このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第一章 小さなマシンとの出会い

3人はキタジマに来ると早速バンはアキレスのリペアを始める。工具セットを並べて丁寧に修理していく。その姿をアミとユズはしっかりと見つめる。店長と沙希もそれを微笑ましそうに見ていた。そして修理が終わると工具を仕舞う。

「ようやく様になったな、バン」
「うん。…でも、俺がコイツを手に入れられたのはカズのおかげなんだ…」

3人は顔を見合わせ、あの時のカズの顔を思い出す。あんなに悲しそうな顔をしているカズ、バンとアミは見た事がないからだ。カズの事をよく知らないユズでさえも彼の事を心配している。

「それより、ユズ。ようやく友達が出来たんだな」
「えっ、いや…その……御二方とカズ殿には助けてもらったのでな…お友達という訳では…」
「何言ってるのユズ。ユズはもう俺達の友達だろ?」
「そうよユズ、私達は友達よ」
「と、友達……っ!」

ユズの髪の毛の奥に隠れた瞳が輝かしく見えたような気がした。嬉しそうな顔をしてる彼女に店長がよしよしと頭を撫でた。ユズは恥ずかしそうにしながらも「えへへ」と笑いを見せた。

「ユズにとって初めての友達ね!私達」
「そうだな」
「は、はいですな!“ミソラタウン初”友達ですな!」
「それじゃあもう夜も遅いから、家に帰って明日に備えろよ」
「はい!じゃあまた明日、店長!沙希さん!」

店を出るとアミが手を振りバンとユズと別れた。そしてユズも帰る方向を指さし、帰ろうとするとバンもその方向らしく、一緒に帰ることになった。
初めての友達で何話せばいいか分からないユズ。自分のリュックをしっかりと背負い何も話せずにいるとバンが優しく話しかける。

「ユズってすごいよな、目が髪で隠れてもしっかりとLBXの動きを見て反応してるんだから。」
「そ、そうですかな…拙者、ずっとこの髪型だから見据える力が付いたのかもしれませんな!」
「そうだ!あの時聞けなかったけどあのスワンってLBX、見た事ないけど一点物?」
「いや、このLBXはクリスター・イングラム社製ので海外に住んでる両親から貰ったものですぞ。元は白鳥のように白いデザインをしてたのですが、拙者が黒色にカスタマイズしたんですぞ」
「そうなんだ!早くて強いから一点物かと思ったよ」
「でも、コアパーツはしっかり1から考えそのバトルに合わせて1番強いのをカスタマイズしてるんですぞ!……まあ、あのバトルが初めてなんですがな…」

2人が仲良さそうに歩いているとバンの家が見える。バンは家の前で止まるとユズも止まった。別れの挨拶をしてくれるのだろう、と思ってバンはにこりと笑って自分の家を指さした。

「じゃあねユズ。俺、ここだから」
「えっ…拙者、ここの家なんですぞ…」

ユズが指さしたのはバンの向かいの家。今まで知らなかった2人。2人は長い沈黙の後、大きな声を出して驚いた。

「俺の家とユズの家、お向かいさんだったの!?」
「せ、拙者も初めて知りましたぞ…!ま、まさか初めてのお友達の家がお向かいにあったとは…!!」

2人は互いの顔を見ると次第に笑いが込み上げてきた。初めて出会った2人がまさかの向かいの家だったこと。バンは以前から真理絵に「向かいに可愛い女の子がいる」とは聞いてはいたが、まさかユズの事とは思ってなかったしユズもいつも良くしてくれるお向かいの「山野さん」が初めての友達の家だったとは思ってなかった。
すると山野宅の扉が開いた。そこには真理絵が居て彼女は優しく挨拶をした。

「バン、何してるの?あら、ユズちゃんじゃない。どうしたの?2人して」
「あ、母さん!それは後で話すよ!…じゃあねユズ、またあした!」
「…!またあしたですぞ!バン殿!」

2人は手を振りそれぞれの家に入っていった。
11/11ページ
スキ