好みのアイツ
name change
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向日岳人 ↔ ノリの良い子
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突然だが俺には親友がいる。
それは、幼稚舎からの幼なじみでもなく、部活でダブルスを組む相棒でもなく、席が隣で3年間同じクラスの頭の悪そーなオンナ、苗字名前である。
「岳斗おはよー!!」
「はよ!最初はグー!じゃんけんホイ!」
「あっち向いてホイ!!!」
名前は教室のドアを豪快に開けて机に豪快に荷物を置いて、俺に豪快に挨拶をすると、拳を固く握り、振りかぶって豪快にグーをだした。俺はチョキを出していて、名前はこれまた豪快にあっち向いてホイと叫んで人差し指を右に向けた。俺の顔は左を向いていた。
これは俺たちの朝の儀式と呼んでもいいもので、毎朝行っている。負けた方が飲み物を奢るのも毎日の約束。今日はなかなか決着がつかなかったものの、最終的に俺が買った。
「くそくそ岳斗め!」
「俺の真似すんな!」
一通り騒ぎ終わって、名前はようやく席に着いた。財布の中身を確認しつつ、口をとがらせる仕草も毎日見てるもんで、もう見慣れた光景だ。今日で俺の3連勝だから、あまり金が無いのだろう。そして中身がほぼない財布に八つ当たるように鞄に叩き入れた。変なやつだ。
そういえば初めてあった時から変わった奴だった。中等部から転入してきたコイツは最初こそ浮いていたものの直ぐにクラスに馴染んだ。奨学金で通っているそうで、そこらのお嬢様とは雰囲気がどうも違っていた。仲良くなったきっかけだとかどういう経緯だとかは忘れたが、気づいたらコイツには俺。俺にはコイツ。2人でセットになっていた。
ノリが良くて、かなり馬鹿なのに成績はトップ。運動神経は壊滅的になくて、帰宅部で好きな科目は政治・経済。嫌いな食べ物は納豆。俺とは違うところだらけなのにコイツといると楽しくて仕方ない。毎晩メールも沢山しているし、休みがあれば真っ先に誘うのはこいつ。
とにかく、俺にとって必要不可欠な存在になっていた。
_____
「名前、飯行こうぜ」
「岳斗ゴメン!今日忍足くんにご飯誘われちゃってOKしちゃったんだよねー」
「…俺もいちゃダメなのか?」
「わたしに相談があるんだって!」
いつものように名前を昼飯に誘うと、断られた。いつもなら出てくるはずもない侑士の名前に、少しイラッとしてしまった。理由はわからなかい。ただ、名前にとっての特別は俺のはずなのに、侑士を優先してるのには気に食わない。
ここで引き止めるのも、子供のわがままみたいでダサい。宍戸の言葉を借りるなら激ダサだ。俺は仕方なく首を縦にふる。それと同時に侑士が俺たちの教室のドアを開けた。
「名前ちゃん、すまんな。」
「ううん!じゃあ、サラダバー岳斗!」
「それだとセルフサービスのサラダだ!!」
俺のツッコミに「ナイスツッコミやな」と微かに侑士は笑った。2人が去ってから心がぽかんと空いたような気分に陥って、俺は気づいたら2人のあとをおってしまっていた。我ながらかなりキモイ。でも侑士と名前が2人で何を話すのかすごく気になった。
2人がたどり着いたのは屋上。あまり天気が良くないからか誰もいなかった。こっそりと、バレないようにドアの隙間から覗き込んだ。
「_____で、____やから」
(クソクソ!遠くて聞き取れねぇ!)
2人と俺との距離はかなりあって、ところどころしか聞き取れない。だけれど、侑士の言葉に名前が相槌を打つ、時々驚いたり笑ったりしていた。内容がすごく気になる。2人で何の話を、なんの相談をしているのか。
「___やけ____好きやねん」
すき
侑士の口から零れたその言葉だけは、俺の耳にしっかりと届いた。好き?誰が誰を?侑士が、名前を?
そこまで脳が考えたところで、俺は後先考えずに走り出していた、朝の名前のように豪快に屋上のドアを開けて自慢の足で名前たちの所まで全速力で走る。名前の腕を引き、自身の腕を絡めて、侑士を睨みつけて、こう言い放った。
「コイツは!俺のだ!」
俺がそう叫べば、名前も、侑士も、ぽかんと目を見開いて驚いた顔をした。流れる沈黙を破ったのは侑士の笑い声だった。
「あはは!岳斗何勘違いしとんねん」
「は?勘違い?」
「俺は名前ちゃんに、姉貴へのプレゼントの相談しとっただけや」
「じゃあ、好きやねんって言ってたのは」
「姉貴がピアスとか好きやねんって言っただけや」
全て、理解したら、急に身体中が熱くなった。恥ずかしい。これこそ、激ダサだ。早とちりして勝手にから回って、その上名前に告白まがいの事をしてしまった。でもあの時感じたモヤモヤや侑士が告白したと勘違いした時に胸が苦しくなったのも、“親友”が持つべきの“友情”とは程遠いものだった。
クソクソ!自覚しちまったじゃねぇかよ!
中々喋らないものだんだん不安になり、チラリと名前の顔を盗み見た。すると、顔が真っ赤になって、目を見開いて恥ずかしそうに口を手で覆う名前がそこにはいた。
胸がドクンと大きな音を立てて、俺は途端に好きという気持ちが溢れ出した。
「あーーーっ!クソクソ!お前なんつー顔してんだよ!」
「が、岳斗だって顔真っ赤じゃんー!」
「…気づいちまったんだからしかたねぇだろ」
掴んでいた名前の細い腕から手を離し、こんどは手のひらを握る。俺より少し身長が低い名前と目を合わせる。揺れる瞳は同様と照れを表していた。
「これから、俺に惚れさせるから覚悟しとけよ!」
それだけ言い残して屋上から逃げるように去っていった。まだ、頬が熱い。
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突然だが俺には親友がいる。
それは、幼稚舎からの幼なじみでもなく、部活でダブルスを組む相棒でもなく、席が隣で3年間同じクラスの頭の悪そーなオンナ、苗字名前である。
「岳斗おはよー!!」
「はよ!最初はグー!じゃんけんホイ!」
「あっち向いてホイ!!!」
名前は教室のドアを豪快に開けて机に豪快に荷物を置いて、俺に豪快に挨拶をすると、拳を固く握り、振りかぶって豪快にグーをだした。俺はチョキを出していて、名前はこれまた豪快にあっち向いてホイと叫んで人差し指を右に向けた。俺の顔は左を向いていた。
これは俺たちの朝の儀式と呼んでもいいもので、毎朝行っている。負けた方が飲み物を奢るのも毎日の約束。今日はなかなか決着がつかなかったものの、最終的に俺が買った。
「くそくそ岳斗め!」
「俺の真似すんな!」
一通り騒ぎ終わって、名前はようやく席に着いた。財布の中身を確認しつつ、口をとがらせる仕草も毎日見てるもんで、もう見慣れた光景だ。今日で俺の3連勝だから、あまり金が無いのだろう。そして中身がほぼない財布に八つ当たるように鞄に叩き入れた。変なやつだ。
そういえば初めてあった時から変わった奴だった。中等部から転入してきたコイツは最初こそ浮いていたものの直ぐにクラスに馴染んだ。奨学金で通っているそうで、そこらのお嬢様とは雰囲気がどうも違っていた。仲良くなったきっかけだとかどういう経緯だとかは忘れたが、気づいたらコイツには俺。俺にはコイツ。2人でセットになっていた。
ノリが良くて、かなり馬鹿なのに成績はトップ。運動神経は壊滅的になくて、帰宅部で好きな科目は政治・経済。嫌いな食べ物は納豆。俺とは違うところだらけなのにコイツといると楽しくて仕方ない。毎晩メールも沢山しているし、休みがあれば真っ先に誘うのはこいつ。
とにかく、俺にとって必要不可欠な存在になっていた。
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「名前、飯行こうぜ」
「岳斗ゴメン!今日忍足くんにご飯誘われちゃってOKしちゃったんだよねー」
「…俺もいちゃダメなのか?」
「わたしに相談があるんだって!」
いつものように名前を昼飯に誘うと、断られた。いつもなら出てくるはずもない侑士の名前に、少しイラッとしてしまった。理由はわからなかい。ただ、名前にとっての特別は俺のはずなのに、侑士を優先してるのには気に食わない。
ここで引き止めるのも、子供のわがままみたいでダサい。宍戸の言葉を借りるなら激ダサだ。俺は仕方なく首を縦にふる。それと同時に侑士が俺たちの教室のドアを開けた。
「名前ちゃん、すまんな。」
「ううん!じゃあ、サラダバー岳斗!」
「それだとセルフサービスのサラダだ!!」
俺のツッコミに「ナイスツッコミやな」と微かに侑士は笑った。2人が去ってから心がぽかんと空いたような気分に陥って、俺は気づいたら2人のあとをおってしまっていた。我ながらかなりキモイ。でも侑士と名前が2人で何を話すのかすごく気になった。
2人がたどり着いたのは屋上。あまり天気が良くないからか誰もいなかった。こっそりと、バレないようにドアの隙間から覗き込んだ。
「_____で、____やから」
(クソクソ!遠くて聞き取れねぇ!)
2人と俺との距離はかなりあって、ところどころしか聞き取れない。だけれど、侑士の言葉に名前が相槌を打つ、時々驚いたり笑ったりしていた。内容がすごく気になる。2人で何の話を、なんの相談をしているのか。
「___やけ____好きやねん」
すき
侑士の口から零れたその言葉だけは、俺の耳にしっかりと届いた。好き?誰が誰を?侑士が、名前を?
そこまで脳が考えたところで、俺は後先考えずに走り出していた、朝の名前のように豪快に屋上のドアを開けて自慢の足で名前たちの所まで全速力で走る。名前の腕を引き、自身の腕を絡めて、侑士を睨みつけて、こう言い放った。
「コイツは!俺のだ!」
俺がそう叫べば、名前も、侑士も、ぽかんと目を見開いて驚いた顔をした。流れる沈黙を破ったのは侑士の笑い声だった。
「あはは!岳斗何勘違いしとんねん」
「は?勘違い?」
「俺は名前ちゃんに、姉貴へのプレゼントの相談しとっただけや」
「じゃあ、好きやねんって言ってたのは」
「姉貴がピアスとか好きやねんって言っただけや」
全て、理解したら、急に身体中が熱くなった。恥ずかしい。これこそ、激ダサだ。早とちりして勝手にから回って、その上名前に告白まがいの事をしてしまった。でもあの時感じたモヤモヤや侑士が告白したと勘違いした時に胸が苦しくなったのも、“親友”が持つべきの“友情”とは程遠いものだった。
クソクソ!自覚しちまったじゃねぇかよ!
中々喋らないものだんだん不安になり、チラリと名前の顔を盗み見た。すると、顔が真っ赤になって、目を見開いて恥ずかしそうに口を手で覆う名前がそこにはいた。
胸がドクンと大きな音を立てて、俺は途端に好きという気持ちが溢れ出した。
「あーーーっ!クソクソ!お前なんつー顔してんだよ!」
「が、岳斗だって顔真っ赤じゃんー!」
「…気づいちまったんだからしかたねぇだろ」
掴んでいた名前の細い腕から手を離し、こんどは手のひらを握る。俺より少し身長が低い名前と目を合わせる。揺れる瞳は同様と照れを表していた。
「これから、俺に惚れさせるから覚悟しとけよ!」
それだけ言い残して屋上から逃げるように去っていった。まだ、頬が熱い。
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