第2章「ベイブレードカーニバル 開幕!」
「3、2、1……ゴーー……ミート!よーし、焼けた。ドラム、シズク、夕食だ。」
「あら、大奮発ですわね。」
「見ろこの特売とは思えぬ分厚さ!ナァーイス!」
「これが特売……?!スーパーが心配になりますわ……。ドラム、早く食べないと冷めてしまいますわよ!」
2人がドラムを呼んでも、ドラムは特訓に集中して聞く耳を持たない。2人は顔を見合せ、後でサンドウィッチを作るか、とステーキをタンゴの皿に乗せた。
――と、その時。
ステーキの匂いがドラムの鼻をかすり、その美味しそうな匂いにつれて、キッチンにやってきた。ステーキの存在に気づくと、2枚乗せたステーキ皿を手に取り食べ始めた。タンゴは慌てて止めようとするが、ドラムはもぐもぐ、むしゃむしゃ、と肉を貪る。
「うんめぇ!おっちゃん奮発したなー!ステーキなんて食ったのひっさしぶりだぁ!」
「あ、あぁ。まぁな……。たまにはな……。」
あっという間に1枚目を平らげると、すぐに2枚目を食べ始める。1枚目はともかく、2枚目はタンゴの分のステーキだ。ドラムはそれを分かっているのか、分からないのか。……いや、絶対と言っていいほど分からないだろう。美味しそうに食べ進めるドラムに複雑な気持ちを抱いたタンゴはホロリ、と涙をこぼす。
「……まだ口を付けていませんし、半分こしませんか?おじさま。それに、全部食べ切れる気がしませんもの。」
「ありがとよ……シズク……。」
一方、金道フミヤはとある施設を訪れた。暗闇に光る街灯を頼りに、路地を歩き、並ぶ建物の中にある1つの扉を開ける。重たい扉を開くと、暗闇とは正反対に中の蛍光灯が彼を照らし、目が眩く感じる。すると、フミヤの前方からディスクのようなものが飛んでくる。慌ててそれを避け、フミヤは怒りを少年に向ける。
そう、フミヤが訪れたのは灰嶋ロダンが練習施設として使っている所だったのだ。彼はアスリートでありながらブレーダー。彼の中でベイブレードは己の力を高めるための通過点に過ぎない。そんな彼をフミヤはスパークデビルズにスカウトしに来たのだ。こんなボロ倉庫で練習する必要なんて無い、自分の所に来れば最高の環境を提供し、今よりもっと強いブレーダーになれる。最高のブレーダーになれる。フミヤはキラーン、と音が聞こえてしまう程決まった顔でロダンを指さしたが、彼はフミヤの話を全く聞かずフライングディスクの練習を再開する。
再びディスクをフミヤ――の先にいる扉目掛けて投げた。慌てて施設から出ると、扉に凹みが入る程の威力で、フミヤは思わず垂らした汗を拭い、一息ついた。
「……ふぅ、ふんっ、せっかくボクが目をかけてやったのに!礼儀を知らない奴だな……。だったら潰すしかないねぇ。」
***
ベイブレードカーニバルも準決勝。ベスト4による戦いが繰り広げられる。誰が、誰と当たっても大会史上最高の戦いになるだろう。
ここからはなんと、大会主催者である紅フィニ直々に審判を務める事になり、また対戦カードも彼女から発表される。スタジアムにあがり、マイクを手に取ると小さな紙に書かれている対戦カードを読み上げた。
「第1試合、虹龍ドラムVS 瑠璃川ジョー。第2試合、金道フミヤVS 灰嶋ロダン。4人とも、良い試合を見せてくれ。」
対戦相手が決まり、尚且ドラムが戦いたがっていた瑠璃川ジョー。ドラムは人一倍気合を入れる。
一方ジョーは、自身よ賭けに見事当たり、ビクトリーズ全員との対戦が叶った。
フィニがドラムとジョーに試合の準備を促すと、それぞれ控え室に向かった。
ビクトリーズのメンバーも控え室に向かい、ジョーカーの対策を考える。
ジョーの体力を考え、ディフェンスタイプのロックドラゴンが良い。
相手の破壊力が高いからこそ、守りより攻めのエースドラゴンが良い。
メンバーはそれぞれジョーの弱点や特徴を抑えつつ最善とする策を出すが、ドラムはうーん、と眉をへの字にしうねりをあげる。
「アマネ、ドラゴンはジョーカーの攻撃に耐えられそうか?」
「通常なら攻撃なら耐えられるかもしれない……。でも、あの出っ張った刃で、捨て身の攻撃に出られたら分からんべ……。」
「だったらロックドラゴンだ!」
「ドラム、頑張ってね!」
「あぁ。」
「あっ、それから!声に出して作戦バラしちゃダメだからね!」
「えっ?」
「ドラム、始まる前にいっつも作戦を対戦相手にバラしちゃうだろ?」
「そうなのか?」
ドラムは目をぱちくりとさせ首を傾げた。ドラム本人は「思っていた」のかもしれない。しかし実際には無意識に口にしてバラしていた。ドラムの天然すぎる発言に皆呆れ顔。しかしその天然が長所として活かされる部分もあるのだ。
そして、試合時間となり、ドラムとジョーはスタジアムに向かった。壇上に上がり、スタジアムに向かい合わせに立つ。
「ユーが4人目……。眼帯の少女を除けば、ビクトリーズ最後のブレーダー。このバトルに勝てば、賭けはミーの勝ちですね。」
「だったらお前の負けだ、このバトル絶対に勝つ!」
「フン、それはギャンブルの神様が決めること……。」
「試合を始める。ファーストバトル。」
お互いのランチャーにベイをセットし、体勢を整える。ドラムはジョーカーのフレームの形を見てすぐにディフェンスモードだと理解し、そのまま思ったことを無意識に口に出しかけたところでふとタカネに言われたことに気づき、咄嗟に手で口を塞いだ。
――もご、もごもご……。
ドラムは口ごもらせながらも相手に気づかれないように一生懸命噛み締めているといつの間にかあのコワ顔になっており、ドラムの性格をよく分からない観客達は彼の顔に少し引き気味である。
「よし、言わなかったぞぉ。」
「そこまで頑張らなくても……。」
「まぁ、ドラムですし。」
「ミーを惑わす作戦ですか?その手には乗りませんよ?」
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い豪快なシュートを放ち、急斜面を使い、センターへ。ジョーカーがトリックドライバーを巧みに操り、必殺技「トリックルーレット」を発動させ不規則な動きでロックドラゴン目掛けて攻撃を仕掛ける。しかしロックドラゴンのディフェンス能力がジョーカーの攻撃を弾き返した。
「よし!」
「うむ、いいディフェンスだ。」
今度はロックドラゴンの番。アッパーデッキに上がり、急加速。そのまま斜面を下り、カウンター攻撃へ。
「その攻撃、乗ってあげましょう!ザ・ジャッジメント!」
ジョーカーの大きなラバー刃がロックドラゴンに強く当たり、衝撃でお互い弾け飛ぶ。外へと大きく飛び、両者オーバーフィニッシュか、はたまたどちらかが残り飛ぶか、どちらも残るか――。
すると、ドラゴンが壁に当たり、軸がブレてはいるがスタジアムに残った。
一方ジョーカーはそのままスタジアムの外に飛び、オーバーフィニッシュ。ドラムが1P先取。
ロックドラゴンは下向きに流れる6枚の刃で相手からの攻撃をいなし、またその攻撃を寄せ付けない形になっている。
ジョーカーのアタックはかなり強烈だ。他のベースだったらこっちが負けていたであろう。
狙い通りの作戦でとりあえず先に点が取れたことにビクトリーズのメンバーは安堵し、胸を撫で下ろす。
「良かったですわ。やはりロックドラゴンが正解でしたわね。」
「そうね……。」
「でも、2ndバトルはどうなるかわかりませんわ。対策されるかもしれない。」
「ジョーカーのあのフレームだね!」
「ええ。それに対しドラムがどう対応して行くか……。」
「ふん、たまたま勝っただけじゃないか。」
「ギャンブルも負けが付き物。だからこそスリルがあって面白いんです。」
「んぁ?」
「ふふっ……。」
「……すりる?」
「相手に移った流れをどう取り戻すか……それもまたギャンブルの醍醐味。ユーも気をつけた方が良いですよ。」
「……。」
「2ndバトル。レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い強烈なシュートが決まった。ジョーカーのフレームは1stバトルと同じ。しかし、軌道は全く違った。かなり手前のアッパーデッキにベイを落とし、そのまま走り出す。そして急斜面を通り、勢いを付けてセンターにいるロックドラゴンへ攻撃。1stバトルの時よりも強い攻撃が当たり、上に弾け飛ぶ。しかし、スタジアムに助けられ、何とか体制を整えてカウンターを狙う。
だが、ジョーカーの攻撃はここで終わらない。再びアッパーデッキに移動し、更に加速。そして斜面を下りトリックドライバーを大きく傾けさせた。
そう、ジョーはアッパーデッキと斜面を巧みに使い、強烈な攻撃を何度もロックドラゴンに食らわせる作戦を考えていた。
何度も、何度もぶつかり、反撃の糸口が見出せないドラムは懸命に考えた。何か策は無いか、どうすればあれを避けて上手くカウンターを決めれるか。いっそこのまま耐えるか?いや、ドラゴンのスタミナが切れて負けてしまう。下手したらバーストかもしれない。
完全に流れはジョーカーに持っていかれた。まずい、非常にまずい状況だ。
そして、ジョーは彼の名を叫ぶと、青と紫色の炎に包まれ、中からジョーカーのアバターが現れた。
ドラムも負けじとドラゴンと強い共鳴をし、ドラゴンのアバターを呼び覚ます。気高く猛々しいドラゴンが咆哮を上げ、ドラゴンは加速する。
ジョーカーとドラゴンが激しく衝突し、火花と熱風がドラム達を襲う。しかし、ジョーカーはドラゴンのディスク目掛けて刃を当てており、ドラゴンのカウンター攻撃は相手に全く効く事無く今度はドラゴンが飛ばされ、オーバーフィニッシュでジョーが1P取り返した。
「ジャッジメントジョーカー、オーバーフィニッシュ。瑠璃川ジョーに1P。ポイント、1- 1。」
バトルの行方は不明。どちらが勝ってもおかしくはない、拮抗した試合になった。
ギャンブルの神様はドラムに微笑むか、それともジョーに新たな賭けを求め輝かせるのか。それはこの2人も観客も分からない。
ドラムは息を飲んだ。
「あら、大奮発ですわね。」
「見ろこの特売とは思えぬ分厚さ!ナァーイス!」
「これが特売……?!スーパーが心配になりますわ……。ドラム、早く食べないと冷めてしまいますわよ!」
2人がドラムを呼んでも、ドラムは特訓に集中して聞く耳を持たない。2人は顔を見合せ、後でサンドウィッチを作るか、とステーキをタンゴの皿に乗せた。
――と、その時。
ステーキの匂いがドラムの鼻をかすり、その美味しそうな匂いにつれて、キッチンにやってきた。ステーキの存在に気づくと、2枚乗せたステーキ皿を手に取り食べ始めた。タンゴは慌てて止めようとするが、ドラムはもぐもぐ、むしゃむしゃ、と肉を貪る。
「うんめぇ!おっちゃん奮発したなー!ステーキなんて食ったのひっさしぶりだぁ!」
「あ、あぁ。まぁな……。たまにはな……。」
あっという間に1枚目を平らげると、すぐに2枚目を食べ始める。1枚目はともかく、2枚目はタンゴの分のステーキだ。ドラムはそれを分かっているのか、分からないのか。……いや、絶対と言っていいほど分からないだろう。美味しそうに食べ進めるドラムに複雑な気持ちを抱いたタンゴはホロリ、と涙をこぼす。
「……まだ口を付けていませんし、半分こしませんか?おじさま。それに、全部食べ切れる気がしませんもの。」
「ありがとよ……シズク……。」
一方、金道フミヤはとある施設を訪れた。暗闇に光る街灯を頼りに、路地を歩き、並ぶ建物の中にある1つの扉を開ける。重たい扉を開くと、暗闇とは正反対に中の蛍光灯が彼を照らし、目が眩く感じる。すると、フミヤの前方からディスクのようなものが飛んでくる。慌ててそれを避け、フミヤは怒りを少年に向ける。
そう、フミヤが訪れたのは灰嶋ロダンが練習施設として使っている所だったのだ。彼はアスリートでありながらブレーダー。彼の中でベイブレードは己の力を高めるための通過点に過ぎない。そんな彼をフミヤはスパークデビルズにスカウトしに来たのだ。こんなボロ倉庫で練習する必要なんて無い、自分の所に来れば最高の環境を提供し、今よりもっと強いブレーダーになれる。最高のブレーダーになれる。フミヤはキラーン、と音が聞こえてしまう程決まった顔でロダンを指さしたが、彼はフミヤの話を全く聞かずフライングディスクの練習を再開する。
再びディスクをフミヤ――の先にいる扉目掛けて投げた。慌てて施設から出ると、扉に凹みが入る程の威力で、フミヤは思わず垂らした汗を拭い、一息ついた。
「……ふぅ、ふんっ、せっかくボクが目をかけてやったのに!礼儀を知らない奴だな……。だったら潰すしかないねぇ。」
***
ベイブレードカーニバルも準決勝。ベスト4による戦いが繰り広げられる。誰が、誰と当たっても大会史上最高の戦いになるだろう。
ここからはなんと、大会主催者である紅フィニ直々に審判を務める事になり、また対戦カードも彼女から発表される。スタジアムにあがり、マイクを手に取ると小さな紙に書かれている対戦カードを読み上げた。
「第1試合、虹龍ドラム
対戦相手が決まり、尚且ドラムが戦いたがっていた瑠璃川ジョー。ドラムは人一倍気合を入れる。
一方ジョーは、自身よ賭けに見事当たり、ビクトリーズ全員との対戦が叶った。
フィニがドラムとジョーに試合の準備を促すと、それぞれ控え室に向かった。
ビクトリーズのメンバーも控え室に向かい、ジョーカーの対策を考える。
ジョーの体力を考え、ディフェンスタイプのロックドラゴンが良い。
相手の破壊力が高いからこそ、守りより攻めのエースドラゴンが良い。
メンバーはそれぞれジョーの弱点や特徴を抑えつつ最善とする策を出すが、ドラムはうーん、と眉をへの字にしうねりをあげる。
「アマネ、ドラゴンはジョーカーの攻撃に耐えられそうか?」
「通常なら攻撃なら耐えられるかもしれない……。でも、あの出っ張った刃で、捨て身の攻撃に出られたら分からんべ……。」
「だったらロックドラゴンだ!」
「ドラム、頑張ってね!」
「あぁ。」
「あっ、それから!声に出して作戦バラしちゃダメだからね!」
「えっ?」
「ドラム、始まる前にいっつも作戦を対戦相手にバラしちゃうだろ?」
「そうなのか?」
ドラムは目をぱちくりとさせ首を傾げた。ドラム本人は「思っていた」のかもしれない。しかし実際には無意識に口にしてバラしていた。ドラムの天然すぎる発言に皆呆れ顔。しかしその天然が長所として活かされる部分もあるのだ。
そして、試合時間となり、ドラムとジョーはスタジアムに向かった。壇上に上がり、スタジアムに向かい合わせに立つ。
「ユーが4人目……。眼帯の少女を除けば、ビクトリーズ最後のブレーダー。このバトルに勝てば、賭けはミーの勝ちですね。」
「だったらお前の負けだ、このバトル絶対に勝つ!」
「フン、それはギャンブルの神様が決めること……。」
「試合を始める。ファーストバトル。」
お互いのランチャーにベイをセットし、体勢を整える。ドラムはジョーカーのフレームの形を見てすぐにディフェンスモードだと理解し、そのまま思ったことを無意識に口に出しかけたところでふとタカネに言われたことに気づき、咄嗟に手で口を塞いだ。
――もご、もごもご……。
ドラムは口ごもらせながらも相手に気づかれないように一生懸命噛み締めているといつの間にかあのコワ顔になっており、ドラムの性格をよく分からない観客達は彼の顔に少し引き気味である。
「よし、言わなかったぞぉ。」
「そこまで頑張らなくても……。」
「まぁ、ドラムですし。」
「ミーを惑わす作戦ですか?その手には乗りませんよ?」
「レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い豪快なシュートを放ち、急斜面を使い、センターへ。ジョーカーがトリックドライバーを巧みに操り、必殺技「トリックルーレット」を発動させ不規則な動きでロックドラゴン目掛けて攻撃を仕掛ける。しかしロックドラゴンのディフェンス能力がジョーカーの攻撃を弾き返した。
「よし!」
「うむ、いいディフェンスだ。」
今度はロックドラゴンの番。アッパーデッキに上がり、急加速。そのまま斜面を下り、カウンター攻撃へ。
「その攻撃、乗ってあげましょう!ザ・ジャッジメント!」
ジョーカーの大きなラバー刃がロックドラゴンに強く当たり、衝撃でお互い弾け飛ぶ。外へと大きく飛び、両者オーバーフィニッシュか、はたまたどちらかが残り飛ぶか、どちらも残るか――。
すると、ドラゴンが壁に当たり、軸がブレてはいるがスタジアムに残った。
一方ジョーカーはそのままスタジアムの外に飛び、オーバーフィニッシュ。ドラムが1P先取。
ロックドラゴンは下向きに流れる6枚の刃で相手からの攻撃をいなし、またその攻撃を寄せ付けない形になっている。
ジョーカーのアタックはかなり強烈だ。他のベースだったらこっちが負けていたであろう。
狙い通りの作戦でとりあえず先に点が取れたことにビクトリーズのメンバーは安堵し、胸を撫で下ろす。
「良かったですわ。やはりロックドラゴンが正解でしたわね。」
「そうね……。」
「でも、2ndバトルはどうなるかわかりませんわ。対策されるかもしれない。」
「ジョーカーのあのフレームだね!」
「ええ。それに対しドラムがどう対応して行くか……。」
「ふん、たまたま勝っただけじゃないか。」
「ギャンブルも負けが付き物。だからこそスリルがあって面白いんです。」
「んぁ?」
「ふふっ……。」
「……すりる?」
「相手に移った流れをどう取り戻すか……それもまたギャンブルの醍醐味。ユーも気をつけた方が良いですよ。」
「……。」
「2ndバトル。レディ……セット!」
「「3!2!1!ゴーー……シュート!!」」
お互い強烈なシュートが決まった。ジョーカーのフレームは1stバトルと同じ。しかし、軌道は全く違った。かなり手前のアッパーデッキにベイを落とし、そのまま走り出す。そして急斜面を通り、勢いを付けてセンターにいるロックドラゴンへ攻撃。1stバトルの時よりも強い攻撃が当たり、上に弾け飛ぶ。しかし、スタジアムに助けられ、何とか体制を整えてカウンターを狙う。
だが、ジョーカーの攻撃はここで終わらない。再びアッパーデッキに移動し、更に加速。そして斜面を下りトリックドライバーを大きく傾けさせた。
そう、ジョーはアッパーデッキと斜面を巧みに使い、強烈な攻撃を何度もロックドラゴンに食らわせる作戦を考えていた。
何度も、何度もぶつかり、反撃の糸口が見出せないドラムは懸命に考えた。何か策は無いか、どうすればあれを避けて上手くカウンターを決めれるか。いっそこのまま耐えるか?いや、ドラゴンのスタミナが切れて負けてしまう。下手したらバーストかもしれない。
完全に流れはジョーカーに持っていかれた。まずい、非常にまずい状況だ。
そして、ジョーは彼の名を叫ぶと、青と紫色の炎に包まれ、中からジョーカーのアバターが現れた。
ドラムも負けじとドラゴンと強い共鳴をし、ドラゴンのアバターを呼び覚ます。気高く猛々しいドラゴンが咆哮を上げ、ドラゴンは加速する。
ジョーカーとドラゴンが激しく衝突し、火花と熱風がドラム達を襲う。しかし、ジョーカーはドラゴンのディスク目掛けて刃を当てており、ドラゴンのカウンター攻撃は相手に全く効く事無く今度はドラゴンが飛ばされ、オーバーフィニッシュでジョーが1P取り返した。
「ジャッジメントジョーカー、オーバーフィニッシュ。瑠璃川ジョーに1P。ポイント、1
バトルの行方は不明。どちらが勝ってもおかしくはない、拮抗した試合になった。
ギャンブルの神様はドラムに微笑むか、それともジョーに新たな賭けを求め輝かせるのか。それはこの2人も観客も分からない。
ドラムは息を飲んだ。