好みのアイツ
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越前リョーマ ↔ ポニーテールが似合う子
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ゆらり、ゆらり。
目の前でポニーテールが揺れる。
「ねえ、あんたさ」
「ん?」
「これ、馬の尻尾みたい」
「え!?」
廊下に情けない声が響く。彼女は自分の声が大きかったことに気づき周りを見渡して、焦り始めた。
何をいきなり。と思うかもしれないが、彼女と俺は初対面ではない。
彼女は入学した時から席が隣でよく忘れ物をする俺に見せたりしてくれる普通に良い奴だった。いつも長い髪を高い位置でひとつにくくって、パタパタとかけていくそんな慌ただしいやつでもあった。
気づいたらその長い黒髪が揺れる度に視線を送っていた。走る時、立ち上がる時、結び直す時。直接会話を交わしたりはしない。ただ見つめていただけ。
今日もまた、廊下で移動中にあの長い揺れる髪が気になって思わず掴んでしまった。「うぐぇ」と女子らしからぬ声を上げて彼女は目を丸くして振り返る。それで冒頭にいたる。
「いきなりびっくりしたよ」
「あんた、ポニーテール以外しないの?」
「え…うーん。あ、三つ編みにでもしてきてあげよっか?ふふ、竜崎さんの真似して!」
にやにやと笑う彼女になんだか無性にムカついた。からかわれたからとかそういうんじゃなくて、俺が他の女に気があるみたいな言い方がすごくムカついた。俺が見てるのは。俺が目で追ってるのは。たった一人だろ。
ここまで考えてようやく気づく。俺は、ポニーテールの揺れる彼女にどうしようもなく惹かれていたんだって。
「…俺、すき」
「………え!?あっ…ポニーテール」
未だ手を離していないから勘づいたのか彼女は真っ赤にした顔の熱を少しずつ引かせながら俺の手をゆっくりと掴んで髪の毛から離させた。触れた手のひらは暖かい。そこからじわじわと熱が増えていっている感覚がする。鼓動も、早くなる。
ちがう。たしかにポニーテールも好きだけど。それだけじゃない。それだけで済ませられるような感情じゃない。
だって、こんな、むねがいたい。
「ポニーテール、も。ね」
「…え、えええええ」
馬のしっぽみたいに揺れるポニーテールも好きだけど。俺、あんたのその恥ずかしそうに照れる間抜けな顔も好きだな。それから、誰にも躊躇せずに優しさを振りまけるところと、無我夢中で走りすぎて迷ったりしそうな馬鹿なところも。
でも、今はまだこの気持ちは伝えない。伝えるのはもう少しさきのはなし。
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ゆらり、ゆらり。
目の前でポニーテールが揺れる。
「ねえ、あんたさ」
「ん?」
「これ、馬の尻尾みたい」
「え!?」
廊下に情けない声が響く。彼女は自分の声が大きかったことに気づき周りを見渡して、焦り始めた。
何をいきなり。と思うかもしれないが、彼女と俺は初対面ではない。
彼女は入学した時から席が隣でよく忘れ物をする俺に見せたりしてくれる普通に良い奴だった。いつも長い髪を高い位置でひとつにくくって、パタパタとかけていくそんな慌ただしいやつでもあった。
気づいたらその長い黒髪が揺れる度に視線を送っていた。走る時、立ち上がる時、結び直す時。直接会話を交わしたりはしない。ただ見つめていただけ。
今日もまた、廊下で移動中にあの長い揺れる髪が気になって思わず掴んでしまった。「うぐぇ」と女子らしからぬ声を上げて彼女は目を丸くして振り返る。それで冒頭にいたる。
「いきなりびっくりしたよ」
「あんた、ポニーテール以外しないの?」
「え…うーん。あ、三つ編みにでもしてきてあげよっか?ふふ、竜崎さんの真似して!」
にやにやと笑う彼女になんだか無性にムカついた。からかわれたからとかそういうんじゃなくて、俺が他の女に気があるみたいな言い方がすごくムカついた。俺が見てるのは。俺が目で追ってるのは。たった一人だろ。
ここまで考えてようやく気づく。俺は、ポニーテールの揺れる彼女にどうしようもなく惹かれていたんだって。
「…俺、すき」
「………え!?あっ…ポニーテール」
未だ手を離していないから勘づいたのか彼女は真っ赤にした顔の熱を少しずつ引かせながら俺の手をゆっくりと掴んで髪の毛から離させた。触れた手のひらは暖かい。そこからじわじわと熱が増えていっている感覚がする。鼓動も、早くなる。
ちがう。たしかにポニーテールも好きだけど。それだけじゃない。それだけで済ませられるような感情じゃない。
だって、こんな、むねがいたい。
「ポニーテール、も。ね」
「…え、えええええ」
馬のしっぽみたいに揺れるポニーテールも好きだけど。俺、あんたのその恥ずかしそうに照れる間抜けな顔も好きだな。それから、誰にも躊躇せずに優しさを振りまけるところと、無我夢中で走りすぎて迷ったりしそうな馬鹿なところも。
でも、今はまだこの気持ちは伝えない。伝えるのはもう少しさきのはなし。
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