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からかい上手な歳下彼氏 ヨンジュン

ヌナからの未読が、三件。
返せばいいだけなのに、指が動かなかった。

練習室の鏡越しに映る自分の顔は、疲れていて、正直ちょっと情けなかった。
グループのカムバック前で、連日深夜までの振り付け。
SNSで笑顔を見せるたび、どこかで彼女がそれを見てると思うと、嬉しいはずなのに胸が重くなる。

“俺、ちゃんと彼氏できてるのかな。”
そんな考えが頭をかすめるたび、メッセージを送る勇気が少しずつ削れていった。

ヌナはきっと、いつも通り優しく返してくれる。
でも、自分の中の“余裕のない俺”を見せるのが怖かった。
彼女は大人で、綺麗で、いつも落ち着いていて。
だからこそ、子どもみたいな弱音を見せたくなかった。

——“ヌナ、俺、今日も会えそうにない。”

送信ボタンを押したあと、胸がきゅっと締めつけられた。
たったそれだけの文面に、どれだけの「会いたい」を隠しただろう。

その夜、ベッドに倒れ込みながら、ふとSNSを開くと、
彼女のフォロワーが増えていた。
どこかの誰かが、「綺麗ですね」ってコメントしてる。
画面を見て、何も言えずにスマホを伏せた。

“俺がちゃんと好きだって言わなきゃ、他の誰かが言うんだろうな。”
分かってるのに、全てが怖かった。
自分の仕事も、立場も、彼女の時間も──
全部、壊してしまいそうで。

でも、そのまま過ごすうちに、気づいた。
“怖い”のは失うことじゃなくて、
“伝えないまま離れていくこと”だった。

練習が終わった夜、体が勝手に動いた。
タクシーに飛び乗って、彼女の家の近くに着いたとき、
胸の鼓動が耳の奥で鳴っていた。

“もし、もう会いたくないって言われたらどうしよう。”
そんな不安を抱えたまま、インターホンを押した。

ドアが開いた瞬間、
マフラーの影から覗けば、ヌナの顔に、涙の跡が見えた。
その一瞬で、全部わかった。
どれだけ彼女を放っておいたのか。どれだけ心配させたのか。

「このままじゃ嫌われる気がして…怖かった」
声が震えた。
でも、その言葉を出した瞬間、ようやく息ができた。

ヌナが何も言わずに、手を伸ばしてくれた。
冷たい指先を包みながら、心の奥で何度も誓った。

——今度こそ、ちゃんと伝えよう。
「好き」を、言葉でも、態度でも。

夜の街は静かだった。
でも、二人の間に流れる鼓動だけが、確かに温かかった。
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