ちますわ。」
――最高のバトル、絶対に見逃すな。