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甘すぎるふたり スビン

「スビン、そんなに寄ったらテレビ見えないって。」
「見えなくてもいい。ヌナがいるし。」
「……はいはい、甘えん坊。」

ソファの上。
映画の続きみたいに、スビンは私の肩にもたれかかっていた。
柔らかいパーカーの生地越しに感じる温もりが、
じんわりと伝わってくる。

「ねぇ、さっきカフェで言った言葉。」
「ん?」
「“好きが増える”ってやつ。まだ増えてる?」
「うん。今も更新中。」

「更新?」
「ヌナが息するたびに、好きが1%増える感じ。」
「それ、1時間で何%になるの。」
「100%超える。だから困ってる。」

そう言って、彼は腕を伸ばして私を引き寄せた。
体の中心が重なる。
胸の鼓動が、まるで同じテンポで鳴ってるみたい。

「スビン……ちょっと近い。」
「ちょっとじゃない。もっと近く。」

彼の声が、いつもより低くて穏やか。
でもその中に、確かな愛しさが滲んでいた。

「今日、ヌナと一緒にいた時間、
どこを切り取っても好きだった。」
「映画の時も? ポップコーンこぼしたのに?」
「それも好き。ヌナが笑ってたから。」

ソファに頭を預けながら、彼は私の髪を指で梳く。
その手つきが優しすぎて、目を閉じると時間が溶けていく。

「……スビン、もし時間止められるなら、
今がいいね。」
「止めなくていい。俺がゆっくりにする。」

そして彼は額をそっと合わせて、囁いた。
「だって、こうしてる間、世界のスピードなんていらない。」

静寂が流れる。
でも、その静寂が心地いい。
彼の指先が髪を撫で、呼吸が重なるたびに、
“好き”が確かに形になる。

「ねぇスビン。」
「ん?」
「私も更新中だよ。」
「……何が?」
「好きのパーセンテージ。」

彼はくしゃっと笑って、
「競争しようか?」と囁いた。

「勝った方の願い、なんでも叶える。」
「負けたら?」
「ずっと、好きって言われ続ける。」

「じゃあ、負けてもいいかも。」
「俺も。」

その瞬間、スビンが笑いながら抱きしめて、
「やっぱり君はヌナとは、勝負にならない。」
と小さく呟いた。

ふたりの間に流れる時間は、
世界のどの音よりも静かで、あたたかかった。
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