第1章 これがスパーキングベイだ!
あの後、ヒュウガはエルサントのトレセンのベンチに座り、ハイペリオンに話しかけていた。
自分の信じた戦い方をしてもフリーはやはり強く、勝てなかった。1つになって戦ったはずなのに。
確かにあの試合は新人ブレーダーにしては凄まじく驚きの連続の試合だった。
「くっ……どうやったら勝てるんだーーーーっっ!!!!」
一方、試合に完全勝利したフリーは森の中の特訓場で1人、ファブニルを回していた。表情はいつもと変わらない無表情で何を考えているか分からないような顔。ただ一点を見つめているフリーに遠くからバルトとフィニがやってくる。
「大丈夫か?」
「大丈夫って、なにが。」
「ヒュウガとのバトル、なんか変だったぞ。」
「ヒュウガに眠る力が、“シュウ”の教え子に似ていたんだろう?」
「シュウの教え子?」
バルトが首をかしげ、フィニを見る。彼女はNYブルズのオーナー。そこに在籍しているブレーダーは全て知っている。さらに、身内である双子の弟「紅シュウ」の教え子なら知っていないと言うことは絶対ないだろう。
「シュウから話は聞いているし、私も何度か会った事がある。あの子……「レーン」にはよく手を焼いていると、アイツがな。フリーに勝った時もヒュウガと似たようなオーラを出していたんだろうか……。」
「……うん、でも紅シュウはこうとも言ってたよ。「レーンは今のベイブレードを変えるかもしれない」って。」
フリーに言ったあの時のシュウは、誰よりも真剣で、真面目で、鋭かった。きっと、彼の過去が人生を動かし、そして未来ある子ども達の逸れかけている道を正してやろう、というシュウなりの優しさもあるのかもしれない。
フィニは顎に手をやりしばらく考える素振りを見せる。そこでフィニはハッとした顔になる。
(ヒュウガのとレーンのがもし、全く同じだったら本当のレーンの光は……温かくて優しいんじゃないのか………?)
「……フィニ?」
「っ、なんでもない。練習中にすまなかった、フリー。また明日。ちゃんとベッドで寝るんだぞ。」
「そういうキミは夜は声は小さくね」
「……っ、は、はぁ……っ!?」
***
「シュウの教え子か……フィニはよく知ってるんだよな?」
「よく、と言うほどでもないが……シュウが頭を悩ませていたし、彼の実力はニューヨークでの公式大会でよく見ていた。」
「そうなのか……」
「出てこいっ、出てこい!!ヘリオース!!」
バルトとフィニが街中を歩いていると街中にあるスタジアムでシュートを放ち、ヘリオスを呼びかけているヒカルを見つけている。
ヒュウガが言っていた「ハイペリオンが目の前に現れた。」という言葉を聞いて、自分にも出せると思ったのだろう。
何度打ってもすぐに止まってしまうヘリオス。ヒカルは一筋の汗を垂らしヘリオスを再びランチャーにセットし構えるが、手に変な力が入ってしまっている。
「力が入りすぎだ」
「……っ」
「……?」
ヒカルは暗い顔をし「実は…」と話を持ちかける。近くの階段に3人が座ると、ヒカルはポツリ、バルト達に話す。
「2人は、それぞれのベイと会ったことある?」
「どういうことだ?」
「ヴァルキリーとプロメテウスに会ったことあるか?ということか?」
「うん……。ヒュウガはハイペリオンに会ったって……目の前に会ったって……そんなこと、あるのかな……」
「ふふ、ハイペリオンを近くに感じた、って事だな。」
「えっ……?」
「それがベイとの絆だ!」
バルトは満面の笑みでヒカルを見る。共鳴をすればするほど、相棒 が隣にいるように感じて、より楽しくより熱いバトルになる。
ベイとの間に本当の絆が出来た時、自分達は最高に強くなれる。
「俺にも出来るかな……」
「ベイブレードは好きか?」
「えっ……あ、はい……。」
「なら、大丈夫だな。」
「ああ!なぁ、ヒカル、バトルしようぜ!」
バルト達はランチャーを構えて、ベイを放つ。勢い良くお互いぶつかり合い、ラッシュやカウンター、様々な戦いが繰り広げられていた。ヒカルから流れる汗がいつもより輝いて見えた。
翌朝、BCソルの宿舎から朝日兄弟の驚きの声が響いた。着替え途中のヒカルと、いまさっき起きたんだろうのヒュウガは部屋に来たクミチョーから「日本に帰国する」と聞き、目を点にする。
「今日までだって言っといただろ?」
「じゃあ、もうフリーと出来ないのか?」
「負けっぱなしじゃねーか!こんなんで帰れねーよ!」
「レジェンドの強さは分かったろ?それで十分だ」
「いやだ!あと1日!1日だけでいいから…っ!」
「もっとフリーとしたいんだ〜っ!」
「「クミチョ〜〜〜ッッ!!」」
ウルウル、キラキラ。2人はおもちゃをねだる小さな子どものようにクミチョーを見つめるが、クミチョー2人に「ワガママ言うんじゃねぇ!」と怒鳴りつけた。まるで親子の会話のように繰り広げたが、ヒュウガ達は仕方なく帰り支度することにした。
「あーあ、帰るのかぁ。」
「もっとフリーとバトルしたかったなぁー!」
入れたくないけど仕方なく入れている荷物をリュックに詰めながら2人がブツブツと会話していると、コンコン、とドアをノックする音がした。
ドアは空いていたので普通にそちらの方に顔を向けると、バルトとフリーが立っていた。
「お前ら!帰る前にタッグバトルやるぞ!」
場所をエルサントに移り、4人はタッグバトルの準備をする。突然の事でよく分からないことが起きているが、順を追って説明する。
昨日の夜、フリーの所にバルトがやってきて、突然一言。
「明日タッグバトルやるぞ!場所はエルサントだ!」
「……相手は?」
「ヒュウガとヒカルだ!お前はヒュウガとタッグを組んでもらうからな!じゃあな!」
たったこれだけでバトルが決まってしまったのである。
ヒカルは真剣な顔でスタジアムを見つめたあと、バルトからアドバイスを貰う。
――全力で戦えば必ずベイは応えてくれる。
ヒカルはその言葉を聞き大きく頷くとバルトとスタジアムに向かった。
反対側ではヒュウガがフリーとタッグを組めて目を輝かせながら喜んでいた。
「ガンガン行っていいか?!」
「……すきにすれば?」
フリーはいつもの顔で答えると、じと、とバルトの方を見る。この戦いにバルトがなんの意味を込めているのか。何も考えずにヒカル達にバトルさせたいのか。フリーは見つめるだけでバルトの考えは全く分からない。
お互いスタジアムに立つとそれぞれランチャーを構えた。
審判の合図で4人は声を揃え、一斉にベイを放った。4人とも強烈なスパーキングシュートを観客に魅せ、重たいベイの音が4つ、スタジアムに落ちる。
ファーストアタックはハイペリオン。いつものように何も考えなしに勢い良くヴァルキリーと接触したが、すぐに飛ばされバーストされてしまった。
「いきなりーーー!?」
「ヘリオス!!」
「ファブニル!!」
ヘリオスもファブニルと衝突し、一瞬にしてやられてしまった。
これではタッグバトルの意味が無く、ただフリーとバルトの戦い見ているだけだ。
「ミラージュクロー!」
「ブレイブソード!」
2機の刃が大きく振りかざし、お互いにぶつかると、大きく飛ばされ、同時にスタジアムの場外に落ちてしまった。
この場合、同時オーバーフィニッシュ、ドローという判定になる。
ファブニルの実力を身に染みて感じているバルトとは反対に、一瞬にしてバーストされた朝日兄弟の表情は曇っていた。
セカンドバトル。再び4人は審判の合図で声を揃え、一斉にベイを放つ。
同じようにハイペリオンがヴァルキリーにアタックしていく。正面からではなく、後ろから。大きく飛ばされたものの、場外に出ることなく、スタジアムの壁をバウンドさせ、勢いを取り戻していく。
「なっ!!」
「キミも行くよ。」
「えっ!」
ファブニルのラバー刃がハイペリオンに強く当たり、ハイペリオンはそのまま加速しヴァルキリーにぶつかっていき、鍔迫り合いが起こる。しばらくお互いぶつかり合うが、ヴァルキリーのパワーに負け、ハイペリオンは吹き飛ばされバースト。
「まーーたーーー!?」
先程の試合と同じようにファブニルもヘリオスにアタックし、バーストを狙うが、ヘリオスはスタジアムの壁に助けられ、ファブニルの攻撃を耐える。
ゾーンドライバーを加速させ、ファブニルに連続アタック!ヘリオスのパワーはファブニルにも負けてないほど強く、どんどんファブニルを追い込んでいる。
(昨日とちがう……。)
フリーはふと、バルトを見ると、バルトはフリーの目線に気づき、ニカッと笑った。それだけで、バルトが今回のバトルの目的を理解し、フリーは小さく微笑む。
「でも、負けないよ。」
フリーが彼の名を叫ぶと黄色い稲妻が走り、そこからファブニルのアバターが現れる。
ファブニルの必殺技「ミラージュクロー」がヘリオスに向かって行く。
「まだだっ!終わらせるもんかーッ!!」
「ああ、勝負はこっからだ。」
バルトでもフリーでも誰でもない声。だがその声はどこかで聞いたことがあって、温かい感じかした。
ヒカルはようやく、ヘリオスの声が、姿が見えた気がした。ヒカルの後ろには今、頼れる相棒 が居る。それだけでなんと頼もしいのだろう。
ヒカルが彼の名を叫ぶと青く猛るような炎からヘリオスのアバターが現れた。
「キングストライク!!」
強い共鳴をしている2機がぶつかり、鍔迫り合いが起こる。ヒカルはファブニルの強さに押し負けそうになるが、ヘリオスの後ろから、ヴァルキリーが、バルトが助けに来たのだ。
ヴァルキリーがブレイブソードでファブニルを当てると、そのままファブニルは場外に飛ばされ、オーバーフィニッシュでバルトとヒカルの勝利となった。
尻もちをついて息を整えているヒカルにバルトは目線を合わせて、
「やったな、ヒカル。出来たんだろ?絆!」
いつものように笑って見せた。
「ヒカルー!すっげーよヒカル!」
ヒュウガはヒカルの所に寄り、手を差し伸べヒカルを起き上がらせるとブンブンと手を振って「革命、革命だ!」と喜んでいた。
スタジアムから回収したヘリオスをヒュウガからヒカルへと返すとヒカルはヘリオスを見つめる。
「絆……」
「絆?」
「へへっ、でも本当の絆を築くのはこれからだ。」
兄弟は顔を見合せ、元気よく返事をする。新しい若芽のような2人をフリーは眺めていた。このふたりはこれからもっと強くなる予感がする。そんな気がした。
自分の信じた戦い方をしてもフリーはやはり強く、勝てなかった。1つになって戦ったはずなのに。
確かにあの試合は新人ブレーダーにしては凄まじく驚きの連続の試合だった。
「くっ……どうやったら勝てるんだーーーーっっ!!!!」
一方、試合に完全勝利したフリーは森の中の特訓場で1人、ファブニルを回していた。表情はいつもと変わらない無表情で何を考えているか分からないような顔。ただ一点を見つめているフリーに遠くからバルトとフィニがやってくる。
「大丈夫か?」
「大丈夫って、なにが。」
「ヒュウガとのバトル、なんか変だったぞ。」
「ヒュウガに眠る力が、“シュウ”の教え子に似ていたんだろう?」
「シュウの教え子?」
バルトが首をかしげ、フィニを見る。彼女はNYブルズのオーナー。そこに在籍しているブレーダーは全て知っている。さらに、身内である双子の弟「紅シュウ」の教え子なら知っていないと言うことは絶対ないだろう。
「シュウから話は聞いているし、私も何度か会った事がある。あの子……「レーン」にはよく手を焼いていると、アイツがな。フリーに勝った時もヒュウガと似たようなオーラを出していたんだろうか……。」
「……うん、でも紅シュウはこうとも言ってたよ。「レーンは今のベイブレードを変えるかもしれない」って。」
フリーに言ったあの時のシュウは、誰よりも真剣で、真面目で、鋭かった。きっと、彼の過去が人生を動かし、そして未来ある子ども達の逸れかけている道を正してやろう、というシュウなりの優しさもあるのかもしれない。
フィニは顎に手をやりしばらく考える素振りを見せる。そこでフィニはハッとした顔になる。
(ヒュウガのとレーンのがもし、全く同じだったら本当のレーンの光は……温かくて優しいんじゃないのか………?)
「……フィニ?」
「っ、なんでもない。練習中にすまなかった、フリー。また明日。ちゃんとベッドで寝るんだぞ。」
「そういうキミは夜は声は小さくね」
「……っ、は、はぁ……っ!?」
***
「シュウの教え子か……フィニはよく知ってるんだよな?」
「よく、と言うほどでもないが……シュウが頭を悩ませていたし、彼の実力はニューヨークでの公式大会でよく見ていた。」
「そうなのか……」
「出てこいっ、出てこい!!ヘリオース!!」
バルトとフィニが街中を歩いていると街中にあるスタジアムでシュートを放ち、ヘリオスを呼びかけているヒカルを見つけている。
ヒュウガが言っていた「ハイペリオンが目の前に現れた。」という言葉を聞いて、自分にも出せると思ったのだろう。
何度打ってもすぐに止まってしまうヘリオス。ヒカルは一筋の汗を垂らしヘリオスを再びランチャーにセットし構えるが、手に変な力が入ってしまっている。
「力が入りすぎだ」
「……っ」
「……?」
ヒカルは暗い顔をし「実は…」と話を持ちかける。近くの階段に3人が座ると、ヒカルはポツリ、バルト達に話す。
「2人は、それぞれのベイと会ったことある?」
「どういうことだ?」
「ヴァルキリーとプロメテウスに会ったことあるか?ということか?」
「うん……。ヒュウガはハイペリオンに会ったって……目の前に会ったって……そんなこと、あるのかな……」
「ふふ、ハイペリオンを近くに感じた、って事だな。」
「えっ……?」
「それがベイとの絆だ!」
バルトは満面の笑みでヒカルを見る。共鳴をすればするほど、
ベイとの間に本当の絆が出来た時、自分達は最高に強くなれる。
「俺にも出来るかな……」
「ベイブレードは好きか?」
「えっ……あ、はい……。」
「なら、大丈夫だな。」
「ああ!なぁ、ヒカル、バトルしようぜ!」
バルト達はランチャーを構えて、ベイを放つ。勢い良くお互いぶつかり合い、ラッシュやカウンター、様々な戦いが繰り広げられていた。ヒカルから流れる汗がいつもより輝いて見えた。
翌朝、BCソルの宿舎から朝日兄弟の驚きの声が響いた。着替え途中のヒカルと、いまさっき起きたんだろうのヒュウガは部屋に来たクミチョーから「日本に帰国する」と聞き、目を点にする。
「今日までだって言っといただろ?」
「じゃあ、もうフリーと出来ないのか?」
「負けっぱなしじゃねーか!こんなんで帰れねーよ!」
「レジェンドの強さは分かったろ?それで十分だ」
「いやだ!あと1日!1日だけでいいから…っ!」
「もっとフリーとしたいんだ〜っ!」
「「クミチョ〜〜〜ッッ!!」」
ウルウル、キラキラ。2人はおもちゃをねだる小さな子どものようにクミチョーを見つめるが、クミチョー2人に「ワガママ言うんじゃねぇ!」と怒鳴りつけた。まるで親子の会話のように繰り広げたが、ヒュウガ達は仕方なく帰り支度することにした。
「あーあ、帰るのかぁ。」
「もっとフリーとバトルしたかったなぁー!」
入れたくないけど仕方なく入れている荷物をリュックに詰めながら2人がブツブツと会話していると、コンコン、とドアをノックする音がした。
ドアは空いていたので普通にそちらの方に顔を向けると、バルトとフリーが立っていた。
「お前ら!帰る前にタッグバトルやるぞ!」
場所をエルサントに移り、4人はタッグバトルの準備をする。突然の事でよく分からないことが起きているが、順を追って説明する。
昨日の夜、フリーの所にバルトがやってきて、突然一言。
「明日タッグバトルやるぞ!場所はエルサントだ!」
「……相手は?」
「ヒュウガとヒカルだ!お前はヒュウガとタッグを組んでもらうからな!じゃあな!」
たったこれだけでバトルが決まってしまったのである。
ヒカルは真剣な顔でスタジアムを見つめたあと、バルトからアドバイスを貰う。
――全力で戦えば必ずベイは応えてくれる。
ヒカルはその言葉を聞き大きく頷くとバルトとスタジアムに向かった。
反対側ではヒュウガがフリーとタッグを組めて目を輝かせながら喜んでいた。
「ガンガン行っていいか?!」
「……すきにすれば?」
フリーはいつもの顔で答えると、じと、とバルトの方を見る。この戦いにバルトがなんの意味を込めているのか。何も考えずにヒカル達にバトルさせたいのか。フリーは見つめるだけでバルトの考えは全く分からない。
お互いスタジアムに立つとそれぞれランチャーを構えた。
審判の合図で4人は声を揃え、一斉にベイを放った。4人とも強烈なスパーキングシュートを観客に魅せ、重たいベイの音が4つ、スタジアムに落ちる。
ファーストアタックはハイペリオン。いつものように何も考えなしに勢い良くヴァルキリーと接触したが、すぐに飛ばされバーストされてしまった。
「いきなりーーー!?」
「ヘリオス!!」
「ファブニル!!」
ヘリオスもファブニルと衝突し、一瞬にしてやられてしまった。
これではタッグバトルの意味が無く、ただフリーとバルトの戦い見ているだけだ。
「ミラージュクロー!」
「ブレイブソード!」
2機の刃が大きく振りかざし、お互いにぶつかると、大きく飛ばされ、同時にスタジアムの場外に落ちてしまった。
この場合、同時オーバーフィニッシュ、ドローという判定になる。
ファブニルの実力を身に染みて感じているバルトとは反対に、一瞬にしてバーストされた朝日兄弟の表情は曇っていた。
セカンドバトル。再び4人は審判の合図で声を揃え、一斉にベイを放つ。
同じようにハイペリオンがヴァルキリーにアタックしていく。正面からではなく、後ろから。大きく飛ばされたものの、場外に出ることなく、スタジアムの壁をバウンドさせ、勢いを取り戻していく。
「なっ!!」
「キミも行くよ。」
「えっ!」
ファブニルのラバー刃がハイペリオンに強く当たり、ハイペリオンはそのまま加速しヴァルキリーにぶつかっていき、鍔迫り合いが起こる。しばらくお互いぶつかり合うが、ヴァルキリーのパワーに負け、ハイペリオンは吹き飛ばされバースト。
「まーーたーーー!?」
先程の試合と同じようにファブニルもヘリオスにアタックし、バーストを狙うが、ヘリオスはスタジアムの壁に助けられ、ファブニルの攻撃を耐える。
ゾーンドライバーを加速させ、ファブニルに連続アタック!ヘリオスのパワーはファブニルにも負けてないほど強く、どんどんファブニルを追い込んでいる。
(昨日とちがう……。)
フリーはふと、バルトを見ると、バルトはフリーの目線に気づき、ニカッと笑った。それだけで、バルトが今回のバトルの目的を理解し、フリーは小さく微笑む。
「でも、負けないよ。」
フリーが彼の名を叫ぶと黄色い稲妻が走り、そこからファブニルのアバターが現れる。
ファブニルの必殺技「ミラージュクロー」がヘリオスに向かって行く。
「まだだっ!終わらせるもんかーッ!!」
「ああ、勝負はこっからだ。」
バルトでもフリーでも誰でもない声。だがその声はどこかで聞いたことがあって、温かい感じかした。
ヒカルはようやく、ヘリオスの声が、姿が見えた気がした。ヒカルの後ろには今、頼れる
ヒカルが彼の名を叫ぶと青く猛るような炎からヘリオスのアバターが現れた。
「キングストライク!!」
強い共鳴をしている2機がぶつかり、鍔迫り合いが起こる。ヒカルはファブニルの強さに押し負けそうになるが、ヘリオスの後ろから、ヴァルキリーが、バルトが助けに来たのだ。
ヴァルキリーがブレイブソードでファブニルを当てると、そのままファブニルは場外に飛ばされ、オーバーフィニッシュでバルトとヒカルの勝利となった。
尻もちをついて息を整えているヒカルにバルトは目線を合わせて、
「やったな、ヒカル。出来たんだろ?絆!」
いつものように笑って見せた。
「ヒカルー!すっげーよヒカル!」
ヒュウガはヒカルの所に寄り、手を差し伸べヒカルを起き上がらせるとブンブンと手を振って「革命、革命だ!」と喜んでいた。
スタジアムから回収したヘリオスをヒュウガからヒカルへと返すとヒカルはヘリオスを見つめる。
「絆……」
「絆?」
「へへっ、でも本当の絆を築くのはこれからだ。」
兄弟は顔を見合せ、元気よく返事をする。新しい若芽のような2人をフリーは眺めていた。このふたりはこれからもっと強くなる予感がする。そんな気がした。
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