甘すぎるふたり スビン
「ポップコーン、塩味でいい?」
「うん、でもキャラメルも一口ちょうだい。」
「もう、それ最初から自分で頼めばいいのに。」
映画館の売店前。
スビンはキャップを深くかぶって、
マスクの上からでも分かるくらい、
笑いながら私の髪を軽く整えてくれた。
「せっかくだからデートっぽくしたいじゃん。」
「それ、十分デートっぽいよ。」
「じゃあ、もっと“恋人っぽく”してもいい?」
「……え?」
返事をする前に、スビンの指が私の小指に絡まった。
そのまま映画館の中へ。
暗闇に入る瞬間、彼の声が少し低くなる。
「ほら、こっち。」
案内されるまま、席に座る。
照明が落ち、スクリーンが光を放ち始める。
けれど――スビンの視線は、ずっと私の横顔にあった。
「スビン、映画、始まってるよ。」
「うん、見てる。」
「……スクリーンを。」
「俺はヌナを。」
小さく囁く声が耳に落ちて、
そのまま鼓膜の奥までくすぐられる。
「映画より、こっちの方が面白い。」
「なにそれ。」
「だってさ、ヌナの表情、秒ごとに変わるから。」
彼の指先が、そっと私の手の甲をなぞる。
暗いから見えないのに、
まるで全部見透かされてるみたいで、息が止まりそう。
映画のクライマックスで、
ちょっと切ないシーンが流れる。
思わず小さくため息をついた瞬間――
スビンの手が、ぎゅっと私の指を包み込んだ。
「泣かないで。俺がいる。」
「……泣いてないもん。」
「じゃあ、泣きそうな顔。」
スクリーンの光が、彼の横顔を照らす。
その優しさが眩しくて、
映画の物語よりもずっと深く、
心が動いた。
エンドロールが流れ出しても、
彼の手は離れなかった。
「スビン、終わったよ。」
「うん。でも、このままがいい。」
「どうして?」
「ヌナが俺の手、離せなくなるまで。」
そう言って、彼は笑う。
その笑顔が暗闇の中でいちばん明るかった。
「うん、でもキャラメルも一口ちょうだい。」
「もう、それ最初から自分で頼めばいいのに。」
映画館の売店前。
スビンはキャップを深くかぶって、
マスクの上からでも分かるくらい、
笑いながら私の髪を軽く整えてくれた。
「せっかくだからデートっぽくしたいじゃん。」
「それ、十分デートっぽいよ。」
「じゃあ、もっと“恋人っぽく”してもいい?」
「……え?」
返事をする前に、スビンの指が私の小指に絡まった。
そのまま映画館の中へ。
暗闇に入る瞬間、彼の声が少し低くなる。
「ほら、こっち。」
案内されるまま、席に座る。
照明が落ち、スクリーンが光を放ち始める。
けれど――スビンの視線は、ずっと私の横顔にあった。
「スビン、映画、始まってるよ。」
「うん、見てる。」
「……スクリーンを。」
「俺はヌナを。」
小さく囁く声が耳に落ちて、
そのまま鼓膜の奥までくすぐられる。
「映画より、こっちの方が面白い。」
「なにそれ。」
「だってさ、ヌナの表情、秒ごとに変わるから。」
彼の指先が、そっと私の手の甲をなぞる。
暗いから見えないのに、
まるで全部見透かされてるみたいで、息が止まりそう。
映画のクライマックスで、
ちょっと切ないシーンが流れる。
思わず小さくため息をついた瞬間――
スビンの手が、ぎゅっと私の指を包み込んだ。
「泣かないで。俺がいる。」
「……泣いてないもん。」
「じゃあ、泣きそうな顔。」
スクリーンの光が、彼の横顔を照らす。
その優しさが眩しくて、
映画の物語よりもずっと深く、
心が動いた。
エンドロールが流れ出しても、
彼の手は離れなかった。
「スビン、終わったよ。」
「うん。でも、このままがいい。」
「どうして?」
「ヌナが俺の手、離せなくなるまで。」
そう言って、彼は笑う。
その笑顔が暗闇の中でいちばん明るかった。
