不器用な柳蓮二
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
.
人は誰しも苦手なこと、苦手なもの、苦手な人がいると思う。嫌いにまで至らないのだけれどどうにも好きになれない。そんな感情に経験はあるだろう。
私の場合それがたまたま部活のチームメイトだっただけだ。
「おはよう苗字」
「…おはよ、柳」
「今日も寝癖がついているぞ。この年にもなって恥ずかしくないのか?」
そう、コイツが
正真正銘私が“苦手”な男、柳蓮二である。
「いやまあこういう所も可愛くてゴメンネッ!!」
「お前の寝癖を見て可愛いと思う人の確率0%」
「うるせえだまれ!!」
.
こいつと初めて会ったのは入学式の日だった。たまたま隣の席だったので、友達が早く欲しかった私は笑顔で彼に声をかけた。「わたし苗字名前よろしくね!」と。今思い出しても当たり障りない普通の自己紹介だ。しかし、彼が私に向かって返した言葉は衝撃的だった。
.
「ここまで制服が似合っていない生徒がいるんだな。驚いた。」
.
「ちなみに俺は柳蓮二だ。よろしく」と付け足したように言うとそっぽを向いた。暴言を吐かれてから数秒経つまで私は頭の中が整理できなかった。突然馬鹿にされたことと、その言葉からは到底予想のつかない穏やかそうな微笑みを浮かべる柳蓮二と名乗る少年の顔と、それから怒り。これが頭をぐるぐる回る。
やっと冷静になった私は差し出された手を叩き落として、睨みつけた。
「いきなりなによ!おとこおんな!」
それからはもう喧嘩の日々だった。
幼なじみの雅治に誘われてテニス部のマネージャーに入ってみたのはいいものの、まさかの柳蓮二も同じ部活。お前はどっちかと言うと文化部だろ!!茶道部とかだろ!!と心の底から思ったことを今でも鮮明に覚えている。
マネージャーの仕事にケチをつけたり、私のことを小馬鹿にしたり、それからたまに優しくしてきたり。彼のする行動は本っ当に意味不明。喧嘩や喧嘩や喧嘩を繰り返し気づけば中学三年生になっていた。
「結局3年間同じクラスとかほんとありえない」
「ふむ。たまには気が合うようだな」
「そ う だ ね !!」
フン!と顔を逸らして歩いていく。2人で教室に行く理由もないから早歩きで進み始めたのだが彼が隣を離れることは無い。ついてこなければいいものの、私がどんなにスピードを上げても難なくついてきている。ムカついたので走って教室に向かうと柳も走り出した。
「いや何!?」
「お前が嫌がる顔を見るのは非常に滑稽だ。」
「ただの嫌な奴じゃん!」
私はこいつのことがわからない。
1/11ページ