不器用な柳蓮二
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「えー!名前先輩と柳先輩また同じクラスなんスか!」
「そうなの赤也!信じられないよね!」
昼休み、屋上でテニス部R陣全員揃っていただきますをする。これはもう日課になっていて、誰が何を言わずともみんな屋上に集まるようになっていた。早くついた私は先に赤也の隣を陣取っておいた。何故か私の隣には柳がいるがもういつものことだから気にしないことにする。
「でもなんか羨ましいっス!俺は2年だし…」
「あがやぁっ!!!私留年する!」
「お前は馬鹿か」
少しだけ寂しそうな表情をした赤也を見てすぐさま私は赤也に抱きついた。なんならほんとに留年してあげたいくらいだ。赤也ならきっとやっていけるとは分かっていても後輩はやはり可愛いもので、手放すのはまだおしい。まだ引退していないのだけれども。
そんな私の気持ちも露知らず柳は私をベリベリっと赤也から離させた。
「赤也のためなら全然留年するのに」
「名前さん中学生は留年しませんよ」
冷静なツッコミ流石です柳生。グッジョブ!
大好きな卵焼きを箸で掴んで口に持っていく。砂糖をたくさん使った卵焼きはとても甘くて美味しい。味わって食べていると隣から熱烈な視線を感じた。赤也である。
食べたそうに卵焼きを見つめるものだから可愛くってしょうがない。「食べたいの?」と聞けば何度も頷いた。お母さん自家製の卵焼きは美味しくて自慢だから折角だし、赤也にもおすそ分け。
「赤也、あーん」
「やりぃ!あーん!」
箸で掴んだ卵焼きを赤也の間抜けに開いた口に持っていく。すると途端に腕が力強くひかれ卵焼きは赤也の口の中ではなく柳の口に吸い込まれていった。
「…ねぇちょっと柳あんた何してんの」
「…少々甘すぎる気がするのだが」
「あんた薄味好きなのになんで食べるのよ」
私の卵焼きが甘いことくらいデータにないのか。嫌、あったらそれはそれで怖いか。
むせてお茶で卵焼きを流し込む柳を見て、どこまでも嫌がらせをするのがこいつは好きだなと思った。赤也はぷりぷりと怒っていて、「先輩!リベンジっす!」と口を開けた。幸いもうひとつ卵焼きは残っていたから今度こそは、と赤也の口に卵焼きを持っていった。
すると、再び腕が引っ張られる。思わず「は」と間抜けな声が漏れた。さっきので甘い卵焼きには懲りたはずなのに、柳は苦しそうなのにどこか嬉しそうにしているように見えた。もしかして柳、ドMなのかな。
「もー!柳先輩!邪魔しないでくださいっすよ!」
「そうだよ柳!私と赤也のイチャイチャタイム減らさないでよー!」
「減らす前にいらないだろう」
柳は、代わりにと自分の弁当の中に入っていた卵焼きを赤也に上げていた。薄味だったそうで赤也は卵焼きは甘くねぇとと嘆いていた。
やっぱり、こいつの考えてることはわからない。