第1章 これがスパーキングベイだ!
「こんなところで会えるとはな。覚悟しろ、バラボロにしてやるからな!ヒカル、ヒュウガ!!」
ヒカルはソーチョーの言葉にムッ、とさせて睨みつける。ヒュウガも睨みつけると思いきや、ヒュウガは先程シスコとのバトルに負けてからずっとシスコを睨みつけて、ソーチョーの話を一言も聞いていない。
ソーチョーが声をかけても、聞く耳持たずで、「次こそシスコをぶっ飛ばしてやる」とシスコに宣言するとシスコは見下すように鼻で笑った。ヒュウガは笑われ、怒りをあらわにするが、ソーチョーもソーチョーでヒュウガに怒りをあらわにする。
ソーチョーがヒュウガに近づき耳元で叫んでも聞く耳持たないヒュウガにイライラしている様子に、周りは苦笑するが、後ろから現れたレジェンド2人の登場に、周りの空気は静まり、張り詰めたものになった。
「よぉ!」
「全員、揃っているな。」
現れたのはレジェンド・オブ・レジェンド「蒼井バルト」と猛炎の天使「紅フィニ」の2人だ。
強化指定ブレーダー達は列になり、話を聞く体勢になる。レジェンド達も横一列に並び、強化指定ブレーダーが来てくれたことを歓迎している。
……が、しかし、バルトやフィニが話をしている時、ヒュウガの目線は常にシスコ一直線で、ソーチョーもヒュウガに目線がいっていた。
ヒュウガの目線に気づいたシスコは最初は無視を決めたが、ヒュウガはずっとガン見し続けている。
ヒュウガとシスコがなんやかんやしている間にバルト達は次回開催されるレジェンドフェスティバルの日程と軽い概要について話し始める。
なんと、バルト達以外にもレジェンド達を招待し、そして強化指定ブレーダーの中からランクを上げてた者がバトルをするというイベントだ。
現在ヒカル達はB級ブレーダー。A級に昇格したものから資格を得ることが出来る。
先程までシスコとにらめっこのようなものを繰り広げていたヒュウガは、ヒカルの言葉にふと我に返り、レジェンドフェスティバルに出られるかもしれない、という事を聞くと目を輝かせ、レジェンド達と戦っている自分を妄想し始める。
「その出場権、このソーチョー様が頂くぜ!」
「うおおお!ヒカル、一緒に出て優勝だー!!」
もう出場権を得て出れる気でいるヒュウガに呆れつつも、バルト達は早速フェスティバルに向けての特訓を始めた。
「シスコー!勝負だー!!」
「まずは筋力アップからな!!」
「あばっ……」
「当たり前だろう……お前達の戦闘データは、wbba.公認の広報から送られて来ているんだからな。そこから加算になるか減算になるか……全てお前達の練習量と実績にかかっている。真剣に取り組むように。」
早速レジェンドブレーダーと共にトレーニングが始まった。それぞれこの施設内のマシンを使い、特訓を始める。シスコがベンチプレスでトレーニングをしていると、隣にヒュウガが来てシスコに対抗心を燃やし、同じようにベンチプレスを始める。何回も何回も上げていくシスコに対し、ヒュウガは1回も持上げることが出来ない。さらに、その隣でソーチョーもベンチプレスをやるが、ヒュウガ同様持ち上げることは出来なかった。
「100年はえぇんだよ!」
そんな感じでその日はシスコに対抗出来ず終えた……。
***
翌日。母親のいつものフライパン同士を叩きつけて起こす方法で慌てて起きたヒカルは、隣で寝ているだろうヒュウガを起こそうと布団を剥がしたが、そこにはもうヒュウガはいなく、母親曰く、既に出ていってしまった様子。
ヒュウガは、朝早くからトレセンに来ていて、大声で「シスコーーー!!!」と叫び散らし、もう既に始まっている練習を昨日と同じように横から同じようにしていく。ケーブルマシンを使い、二の腕の練習なのだが、シスコと同じ高さでやろうと試みるも、ヒュウガには少し高かったようで、変なところに力が入り上手くいかない。
また、その後ろからソーチョーもやってきてケーブルマシンを使うが、上手くいかず……。
続いてランニングマシンを使用するが、シスコの体力と2人の体力じゃあ差がある。また、シスコがスピードを上げ、ヒュウガ達も同じようにあげるが、ついていけず転がるように落ちてく。
――と、言うようにシスコが次々にやっていくトレーニングに全くついていけず苦戦する様子を、ヒカルは自分のペースで進めながら見ていた。
そんな日々が続く中、今日もトレセンでシスコに負けないとボンバーズから向かおうとした時、ヒカルが前に立ちはだかりそれを止める。
出来もしないトレーニングマシンで練習したところで成長しない。それを理解しているヒカルは力づくで行こうとするヒュウガを止める。
「昔のバルトも似たようなもんだったな〜。でも、このままじゃあヒュウガは昇格出来ないかもしれないね。」
「ええっ!?ヒカル〜っ!」
痺れを切らしたヒカルはため息を大きくついて、勝負させてやると一言。
一同驚き、逆にヒュウガはキラキラと目を輝かせていたが、次にヒカルが行動したのはシスコのお面を被る行為だった。
「もしかしなくてもそれをシスコに見立てて満足させようって事?」
「そうだ!!」
「あっはははは!おもしれ〜なそれ!」
「「「ええっ!?」」」
「うおおおおー!!!シスコーー!!!」
「「「ええええっ!!!!!???」」」
「さあ、やるぞ!」
「おう!」
「フィニちゃんに連絡しとこ〜。ついでに面白いからクミチョーにも送っとこ」
一方トレセン。いつもなら騒がしい空間だったのが、本日は静かだ。ソーチョーが周りを見ながらヒュウガ達が来てないことに気づくと少し寂しいような気持ちになった。
それはシスコも同じようで。毎日自分と張り合いと言えば全く持ってそうでは無いが、やかましい存在が居ないことにキョロキョロとしていると、クミチョーからボンバーズで練習するとルカから連絡が来ていたらしい。
「あいつが居ねぇと寂しいか?」
「あんなへなちょこ、いねえ方がゆっくりトレーニング出来らァ!」
「へっ、可愛くねー奴」
その会話を傍目に聞いていたソーチョーはなにか秘密の特訓かもしれない、と慌てた様子でトレセンを出て、ボンバーズへ向かった。
ボンバーズにたどり着いたソーチョーは小窓から中の様子を伺う。するとそこにはヒカル、チャック、グンの3人がヒュウガを囲むように達、一斉にゴーシュートをする。
「バカか……コイツら……っ!」
全くである。
あれから数時間も練習し続け、気づけば夕方。先にへばって休憩しているグンとチャックを横目に、ヒカルはまだシスコのお面を付けてヒュウガとの特訓を続ける。
今度こそ、今度こそとランチャーを構えると、シスコお面を付けたヒカルが本当にシスコ本人に見え、熱い対抗心を燃やし始める。気迫とオーラが周りにも伝わり、赤と青の火花がバチバチと飛び散り交わる。
翌日。バトルトレーニング時、バルトがフィニから借りたタブレットでレジェンドと対戦する相手をそれぞれ指名した時、扉の方からヒュウガ達ボンバーズとヘロヘロになって地面に横たわるルカがいた。
「シスコとバトルするのは俺!おーれー!!」
久しぶりのヒュウガの騒がしい雰囲気に皆どこか安心したのか、嬉しいのか様々だった。
ヒュウガからのバトルの申し込みに嬉しそうに返事をする。へなちょこだったら許さない、と言ったものの、へなちょこでも戦えてシスコは嬉しいのかもしれない。
フィニはタブレットを操作し、元々シスコと戦う予定だったブレーダーからヒュウガに変えて、ランクアップバトルを要請した。上は快諾し、そのままメンバーはスタジアムへ移動して、wbba.公認のジャッジマンと、実況の穴見も呼んだ。
目の前にある大きなモニターに穴見が映し出され、ランクアップバトルの軽い概要を話す。
ランクアップバトルにてバトルに勝利するとポイントが貰え、それを貯めてA級に昇格するという簡単なシステム。
審判の合図で2人はベイをランチャーにセットし、体勢をとる。
「集中だー!!」
ヒカルが出してきたのは特訓に使ったシスコお面だ。
「おーー!打倒!シスコ・カーライルー!!」
ヒュウガにとっては応援の1つなのかもしれない。ヒュウガはそのお面を見て、視線をスタジアムに戻すと両頬を2回叩いて、集中力を高める。
ヒュウガが集中力を高め始めると、彼の周りから赤いオーラが現れたような気がして、レジェンド一同はそのオーラを見逃さなかった。
「レディ、セット!」
「「3、2、1……ゴーーシュート!!!」」
すると、ヒュウガのランチャーから赤い火花が飛び出た!いつも以上に重たい音が響き、スタジアムを走り始める。
いつも1人だけ出なかったヒュウガのランチャーから火花が出たことに皆驚き、レジェンド達は成長を喜び、ボンバーズは感極まっていた。
「そのスパーキングシュート、本物か見せてもらうぜ!」
「ギュンギュンだー!!」
カースサタンがセンターを陣取ったところを、ハイペリオンが勢いよくぶつかりに行く。ハイペリオンのアッパー刃がサタンに当たり、軽く飛ばされかけたが、サタンにとってはジャブ程度の攻撃。ユニバースドライバーで回転を回復させて、ドライバーを傾けさせると、一気にハイペリオンへ反撃。サタンを追い込むはずが、逆に追い込まれてしまう。
サタンの必殺技、「ユニバースドリフト」で、サタンがカウンター攻撃を狙う――が、ハイペリオンのエクシードドライバーが傾き、サタンの攻撃を上手く受け流し、ハイペリオンはサタンの猛攻から逃れることができた。
「ガッキガキだーーッ!!ハイペリオーーン!!!」
ヒュウガとハイペリオンの強い共鳴が赤い火花となり、炎となり、ベイが真っ赤に燃え盛る。そこからハイペリオンのアバターが現れた。
「スーパーストライクッッ!!」
エクシードドライバーの軸先にあるラバーが押し込まれ、一気に加速しサタン目掛けてぶつかると、一瞬にしてサタンはバーストされる。
ヒュウガが初めてシスコに完全勝利を決めたのだ。
「実に面白い試合だったよ!」
「ああ、お前が送ってくれた写真のおかげでより楽しめた。」
「ルカは写真“だけ”は上手いからな」
「だけってなんだよ!ベイブレードもそこそこ出来るからな!?」
「何回かヒュウガ達には勝ってるからな!」
「それにしてもアイツらは今後もっとすごい革命を起こすかもしれないよ。」
レジェンド達がお互い顔を見合せ、今後のベイブレード界を夢描く。
この革命的事態にボンバーズ一同大喜びし、ヒュウガに飛びつく。
まだポイントを獲得して居ないソーチョーはヒュウガにさらにライバル心を燃やす。
あんなへなちょこなヒュウガに負け、歯を食いしばり睨みつけていると、ヒュウガから再バトルの申し込みをされた。
「調子に乗りやがって……っ!叩きつ――」
「次は俺だ!」
「俺だ!」
「おーれーだー!!」
間から割って入ってきたヒカルが次のバトルを申し込むがヒュウガも道を譲らず、そのままいつものように喧嘩が始まる。
「………お前ら………俺の話を聞けーーーーーッッ!!!!!!!!」
ヒカルはソーチョーの言葉にムッ、とさせて睨みつける。ヒュウガも睨みつけると思いきや、ヒュウガは先程シスコとのバトルに負けてからずっとシスコを睨みつけて、ソーチョーの話を一言も聞いていない。
ソーチョーが声をかけても、聞く耳持たずで、「次こそシスコをぶっ飛ばしてやる」とシスコに宣言するとシスコは見下すように鼻で笑った。ヒュウガは笑われ、怒りをあらわにするが、ソーチョーもソーチョーでヒュウガに怒りをあらわにする。
ソーチョーがヒュウガに近づき耳元で叫んでも聞く耳持たないヒュウガにイライラしている様子に、周りは苦笑するが、後ろから現れたレジェンド2人の登場に、周りの空気は静まり、張り詰めたものになった。
「よぉ!」
「全員、揃っているな。」
現れたのはレジェンド・オブ・レジェンド「蒼井バルト」と猛炎の天使「紅フィニ」の2人だ。
強化指定ブレーダー達は列になり、話を聞く体勢になる。レジェンド達も横一列に並び、強化指定ブレーダーが来てくれたことを歓迎している。
……が、しかし、バルトやフィニが話をしている時、ヒュウガの目線は常にシスコ一直線で、ソーチョーもヒュウガに目線がいっていた。
ヒュウガの目線に気づいたシスコは最初は無視を決めたが、ヒュウガはずっとガン見し続けている。
ヒュウガとシスコがなんやかんやしている間にバルト達は次回開催されるレジェンドフェスティバルの日程と軽い概要について話し始める。
なんと、バルト達以外にもレジェンド達を招待し、そして強化指定ブレーダーの中からランクを上げてた者がバトルをするというイベントだ。
現在ヒカル達はB級ブレーダー。A級に昇格したものから資格を得ることが出来る。
先程までシスコとにらめっこのようなものを繰り広げていたヒュウガは、ヒカルの言葉にふと我に返り、レジェンドフェスティバルに出られるかもしれない、という事を聞くと目を輝かせ、レジェンド達と戦っている自分を妄想し始める。
「その出場権、このソーチョー様が頂くぜ!」
「うおおお!ヒカル、一緒に出て優勝だー!!」
もう出場権を得て出れる気でいるヒュウガに呆れつつも、バルト達は早速フェスティバルに向けての特訓を始めた。
「シスコー!勝負だー!!」
「まずは筋力アップからな!!」
「あばっ……」
「当たり前だろう……お前達の戦闘データは、wbba.公認の広報から送られて来ているんだからな。そこから加算になるか減算になるか……全てお前達の練習量と実績にかかっている。真剣に取り組むように。」
早速レジェンドブレーダーと共にトレーニングが始まった。それぞれこの施設内のマシンを使い、特訓を始める。シスコがベンチプレスでトレーニングをしていると、隣にヒュウガが来てシスコに対抗心を燃やし、同じようにベンチプレスを始める。何回も何回も上げていくシスコに対し、ヒュウガは1回も持上げることが出来ない。さらに、その隣でソーチョーもベンチプレスをやるが、ヒュウガ同様持ち上げることは出来なかった。
「100年はえぇんだよ!」
そんな感じでその日はシスコに対抗出来ず終えた……。
***
翌日。母親のいつものフライパン同士を叩きつけて起こす方法で慌てて起きたヒカルは、隣で寝ているだろうヒュウガを起こそうと布団を剥がしたが、そこにはもうヒュウガはいなく、母親曰く、既に出ていってしまった様子。
ヒュウガは、朝早くからトレセンに来ていて、大声で「シスコーーー!!!」と叫び散らし、もう既に始まっている練習を昨日と同じように横から同じようにしていく。ケーブルマシンを使い、二の腕の練習なのだが、シスコと同じ高さでやろうと試みるも、ヒュウガには少し高かったようで、変なところに力が入り上手くいかない。
また、その後ろからソーチョーもやってきてケーブルマシンを使うが、上手くいかず……。
続いてランニングマシンを使用するが、シスコの体力と2人の体力じゃあ差がある。また、シスコがスピードを上げ、ヒュウガ達も同じようにあげるが、ついていけず転がるように落ちてく。
――と、言うようにシスコが次々にやっていくトレーニングに全くついていけず苦戦する様子を、ヒカルは自分のペースで進めながら見ていた。
そんな日々が続く中、今日もトレセンでシスコに負けないとボンバーズから向かおうとした時、ヒカルが前に立ちはだかりそれを止める。
出来もしないトレーニングマシンで練習したところで成長しない。それを理解しているヒカルは力づくで行こうとするヒュウガを止める。
「昔のバルトも似たようなもんだったな〜。でも、このままじゃあヒュウガは昇格出来ないかもしれないね。」
「ええっ!?ヒカル〜っ!」
痺れを切らしたヒカルはため息を大きくついて、勝負させてやると一言。
一同驚き、逆にヒュウガはキラキラと目を輝かせていたが、次にヒカルが行動したのはシスコのお面を被る行為だった。
「もしかしなくてもそれをシスコに見立てて満足させようって事?」
「そうだ!!」
「あっはははは!おもしれ〜なそれ!」
「「「ええっ!?」」」
「うおおおおー!!!シスコーー!!!」
「「「ええええっ!!!!!???」」」
「さあ、やるぞ!」
「おう!」
「フィニちゃんに連絡しとこ〜。ついでに面白いからクミチョーにも送っとこ」
一方トレセン。いつもなら騒がしい空間だったのが、本日は静かだ。ソーチョーが周りを見ながらヒュウガ達が来てないことに気づくと少し寂しいような気持ちになった。
それはシスコも同じようで。毎日自分と張り合いと言えば全く持ってそうでは無いが、やかましい存在が居ないことにキョロキョロとしていると、クミチョーからボンバーズで練習するとルカから連絡が来ていたらしい。
「あいつが居ねぇと寂しいか?」
「あんなへなちょこ、いねえ方がゆっくりトレーニング出来らァ!」
「へっ、可愛くねー奴」
その会話を傍目に聞いていたソーチョーはなにか秘密の特訓かもしれない、と慌てた様子でトレセンを出て、ボンバーズへ向かった。
ボンバーズにたどり着いたソーチョーは小窓から中の様子を伺う。するとそこにはヒカル、チャック、グンの3人がヒュウガを囲むように達、一斉にゴーシュートをする。
「バカか……コイツら……っ!」
全くである。
あれから数時間も練習し続け、気づけば夕方。先にへばって休憩しているグンとチャックを横目に、ヒカルはまだシスコのお面を付けてヒュウガとの特訓を続ける。
今度こそ、今度こそとランチャーを構えると、シスコお面を付けたヒカルが本当にシスコ本人に見え、熱い対抗心を燃やし始める。気迫とオーラが周りにも伝わり、赤と青の火花がバチバチと飛び散り交わる。
翌日。バトルトレーニング時、バルトがフィニから借りたタブレットでレジェンドと対戦する相手をそれぞれ指名した時、扉の方からヒュウガ達ボンバーズとヘロヘロになって地面に横たわるルカがいた。
「シスコとバトルするのは俺!おーれー!!」
久しぶりのヒュウガの騒がしい雰囲気に皆どこか安心したのか、嬉しいのか様々だった。
ヒュウガからのバトルの申し込みに嬉しそうに返事をする。へなちょこだったら許さない、と言ったものの、へなちょこでも戦えてシスコは嬉しいのかもしれない。
フィニはタブレットを操作し、元々シスコと戦う予定だったブレーダーからヒュウガに変えて、ランクアップバトルを要請した。上は快諾し、そのままメンバーはスタジアムへ移動して、wbba.公認のジャッジマンと、実況の穴見も呼んだ。
目の前にある大きなモニターに穴見が映し出され、ランクアップバトルの軽い概要を話す。
ランクアップバトルにてバトルに勝利するとポイントが貰え、それを貯めてA級に昇格するという簡単なシステム。
審判の合図で2人はベイをランチャーにセットし、体勢をとる。
「集中だー!!」
ヒカルが出してきたのは特訓に使ったシスコお面だ。
「おーー!打倒!シスコ・カーライルー!!」
ヒュウガにとっては応援の1つなのかもしれない。ヒュウガはそのお面を見て、視線をスタジアムに戻すと両頬を2回叩いて、集中力を高める。
ヒュウガが集中力を高め始めると、彼の周りから赤いオーラが現れたような気がして、レジェンド一同はそのオーラを見逃さなかった。
「レディ、セット!」
「「3、2、1……ゴーーシュート!!!」」
すると、ヒュウガのランチャーから赤い火花が飛び出た!いつも以上に重たい音が響き、スタジアムを走り始める。
いつも1人だけ出なかったヒュウガのランチャーから火花が出たことに皆驚き、レジェンド達は成長を喜び、ボンバーズは感極まっていた。
「そのスパーキングシュート、本物か見せてもらうぜ!」
「ギュンギュンだー!!」
カースサタンがセンターを陣取ったところを、ハイペリオンが勢いよくぶつかりに行く。ハイペリオンのアッパー刃がサタンに当たり、軽く飛ばされかけたが、サタンにとってはジャブ程度の攻撃。ユニバースドライバーで回転を回復させて、ドライバーを傾けさせると、一気にハイペリオンへ反撃。サタンを追い込むはずが、逆に追い込まれてしまう。
サタンの必殺技、「ユニバースドリフト」で、サタンがカウンター攻撃を狙う――が、ハイペリオンのエクシードドライバーが傾き、サタンの攻撃を上手く受け流し、ハイペリオンはサタンの猛攻から逃れることができた。
「ガッキガキだーーッ!!ハイペリオーーン!!!」
ヒュウガとハイペリオンの強い共鳴が赤い火花となり、炎となり、ベイが真っ赤に燃え盛る。そこからハイペリオンのアバターが現れた。
「スーパーストライクッッ!!」
エクシードドライバーの軸先にあるラバーが押し込まれ、一気に加速しサタン目掛けてぶつかると、一瞬にしてサタンはバーストされる。
ヒュウガが初めてシスコに完全勝利を決めたのだ。
「実に面白い試合だったよ!」
「ああ、お前が送ってくれた写真のおかげでより楽しめた。」
「ルカは写真“だけ”は上手いからな」
「だけってなんだよ!ベイブレードもそこそこ出来るからな!?」
「何回かヒュウガ達には勝ってるからな!」
「それにしてもアイツらは今後もっとすごい革命を起こすかもしれないよ。」
レジェンド達がお互い顔を見合せ、今後のベイブレード界を夢描く。
この革命的事態にボンバーズ一同大喜びし、ヒュウガに飛びつく。
まだポイントを獲得して居ないソーチョーはヒュウガにさらにライバル心を燃やす。
あんなへなちょこなヒュウガに負け、歯を食いしばり睨みつけていると、ヒュウガから再バトルの申し込みをされた。
「調子に乗りやがって……っ!叩きつ――」
「次は俺だ!」
「俺だ!」
「おーれーだー!!」
間から割って入ってきたヒカルが次のバトルを申し込むがヒュウガも道を譲らず、そのままいつものように喧嘩が始まる。
「………お前ら………俺の話を聞けーーーーーッッ!!!!!!!!」